西澤 晋 の 映画日記

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2011年 03月 07日

男はつらいよ41/寅次郎心の旅路/竹下景子(1983) ☆

f0009381_10283823.jpg監督:山田洋次
脚本:山田洋次/朝間義隆
撮影:高羽哲夫
音楽:山本直純

出演:
渥美清 (車寅次郎)
竹下景子 (江上久美子)
淡路恵子 (年輩マダム)
柄本明 (自殺志望者の坂口)

       *        *        *

竹下景子 in 寅さん、第三段!

・・・・・・うむむむ、だめだ。寅さんにヨーロッパは似合わない。ただの田舎ものに見えてしまう。たぶんこのあたりが、日本人の国際的感覚のなさなのだろうなと露骨に体感してしまい、あまりみていき気持ちのいいものではなかった。さらに云うなら、総ての愛に真実味がない。竹下景子と外国人の彼氏の愛、寅さんと竹下景子、淡路恵子となくなった旦那、柄本明と地元で知り合った女性・・・総てカップルに愛を感じない。ここまで形式的描き方はイカガなものかと思ってしまった。竹下景子とウィーンの恋人へルマン君とのやりとりはどのシーンもぎこちなくてうそくさい。海外ロケしたことにより、<寅さん>というヒーロー像ががほとんど機能しなかったという感じである。結果として形式手なすトーリー展開だけしか残らなかった残念な作品になってしまった。やはりこのシリーズは国内の、日本人の情緒がわかる範囲にとどめておくものだったのだと理解した。

この映画のポイントは、寅さんと海外という、およそありえない組み合わせを成立されるための段取りだろう。大体ほとんどの人は寅さんが飛行機にのるというイメージすらもてない。もっとも、沖縄に行った時は初めて飛行機にのっているのだけど。しかし、今回は成田からの出国である。パスポートだってもっていなければならないのである。寅さんがパスポートを取るなんて・・どういう段取りなんだ??って思ってしまう。しかし、映画の展開はなかなか巧みで、昭和の遺物である寅さんがパスポートをとり飛行に乗るまでの流れを面白おかしく表現してくれている。

<あらすじ>
陸奥を旅する寅次郎(渥美清)の乗るくローカル線の列車が急停車。線路に自殺願望の男が寝ているというのだ。心身衰弱のサラリーマン坂口(柄本明)を前にした寅次郎は、持ち前の義侠心で優しく諭す。坂口の望みは音楽の都オーストリアはウィーンに行くという事で、寅次郎に付いて来て欲しいという。寅次郎はウィーンを湯布院(九州の温泉地)と聞き違え、二つ返事で了解してしまう。
その気になってしまった坂口は、旅行代理店に電話をかけ、その旅行代理店の人間は葛飾柴又の《とらや》を訪れる。当然のことながら《とらや》の人たちは寅次郎がウィーンへ行くときいてびっくり仰天。寅次郎が実家にかえってくるなりなんとかやめるように説得する。そんなわけで、いったんウィーン生きは中止になるのだが、翌日《とらや》に迎えに来た坂口は、寅次郎が一緒に行かないということをきいて発作を起こしてしまう。
仕方なく成田までついて行く寅次郎だが、その流れてあれよあれよという間に飛行機に搭乗してしまい、とうとうそのままウィーンまで行ってしまう・・という流れ。

旅行のしたくも何もなしに、でもパスポートだけはもって空港にいき、そこからなんだかんだと坂口につれていかれ、搭乗口に吸い込まれていく流れは、ありえそうにない強引な展開なれど、そこそこ説得力があった。ウィーンについてからも、それほど違和感はなく撮られている。とにかく寅さんというキャラクターは、周りには日本人がいないと機能しないものだけど、それを可能にするためにウィーンで長年生きている淡路恵子を設定したり、マドンナ役をツアーコンダクターに設定したりと、まわりに日本人を配置している。

ウィーンに着いた二人だが、趣味が合わず別行動。坂口は美術館を見学し、寅は公園をぶらぶらしているうちにホテルへ帰れなくなる。江上久美子(竹下景子)が先導するツアーの一団をみつけそれについていってしまう。寅は久美子の休日に二人でドナウ川の辺に出かけた。久美子は故郷を思い出し日本に帰る決心をするが、ウィーンにはヘイマンという恋人がいた。彼は理解を示してくれて久美子は寅と坂口と共に帰国することになったが、いよいよ空港を出発という時ヘイマンがやって来て久美子を引き止めるのだった。

異国の土地で現地のツアーコンダクターをやってる気丈な久美子。その彼女が寅とあって心和んでいくというのはいつもの展開で、今回は後期作品では珍しくシリーズ初期の展開にもどり、寅さんを好きになりかけた女に最後はやぱっり選んでもらえないという報われない恋愛ドラマになっている。
それはそれで正解だと思うのだが、この物語を今ひとつもりあがらないものにしているのは、寅さんの立ち居地があまり素敵ではないということなのだろう。外国で自立しようとしている女性を「つらかったら返っておいで」という方向性で慰めるものだから、あまり寅さんに賛同できないのである。結果として彼女は残ることをえらんだのだから良いのだけど・・・、どうも、今ひとつきもちよく見られなかった。

by SSM2438 | 2011-03-07 23:29 | 男はつらいよ(1969)


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