西澤 晋 の 映画日記

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2011年 01月 08日

SF/ボディ・スナッチャー(1978) ☆☆☆

f0009381_14374882.jpg監督:フィリップ・カウフマン
原作:ジャック・フィニイ
脚本:W・D・リクター
撮影:マイケル・チャップマン
音楽:デニー・ザイトリン

出演:
ドナルド・サザーランド (マシュー・ベネル)
ブルック・アダムス (エリザベス・ドリスコル)
レナード・ニモイ (Dr.デヴィッド・キブナー)
ジェフ・ゴールドブラム (ジャック・ベリチェック)

       *        *        *

ラストにもう一発ムンクの叫び
「くうぉぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


侵略SFの古典、ジャック・フィニイ『盗まれた街』の映画化。渋くこわい。この、耐えられそうで耐えられないれないところをついてくる地味さがこの映画の味なのだろう。

最初に映画化されたのは1956年で、『ダーティーハリー』『アルカトラズからの脱出』などで知られるドン・シーゲルが監督した映画。当時はもちろん白黒なのだけど、白黒で描くSFというのには、妙にマッチしていたSFだなあって思った。この映画、色がついてきたりやたらと照明をこりまくったりするとなんかダメになる。
1978年にリメイクされたこの映画だが、こののちも同じ原作から2度映画化されている。ただ、表面的な派手さがホラー感覚度を増してきている印象があるのだが、どうも、あんまりそっちにふってほしくない題材ではあるな。個人的にはこの2回目の映画化のフィリップ・カウフマンのバージョンが一番好きだ。
・・・でも、人面犬は・・・なかなか笑えた。

サンフランシスコを舞台に、宇宙からの侵略者が、一般市民の肉体をジャックしていくとうSFスリラー。とはいっても、『遊星からの物体X』みたいな体を裂いてエイリアンが出てくるぞ、どばああああああああああんっと映画ではない。エイリアンも、肉食のエイリアンというイメージではなく植物性なのだ。エイリアンののっとられた人間たちは、意志を喪失するのだが、どちらかというと蟻とかミツバチのような集団意識隊のなかの一個の固体になるという、社会主義がいくとこまでいくとこうなりますいよ・・みたいな提示。
それまではやたらと感情をだしていた人間がエイリアンに体をスナッチされてしまうとそこにいる個体は個性を失ってきわめておとなしいう、決して感情を出すことはなく(もっとも失っているので出ないのだけど)、怒りなどの衝動的な行動もおこさなくなる。それだけで人類に世界平和をもたらすためにきたエイリアンともいえなくはないが、でも、それだと、進化しない生命になっちゃうよって感じ。

この体をスナッチする方法もまた異様。人々が寝ると、どこからともなくツタような触手が窓からから侵入してきて、体にまきつき、データを収集しているのだろう、家の外にはエンドウマメのような繭があり、そのなかで同じ姿をした、でも感情をもたない別の個体が作られていく。コピーがおわると、もとの肉体はしなびてこの世から消え去る。でも、次の日、同じようにその人は行動するのだけど、感情がなくなっている。でも、具体的にどこかが変というだけでなので最初は何が起きているのかわからない。しかしそうしているうちに、人々が寝て間にどんどんどんどん、体がスナッチされていき、最終的には町全体の人間がスナッチされた固体の集合体になってしまう。
この血みどろ感のないところがこの映画のツボなのです。

さらに、この「眠たいのに寝られない」という、アニメーターの宿命を一般人にわからせるにもいい映画でしょう(苦笑)。

<あらすじ>
サンフランシスコ。その町では、ある時から感情を表にださない人間がさりげなく増えていく。
州公衆衛生調査官であるエリザベス(ブルック・アダムス)の恋人もその一例だった。それを同僚のマシュー(ドナルド・サザーランド)相談するが、反対に精神科医につれていかれるしまつ。しかしマシューも、行きつけのクリーニング店の主人から妻が別人のようになったと訴えられ、ことの異常さを理解し始める。ある日、美容風呂を経営しているジャック(ジェフ・ゴールドブラム)の店で不思議な物体が発見された。駆けつけたマシューがみたものは、異様なマユ状物質の中の胎児のような粘着性をもつ、ジャックの顔をした死体"であった。マシューはエリザベスに電話するが、何か様子がおかしい。駆けつけると、彼女の家でも、睡眠中のエリザベスの間隙を衝いて、彼女になり変わろうとするエリザベスの未完成体をつつんだ繭が発見された。
知らないうちに街のほとんどの人は見えないエイリアンの体をすりかえられていた。その中で生きていくには、感情をださずに生活することだ。今、信用できるのはマシューとエリザベス、ジャックとその妻だけだ。それでも眠らないわけにはいかないので、その時はだれかが起きていて、怪しいツタがよってこないかみはるしかない。それでも、徐々に体力が蝕まれていく。感情なき個体群はそんな4人をおいつめていく。

未来がないとわかっていても、やっぱり人間でいたいと思ってしまう人間の性。<無駄なあがき映画>の傑作のひとつだと思う。それも静かなる侵略というコンセプトがよい。

・・・しかし物語には関係ないが、怪しいのは実は主人公たち男優陣で、およそ感情がありそうにないドナルド・サザーランド、まだハエになっていないジェフ・ゴールドブラム、耳がとんがってないレナード・ニモイ。この3人って素で宇宙人にみえるのだけど、この3人が人間やってるってことがなんだか不思議なキャスティング。こいつらをみたら、宇宙人だって「すでに体をのっとられているにちがいない」と勘違いしても仕方がない。だから選ばれたのだろうか・・・。

by SSM2438 | 2011-01-08 14:40


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