西澤 晋 の 映画日記

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2011年 03月 21日

男はつらいよ26/寅次郎かもめ歌/伊藤蘭(1980) ☆☆

f0009381_21313214.jpg監督:山田洋次
脚本:山田洋次/朝間義隆
撮影:高羽哲夫
音楽:山本直純

出演:渥美清(車寅次郎)/伊藤蘭(すみれ)

       *        *        *

恐るべし、山田脚本!!!!
JR職員が書いたというトイレ掃除の作文で涙。


実はトータルな作品としてみると、「え、これだけ??」とかなり物足りなさを感じてしまう話であることは否定出来ない。しかしそれでもなお、この映画は見る価値が充分にある。一つはキャンディーズ伊藤蘭の圧倒的な可愛らしさ。そしてもう一つは定時制高校での先生が読んで聞かせるトイレの詩の作文が圧倒的な感動。『トイレの神様』ファン必見である(笑)。このパートだけ見るだけでも充分感動させられるだろう。

<あらすじ>
さくらと博が家を買い、その家を訪れてみると自分の部屋もあるという。感動した寅次郎(渥美清)はちょっと無理して祝いに2万円(当時としては高かった)を渡したが、その額があまりに多かったために、博は受け取れない、じゃあ、気持ちだけと言い、5千円だけ受け取ってお釣りを返そうとするとこれが寅次郎のゲキリンに触れてしまう。
f0009381_2262573.jpgそんなことで再び旅に出る寅次郎だったが、北海道の江差で同じテキヤ仲間の一人が死んだことを知らされ彼の家がある奥尻島に向かう。そこで一人娘のすみれ(伊藤蘭)を探し出し、墓を案内してもらい線香をあげる寅次郎。そんなすみれの母はすみれが3歳の時に出て行ったきり戻ってこない。父はのん兵衛ですみれに苦労ばかりかけており、高校も1年で退学している。そんなすみれは東京に出て定時制の高校に通いたいという。

寅次郎はすみれを東京に呼び寄せ、《とらや》に下宿させ、セブンイレブンでパートの仕事をみつけてやり、定時制の高校入学させるてやる。すみれのことが心配でしょうがない寅次郎はすみれの学校までついていき回りの人を困らせる・・と思いきや、生徒達の間でなにやら人気者になってしまう。実は寅次郎も中学3年の時に退学しており、高校にはいっていなかったのだ。そんな寅次郎の姿をみて先生たちも、寅次郎を教室内に入れてやる。
やがてすみれの母親が会いに来る。さらに函館時代の友人となのる男から電話が入る。電話をうけたさくらはどうしたものかと思いながらもすみれのバイト先のセブンイレブンの電話番号をおしえる。そしてその晩、すみれは帰ってこなかった・・・。

この物語の失敗ポイントは、すみれの恋愛模様があまりにもあっさりしていたことだろう。感情が解放されるまでのタメがほしかった。おかげで他のところはけっこういい描写があるにもかかわらず、見終わった後にかなり物足りなさを感じてしまう。
「葛飾」も読めない女の子(でも二十歳は過ぎているようだ)で頭もよさそうでないが健気に頑張る女の子というすみれの設定。そこにもう一つミステリーな部分を加味できなかったものか・・。
たとえば・・・、恋愛事に関してはほとんど口を閉ざしている。男から手紙や電話がかかってくる。なんか理由ありじゃないのか? よくよく聞いてみるとどうも函館にいるときに付き合っていた人がいたが暴力を振るわれそれからは相手にしていない。その男がついに東京に現れた。みんなですみれを守らなければ! しかし、すみれも実は彼が好きだった・・みたいな。
そんな展開を面白おかしく、時に理不尽に描いてやり散々みんなを心配させつつ、すがすがしい顔で朝帰りのすみれの潔さに持っていけばとっても良かったのに。そして、こんなあどけない娘でも、既に女であり、結婚を考えており、その相手はやっぱり貧乏そうな大工の見習いだけど、その人を選んだすみれちゃんを信じてあげるしかないよ・・という展開にしてほしかったかな。

やがて正月になり、その男もスーツ姿で《とらや》に登場、結婚の段取りなどをきめていく。しかし寅次郎はどこにいるのやら。一方さくらは、すみれの結婚が定時制高校で問題にならないかどうか確かめにいく。学校の方針は既婚者でも何も問題はないということだった。ただし、やめないでほしいと優しい言葉をかける。しかしほっとしたさくらに、残念だがこれは受け取れないという入学願書がもどされる。それは寅次郎の入学願書だった。彼は記録上中学校を卒業してないので現時点では願書は受け取れない。資格試験をうけてもらわないといけないというのだ。

車寅次郎
生年月日:1940年(昭和15年)11月29日
好きな学科:音楽と国語、
得意なスポーツ:競馬、競輪

願書に張られたきりりとした目つきの寅次郎の写真をみると、これが泣けてくるんだ。まるで『グレート・ギャッツビー』の、彼が紳士になるために自分に課した、勉強時間割を見せられ時の感動と同じであった。音楽の使い方もきわめて効果的なのだが、こんなんで泣きに誘導するか!!っと山田洋次演出の職人芸を見せ付けられるのであった。

by ssm2438 | 2011-03-21 21:51 | 男はつらいよ(1969)


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