西澤 晋 の 映画日記

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2011年 01月 04日

Q&A(1990) ☆☆

f0009381_2221332.jpg監督:シドニー・ルメット
脚本:シドニー・ルメット
撮影:アンジェイ・バートコウィアク
音楽:ルーベン・ブラデス

出演:
ティモシー・ハットン (新米地方検事補アル・ライリー)
ニック・ノルティ (悪徳刑事マイク・ブレナン)

       *        *        *

ルメット作品は節度のある悪役でないとダメだ・・・。

シドニー・ルメットの復活を願い、やっぱりなんだかんだといっても社会派らしい映画の時は劇場に足をはこんだいたのだが、どうも嘗てのキレがないなあ。この話だってルメットお得意の話でどうやってもホームの映画だろうに、なんでこんなに誰がやってもいいような映画に仕上がるんだ???
ルメット・ファンとしてはかなりがっかりだったよ。

とにかくドラマの印象が薄い。画面で思い出すのがニック・ノルティの釜ほるシーンだけという・・・、暴走ノルティに全部持っていかれた感じの作品だった。というか、ルメットの作品にこういうキャラはあんまりに合わないような気がする。
ルメットの作品がルメットらしくみられるのは、きっと悪役が節度を持っている時なのだと思う。
他の作品みても、やっぱりルメット映画の悪役やどこかクールで知的だ。強引な暴力にたよならない知性がある。それがこの作品ではニック・ノルティの強引なパワーでルメットの悪役設定が木っ端微塵に砕かれてしまった。
最初みたときは、この映画ルメットでもやっぱりイマイチだなあって思ったけど、最近思うのはもしニック・ノルティが別の人で、もうちょっとカマほるときも知的でだったらすこしは違ったんじゃないだろうかって思い始めてる。『ギルティ・罪深き罪』の時のドン・ジョンソンとか・・、『プラトーン』トム・ベレンジャーとか・・、どっかクールでニヒルな悪漢だったら雰囲気も変わってきたんじゃないだろうか・・って思ったりもする。

<あらすじ>
新米地方検事補アル・ライリー(ティモシー・ハットン)の初仕事として、ベテラン刑事マイク・ブレナン(ニック・ノルティ)による麻薬売人射殺事件のQ&A(尋問調書)を作ることだった。
しかし、目撃者ボビー・テキサドール(アーマンド・アサンテ)の証言はブレナンの過剰防衛だと言うが、正当防衛を主張するブレナン刑事の主張と食い違う。疑惑を持ったアルは、テキサドールの愛人となっている黒人と白人のハーフ、ナンシー・ボッシュ(ジェニー・ルメット)から真実を聞き出そうとするが、アルの人種差別的言動に拒否反応をしめすナンシーは非協力的だった。
一方、ブレナンは重要な証人ロジャーを捜し出して口封じをしようとする。機先を制したテキサドールがロジャーを連れ去が、テキサドールとロジャーの乗ったヨットはブレナンによって爆破される。さらにアルの部下を抱き込もうとするが失敗して、ついに追い詰められ逆上したブレナンはアルのもとに乗り込んでくるが、撃ち合いの末倒れる。


事件のなりゆきは、さらに上の段階で真相はもみ消されるという、ルメット物ではよく在りそうな社会の理不尽さが出てくるのだが・・・、それでも、もうすこしなんとか納得のいく結末にならなかったものか・・・。これでは、ニック・ノルティは排除できたけど、結局全システムが健全にはならないよ・・という話。

その矛盾と理不尽さを含んだ社会のなかで、個人と個人(この物語のなかではアルとナンシー)のほんとに信頼できるつながりが大事なんだよ・・って事だとは思うな。
多分、ルメットって社会の中ではその理不尽さというのはなくなるものではない!って思ってるのだろう。そうれは当然社会の中ではあるもので、そういう社会のなかでいかに生きていくか、いかに純粋さを保っていくか・・というささやかな抵抗をいつも描いているのだと思う。

by ssm2438 | 2011-01-04 22:05 | シドニー・ルメット(1924)


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