西澤 晋 の 映画日記

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2011年 01月 06日

ゴールデンボーイ(1998) ☆☆

f0009381_104988.jpg監督:ブライアン・シンガー
原作:スティーヴン・キング
脚本:ブランドン・ボイス
撮影:ニュートン・トーマス・サイジェル
音楽:ジョン・オットマン

出演:
ブラッド・レンフロー (トッド)
イアン・マッケラン (ナチの戦犯クルト・ドゥサンダー)

       *        *        *

スティーヴン・キングの話っていうのは、『ドラエもん』なのである

名前を変え、ひっそりと暮らしていたナチの戦犯の老人を偶然にみつけてしまった少年の話。でも、彼を告発するとかではなく、秘密を守る代わりに、彼の昔の悪行を話してもらうことにする。少年はその話からきく人間の残虐性に興味をもち引き込まれていくと同時に、老人もかつての悪行に酔っていった思いが再燃してくる・・という話。
人間のもつ残虐性を、そのことは忘れ穏やかにくらしていた老人と、そんなことなど経験したこともない少年は、どんどん暴いていき、魅了されていく話。勧善懲悪の物語ではなく、残虐性に遠い位置にあった老人と子供が、そのパンドラの箱をあけてしまい、ふれあいをきっかけに残虐性という魅力的な毒に犯されていく構成。
なので、ブラッド・レンフローが「良き主人公の少年なんだ!」って先入観でみると、入り口を間違えてしまうことになる。ブラッド・レンフローは、あくまでその魔力に魅了されていく少年であり、だんだんと魔力を制御しきれなくなってしまう立場。

実は、スティーブン・キングの物語というのは、物語構成的にみると『ドラえもん』とほとんど同じなのです。のび太君が、ドラえもんの出す不思議アイテムに便利さを感じ、だんだんとそれを悪用するようになり、収拾つかなくなるのだけど、なんとかそこを自分の理性と勇気とがんばりで収拾させるという構成。

ただ、キングの話にしては、強烈な犯罪行為が行われる作品ではなく(一応あることはあるが)、人間の日常の生活の中で人の心が吸収修復できる範囲のもの(?)の範囲で描かれている。それほど強烈は怖さはなく、とらぶり始めてからのばたばた感とそれの収束がいまひとつ気持ちよい展開ではないのが残念。

監督は『ユージュアル・サスペクツ』ブライアン・シンガー。こねくったエンタテーメント系を理詰めできっちり作る人とう印象。ヒッチコックが好きなのかもしれない・・というにさりげない臭いはする。なので、私としてはそれほど好きな監督さんではないのだけど、きっちり感はとても感じる人なので嫌いではない。
しかし・・・、このブライアン・シンガーにしてもブライアン・デ・パルマにしてもブライアンと名がつくとヒッチコックのファンになるのだろうか(苦笑)。

<あらすじ>
ロサンジェルス郊外に住む高校生トッド・ボウデン(ブラッド・レンフロ)は、学校の授業でナチスドイツのもつ人間の残虐性に少なからず興味をもつ。そんなやさき、バスの中でナチス戦犯クルト・ドゥサンダーらしい人物を目撃してしまう。まさかとおもいつつもついついその男のあとをつけるトッド。興味が抑えられないトッドはイスラエル政府発行の手配写真と指紋でチェックし、その老人の家を訪問する。彼は、アーサー・デンカー(イアン・マッケラン)と名乗るったが、身元などあらかじめ調べておいたデータと照合すると、まさにその男だった。
f0009381_1045030.jpgデンカーはかつてアウシュビッツの強制収容所で副所長をつとめて悪名高いドゥサンダーだった。普通の少年に正体をつかまれて動揺するデンカーに、トッドはこの事実を明るみにしないかわりに、彼がナチス時代に行った残虐行為をすべて話してほしいと頼む。はじめは拒んでいたデンカーだが、やがて毎日のように彼を訪ねてきてむさぼるように話を求めるトッドの熱意に押される、不安を感じながらもデンガーは昔のことを話はじめる。

それまで普通のよわよわしい老人だったのがデンガーが、トッドにかつての悪行を話すようになると徐々に生気をとりもどしていく流れがじつにたのしい。今は普通の老人としてひっそりと暮らしているその男に、ここでは主導権をにぎっている少年が、サディスティクにドイツ時代の軍服を着せていくシーンがあるのだが、このあたりは『めまい』を思い出してしまった。そしていったんそれを着てしまうとそれまでよれよれの老人だったのが、背筋がぴしっとのび、歩き方まで変わってきて、「ハイル、ヒトラー!」のポーズをびしっときめてしまう。見てる側としては、いつ暴走しはじめるのか、はらはらどきどきですよ。

このあとはいろいろやっかいな展開になっていくのだが、デンガーの正体が世間にばれてしまい、イスラエルの政府機関の一員とFBI捜査官がデンカーのもとを訪れる。邪悪に目覚めたトッドは無事高校を卒業、デンカーは病院で自殺を遂げる。

by SSM2438 | 2011-01-06 10:18


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