西澤 晋 の 映画日記

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2011年 01月 21日

イナフ(2002) ☆

f0009381_7543848.jpg監督:マイケル・アプテッド
脚本:ニコラス・カザン
撮影:ロジェ・ストファーズ
音楽:デヴィッド・アーノルド

出演:
ジェニファー・ロペス (スリム)
ビリー・キャンベル (ミッチ)

       *        *        *

主人公ともあろう者が、計画殺人実行して相手を殺してしまう。

家庭内暴力とストーカーとアクション映画。このアクション映画部だけがかなり違和感があるが、これを生かすなら他の展開考えられなかったものか・・。夫に執拗においつめられた主人公が、殺すことを意図して格闘技をならない、最後は殺してしまうという。本来なら、さんざんぼこぼこに苦しめられたはらいせに相手をぼこぼこ満足し、あとは旦那が逮捕されてあとは司法にまかせるってのは普通の展開なのだが、それが相手を殺して幕。うむむむ・・・後味わるい終わり方だ。CSI:ニューヨークなんかが調べたら、殴ったスリムの手には指輪がはめられていてそれをバンデイジでかためていた・・とかわかっちゃいそう。

<あらすじ>
レストランでウエイトレスをしていた首の太いスリム(ジェニファー・ロペス)は、店を訪れた親切な男性客ミッチ(ビリー・キャンベル)と結婚。彼は大富豪の息子で青年実業家だった。娘も生まれ夫婦仲は円満だったが、ミッチの浮気が発覚、家を出ようとするスリムに暴力を振るうようになる。友人達の力をかりて娘を連れ出して逃避行をつづけるスリム。しかしミッチは莫大な財政力・企業力にものを言わせ、危険な男達も雇い、どこまで追って来る。司法的にも追い詰められ、娘の親権をスリムから奪おうとするミッチに対してスリムは殺すことを決断。格闘技をならい、最後はミッチの家(自分の家とも言う)に忍び込み、昼になって夫が出て行くと、金属探知機で銃を探し出し全部処分、戦いの場を設定。両手の指輪を人差し指から小指まではめバンデイジして戦闘準備完了。正当防衛の末殺したようにみせるために、夫が帰ってくると相手を挑発し、格闘戦に持ち込み最後は殴り倒し、2階から落ちた夫は絶命。めでたしめでたし。

監督は『007/ワールド・イズ・ノット・イナフ』マイケル・アプテッド。個人的にはかなり認めている監督さんで、シーンごとの魅せ方も人間の描写もしっかりしている人だ。ただ、物語の基本構成の部分で何とかできなかったものなのか。もっとも、既に脚本があった段階で監督の依頼されたのかもしれない。原作があってつくられた映画ではなく、映画会社がジェニロペの格闘シーンを描くためにプロットからおこし、見せたいシーンだけをつないで全体のストーリーを作ったのだろう。しかし、かなり強引な展開で、「だったら他の選択肢もあっただろう」と感じられる部分がかなりある。

なにが気に入らないかって、スリムにはまとまったお金を寄こす支援者がいること。逃走用の車までよういしてあり、最後の格闘技をおしえてもらうトレーナーを紹介してもらえる。かなりご都合主義な存在だ。前半部の基本スタンスは「娘を連れ出したらカードや口座を全部凍結されて一文無し、そこからの逃避行」・・というものだった。それをこのご都合主義おじさんで全部カバーしてしまうのはどうなん? これやるくらいなら、覚悟をきめて身体を売って逃走資金を稼ぐってほうがまだいい。その結果、夫からの追っ手に見つかった時の逃走用グッズを用意しておく。それは機能するのだが、売春婦に親権はわたせられん!ってことで裁判になると勝てない。最後の手段は・・・とか。

「夫に殴られたら、すぐに警察に行くべきよ!」と言う友人のアドバイスに対し、「娘の父親を警察に逮捕させたくない」というスリム。しかし結果的には、娘の父親を自分で殺すこと選んでしまう結末。最後も卑怯な定石芝居。殺すところまで行って思いとどまり善人ぶりさせといて、もういっかい相手に襲い掛からせ、弾みで殺してしまうというよくある卑怯フィニッシュ。これやるなら、善人ぶりカットは無しで無情に殺させるか、殺すのを断念して警察に引き渡すかにしてほしい。
いろいろ不満のおおい映画でした。

by ssm2438 | 2011-01-21 07:55


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