西澤 晋 の 映画日記

ssm2438.exblog.jp
ブログトップ | ログイン
2011年 01月 31日

ギルバート・グレイプ(1993) ☆☆☆

ギルバート・グレイプ(1993) ☆☆☆_f0009381_939558.jpg監督:ラッセ・ハルストレム
脚本:ピーター・ヘッジズ
撮影:スヴェン・ニクヴィスト
音楽:アラン・パーカー/ビョルン・イシュファルト

出演:
ジョニー・デップ (ギルバート・グレイプ)
レオナルド・ディカプリオ (アーニー・グレイプ)
ジュリエット・ルイス (ベッキー)
メアリー・スティーンバージェン (ベティ)

       *        *        *

やさしい映画なれど・・・これでいいのか?
選択をしない人間には魅力を感じないのだが・・・。


最後、オビーストの母が死んで、ギルバートは解放されるのだけど、個人的にはかられを見捨てて出て行く話のほうが良かったなあ。で、他のみんなも、それを許してあげる・・みたいな展開のほうが。

<あらすじ>
アイオワ州の田舎町に住むギルバート・グレイプ(ジョニー・デップ)にはとにかくしがらみがいっぱい。家ではデブの母親がいて、肥大化しすぎて動けないし床もぬけそう。さらに弟のアーニー(レオナルド・デカプリオ)は知的障害者。父は17年前に自殺し、姉と妹の面倒もみなければならない。ある食料品店につとめているが、近くに大型スーパーが出来てしまい見せもはやらない。楽しいことなどなにもない生活。彼になにかしたいことがあっても、出来ることといえば店の常連客ベティ・カーヴァー(メアリー・スティンバージェン)との不倫くらい。
そんななんの生産性もない生活にしばられているギルバートが、キャンピングカーで町にやってきた女の子とあってからは少しづつ人間味のある喜びを感じるようになる・・というもの。でもみんなを見捨てられないのでそのまま居座る。最後は厄介の種だった母親が死んで開放される。

選択しないで幸せになりたい人にはいい映画かもしれない。

しかし、もし、あそこで母親が死ななかったらどうしたんだろう???って思う。けっきょくあのまま、あの生活をつづけていくのだろうか?私は家族をうらっぎっても出て行く姿を描いてほしかった。

『グッド・ウィル・ハンティング』みたいに、圧倒的な天才なのに、町のごろつきたちとつるんでいるマット・デイモンに「俺の夢はな・・、お前が旅立つことだ」っていってあげられるベン・アウレックのような・・、あのほうが素敵だ。この映画の展開だと、自分が悪い人になれなくて、結局死ぬまで面倒をみておわる・・ってことになりかねない。たまたま作者のご祝儀で母親が死に解放されたけど、それがなかったらどうするんだ?ってことがかなり疑問。自分の人生を選ぶのか、家族の犠牲になるのか、主人公たるもの、これうらいは自分の意思で選んでほしかった。
作家さんに開放されて、それでめでたしめでたしって話では、学校の道徳の時間に見せる教育映画としてはいいかもしれないが、人間の在り方を追求するべき作家の仕事としてはまったく納得いかないぞ。
選択しないで幸せになりたい人にはいい映画かもしれない。

監督は、『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』でスーパーヒットをかましてくれたラッセ・ハルストレム。先の作品が輝きすぎてた。あの感動もとめて映画館にいったら・・・・、そこまでの感動はなかったかな。決して悪い映画ではないのだけど、あの感動が作れる人ならもっと・・・と思ってしまったのが本心であった。でも、いい映画だとは思うが。

しかしこの映画はスタッフの面子がすごい。監督は『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』のラッセ・ハルストレム。実力はもう完全保証済である。撮影監督は同じスウェーデンのスヴェン・ニクヴィスト。またまた巨匠つかまえてきましたなって感じです。
スヴェン・ニクヴィストはイングマル・ベルイマンの後期の映画ではほとんど撮影監督をつとめてるひと。アメリカでも目のある監督さんが使いたがる撮影監督である。ウディ・アレンも使ってたし、ゴードン・ウィリスの盟友でもあるアラン・J・パクラも一緒に仕事をしていた。アンドレイ・タルコフスキーも最後に撮った『サクリファイス』はニクヴィストだった。この人たちはほんとに絵作りがほんとに巧い人しか使わない監督さんなので、ゴードン・ウィリスが使えない時は誰にするか・・って言われるとこのスヴェン・ニクヴィストあたりの名前にあがってくるのだろう。
音楽にはアラン・パーカーの名前がある。おお!

キャストも豪華、今では人気絶頂のジョニー・デップレオナルド・デカプリオ。個人的にはメアリー・スティンバージェンが出ているのがいい。実はこの映画、ラッセ・ハルストレムの映画なので見たいとはおもっていたのだけど、キャスト的にはあんまり好きな人たちではないのでどうしようかと思ってた(ヒロイン役もジュリエット・ルイスだし・・・)。それでも見る気にさせてくれたのはメアリー・スティンバージェンの魅力が大きい。『タイム・アフター・タイム』の彼女は絶品であった。そのご『バックマン家の人々』でも愛嬌のあるところを披露し、『バック・トゥ・ザ・フューチャー3』では再びタイムマシンものに返り咲き(笑)。なんだか・・・この人をみると彼女のもつぽわあ~~~んとした魅力で心が安らいでしまうのだ。大好きな役者さんである。この映画のなかではジョニー・デップが関係をもつ人妻役。個人的にはジュリエット・ルイスが気持ち悪い顔なのでときめくことはなく、ひたすらメアリー・スティンバージェンびいきで見てしまった。
あと、このときにデカプリオは、驚異的にお病気キャラを演じていた。まあ、お病気キャラは演じやすいとは思うが、あの気持ち悪さは実に素敵だった。

by SSM2438 | 2011-01-31 23:42 | ラッセ・ハルストレム(1946)


<< ダークマン(1990) ☆☆☆      ビリー・ジョー/愛のかけ橋(1... >>