2011年 03月 10日
監督:山田洋次 脚本:山田洋次/朝間義隆 撮影:高羽哲夫 音楽:山本直純 出演: 渥美清 (車寅次郎) 三船敏郎 (上野順吉) 竹下景子 (上野の娘・りん子) 淡路恵子 (悦子) * * * 竹下景子 in 寅さん、第二段! 先の32作目からはや6作目、またしても竹下景子登場である。今回は知床で獣医を営む上野順吉(三船敏郎)娘りん子という設定。親の反対を押し切り、駆け落ちして東京に出たが結婚は破綻、戻ってきたという出戻り娘である。今回は寅次郎が自分の恋愛でどうのこうのという話ではなく、この偏屈頑固獣医の三船敏郎と、スナックのままさんの淡路恵子の仲をとりもつという話。大昔にこの話は見たことがあったのだが、久々に三船敏郎の告白シーンをみてたら今回はなんだか泣けてきた。歳をとるとなんでもかんでも泣けて見えるものだ(苦笑)。 三船敏郎と淡路恵子といえば、誰しも思いだすのが『野良犬』である(苦笑)。淡路恵子がダンサーの役で、刑事・三船敏郎の拳銃を盗んだ男が子供の頃から憧れていた人という設定。今となってはこの作品を思い出す人はそういないかもしれないが・・。『野良犬』でふたりの恋愛関係が描かれたわけではないのだが、昔同じ映画に出たってだけで、なにかしら不思議な歴史的なつながりを感じてしまう。ああ、この人たちはもう何十年も同じ釜の飯をくって生きてきたのだなあと思いながら観ていると、この映画のストーリーのほかのところでもかってに物語を想像してしまう。 この映画・・、やっぱり知床の風景がいい。明らかにそこらにある風景ではない。海から生えているような岩や断崖をおちる滝。霞にくもる谷間。こんなところで人間は生きているのだなあと再認識してしまう。私も田舎育ちで小学校の同級生は私の他に8人しかいなかった。きっと、この知床の町もそのくらいの田舎なのだろうなってと思うと、見たことのない風景でもなんだか懐かしく思えてくる。 <あらすじ> 北海道の知床にやって来た寅次郎(渥美清)は、武骨な獣医・上野順吉(三船敏郎)が運転するポンコツのライトバンに乗せてもらったのが縁で、一晩彼の家に泊まることになる。そんな彼の家に<勝手知ったる他人の家>モードは洗濯物をとどけるスナック《はまなす》のママ・悦子(淡路恵子)。既に妻とは死に別れ、手塩にかけて育てた娘は駆け落ちして東京に出て行った。そんなやもめ暮らしの順吉を世話してるのが悦子だった。 そんなある日、順吉の娘・りん子(竹下景子)が戻って来た。結婚生活が破綻し傷心で里帰りしたのだ。寅次郎たちやもと<りん子ちゃんの純潔を守る会>のメンバーの男たちは暖かく迎えたが、父親の順吉だけが冷たい言葉を投げつける。「まったく、こまった人だねえ」といつも順吉と社会との緩衝材になっている悦子だったが、店のオーナーがスナックを閉めることになり、妹のいる新潟に移ろうかという思いにかられていた。 一旦身辺整理をしに東京に戻ったりん子が知床に帰ってくると、<りん子ちゃんの純潔を守る会>改め<知床の自然を守る会>のメンバー達が知床復帰岩井のバーベキューパーティを開いて「もう何処にも行くな」とはげます。その席で悦子も知床を離れる決意を口にする。やはり頭ごなしに「行っちゃいかん!」と傲慢に意義をとなえる順吉。 好きな人に「好き」と言えない純情さがとても懐かしい。私も中学生のころまではそうだったなあとあの頃の自分のメンタリティを思い出してしまう。 「反対なのはみんな同じなんだよ。あんたが言うのは理由があるんだろう? 言ってみな。言わなきゃママさんは新潟に行っちゃうよ」と順吉をいじめる寅次郎。「なら言ってやる、いってやるぞ」と悦子の前に歩み寄る順吉。 「オレが『行っちゃいかん』と言ってるその理由は・・・、 その理由は・・・・・・、オレが惚れてるからだ、悪いか!」 この最後の「悪いか!」がとても素敵だ。 寅さんワールドの根底にあるのは、この「好きな人に好きと言えないもどかしさ」なのだろう。・・・・懐かしい。
by ssm2438
| 2011-03-10 00:32
| 男はつらいよ(1969)
|
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主観重視で映画の感想を書いてます。ネタバレまったく考慮してません。☆の数はあくまで私個人の好みでかなり偏ってます。エンタメ系はポイント低いです。☆☆=普通の出来だと思ってください。 by ssm2438 リンク
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