西澤 晋 の 映画日記

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2010年 12月 17日

尋問(1982) ☆☆

f0009381_1101968.jpg監督:リシャルト・ブガイスキ
脚本:リシャルト・ブガイスキ/ヤメウシ・ディメク
撮影:ヤツェク・ペトリツキ

出演:クリスティナ・ヤンダ

       *        *        *

あいかわらず自虐の詩をかなでるポーランド。

やっぱりポーランド映画は暗くないといかん。
それでこそポーランド! 

物語の背景は1951年。主人公の女性は故なき疑いをかけられ拘留され、7年に渡る〈尋問〉という名の拷問をけることになる。共産主義体制の中で行われた不当な人権侵害を描いた映画で、東欧社会の崩壊とともに日の目を出ることになった映画。制作は1982年なのだが、日本公開は1991年だった。1990年のカンヌで主演女優のクリスティナ・ヤンダが主演女優賞を得ている。

きっとポーランド映画なのだから暗いのだろうなあって思って劇場まで足を運んだら、期待通りドツボな映画だった(苦笑)。しかし、ポーランド映画って、こんなにドツボなシーンの連続だけを描いてなにが楽しいのだろう。映画に方向性を感じないのである。ただただ悲惨・・・。拘置所でひたすら続く陰湿な尋問。水牢にいれられ溺れそうになったり、銃をつきつけられて脅されたり、あげくの果ては、尋問に応えなかった男の処刑後の、まだその痛いがる部屋に連れて行かれ、そこでも銃を突きつけて嘘の供述を強要されたり、でも、じつはそれらがすべて演出であって、そこで処刑されたと思っていた男が生きていたり・・と、ありとあらゆる方法で彼女をいたぶりつづける。体制側の人間も確固たる意図があるようには見えない。

尋問のはじまりは、酔っ払って悪態ついてる女が、旦那と喧嘩したはらいせに、見知らぬ男あてにさんざん悪態をついた発言をてたら、彼らは秘密警察であり、しょっぴかれてしまった・・という程度のもの。彼らにとってもこの女はたいして重要な人物でもなんでもないのである。やがて、証言のなりゆきから、彼らの目的がアントニーナがかつて一度だけ一夜を共にしたことのあるオルツカ少佐をスパイ容疑で告発することにある事が分かってくる。
しかし、これも、はじめからそれを意識しての逮捕なのかどうかもわからない。見ていると、とりあえず悪態ついてた女を秘密警察がしょっぴいてきたら、尋問のなかに使えそうなネタがあったらその証言をとっちゃえ!みたな、成り行き任せの尋問だったような見えた。さらに、本来彼らが落とすべきターゲットだったはずのオルツカ少佐が既に処刑されていたにもかかわらず、彼女の拘束はつづく。

ただ、この映画の根本的につまらない点は、それをやる側も、行う側も、確固たる目的意識がないまま、そうなってしまってる・・ってところなのだ。まあ、方向性を打ち出したら検閲に引っかかるという共産主義の体制から、そういう作り方に慣れてしまったってことなのだろうか。そんなわけで、理不尽な拷問だけがひたすら展開されるだけの映画になってしまった。
実にポーランドならでは映画である。

<あらすじ>
ナチスドイツの支配から開放されて5年がったったポーランド。しかしそこにあるのは共産党の支配する世界だった。キャバレーで歌手のアントニーナ(クリスティナ・ヤンダ)は夫と口論のあと、酔って見知らぬ二人の男にぐちりまくる。気がつくと彼女は留置所にいた。彼らは秘密警察官だったのだ。同じ牢のなかには見知らぬ女たちがいた彼女はなんで拘束されたのかもわからない。やがて、彼らがスパイ容疑で告発しようとしている男と以前寝たことがあったとう事がわかってくる。そして彼らの目的は、その男を告発するための証言=偽証がほしいのだということもわかる。
彼女には嘘の証言はできないと拒否すると陰湿な尋問と懲罰が繰り返される。同じ独房のなかの女には裏切りや、夫からの離婚を申請など、不条理が彼女をおそい、アントニーナは自殺を図るが一命をとりとめる。長い年月が過ぎ、自分にシンパシーを感じてくれる尋問官の一人に体を与えることで、心のよりどころをみつけるアントニーナ。そして妊娠・出産。生まれた子は施設に預けられた。また何年か過ぎアントニーナは釈放される。子供を引き取りに行った彼女は、誰が自分の子だかわからない。そこには、高官たちが女囚たちに生ませた子供たちが大勢いたのである。

by SSM2438 | 2010-12-17 11:01


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