西澤 晋 の 映画日記

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2011年 01月 22日

容疑者(1987) ☆☆

容疑者(1987) ☆☆_f0009381_16281392.jpg監督:ピーター・イエーツ
脚本:エリック・ロス
撮影:ビリー・ウィリアムズ
音楽:マイケル・ケイメン

出演:
シェール (キャスリーン)
デニス・クエイド (陪審員エディ・サンガ)
リーアム・ニーソン (聾唖の容疑者)

       *        *        *

『ザ・ディープ』『ブリット』などのピーター・イエーツが監督した法廷物。

司法局に勤める女性職員の惨殺死体が発見され、容疑者の男が逮捕されたが、この男は聾唖で言葉もしゃべれないという厄介な容疑者。その容疑者を弁護することになったのがシェール。さらに陪審員のなかにきれものがいて、その男がなぜか捜査にすごく協力的。いいのか悪いのかわからないが、彼がシェールと一緒に謎解きをしていくという展開。陪審員と弁護士ってこういうのいいんでしょうかね? 審議無効とかにならないんでしょうか? 物語の前半では一応、シェールがその申し出をことわっていたのだけど、何者かにおそわれたりしているうちにそのまま二人で捜査するようになってしまう。・・・おい!
さらにこの物語は、同じ時期に最高裁判事が自殺(殺人かもしれない)がおきており、このつながりそうにない二つの事件がつながっていく。一応サスペンス物のはなしなのだけど、個人的には法廷のなかでの議事進行の妙技でどんどん真実があばかれていく方向性であってほしかった。この映画だと、弁護士と陪審員のひとりが真犯人をみるけるの刑事ドラマみたいになっている。まあ、それでも悪くはないが、それは起訴される前の警官のやることだろう。刑事ドラマよりも、法廷ドラマののほうが技術力を要するので、まあ、私としてはそちらのほうで見たかった・・というだけなのだが。

<あらすじ>
最高裁のローウェル判事が原因不明の自殺を遂げたそのころ、聾唖で失語症のカール・アンダーソン(リーアム・ニーソン)が、司法局に勤める女性職員の殺人容疑で起訴された。彼を弁護することになったのは官選弁護人のキャスリーン・ライリー(シェール)。目は見えるが、音が聞こえない。やがてヘルムス判事(ジョン・マホーニー)の担当となり第1回の審理が始まる。言葉も話せない容疑者に対してキャスリーンは筆談で忍耐強くコミュニケーションをとりながら裁判を闘うことになる。

ここらあたりまでは、限定されるコミュニケーションの中から真実をみつけだしてくれる展開だろうなと、期待させられた。しかし、物語は普通のサスペンスものに落ちぶれてしまう

陪審員の中には、若きロビイスト、エディ・サンガー(デニス・クエイド)が疑問を持ち独自に調査を始め、きゃルリーンにも協力を申し出る。だが裁判当事者と陪審員との法廷外接触は裁判の公正のもとに禁じられており、キャスリーンはこの申し出を最初は断っていたが、彼女が何者かに襲われ、そのときサンガーが助けたりしているうちに、なし崩し的に二人で調査するようになる。
やがて、司法省副長官のポール・グレイ(フィリップ・ボスコ)がその現場にいたことが判明。さらにキャスリーンの告白テープがみつかる。その内容は、20年前、ヘルムス判事は当時容疑者であったある重要ウ人物を無罪にしたとうものだった。そしてその人物とはポール・グレイ司法省副長官だった。
翌日の裁判で、キャスリーンはポール・グレイを証人として呼びかつての黒いつながりを暴露、さらに、裁判長であるヘルムス判事を証人として指名する。うろたえる裁判長。しかし裁判長を証人喚問してはいけないという法はないことをしめし、ヘルムス判事を証人席に座らせる。

物語は真犯人をみつけることで、容疑者の疑いをはらすというもの。しかし、どうも裁判物というよりも、刑事ドラマになってしまったために、最初に設定した<聾唖で言葉の話せない容疑者>というコンセプトはまるっきりどうでもいいものになってしまった。
物語の設定がおもしろかっただけに、ただのサスペンスものになったのは残念だ。

by SSM2438 | 2011-01-22 16:29


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