西澤 晋 の 映画日記

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2011年 03月 01日

男はつらいよ48/寅次郎紅の花/浅丘ルリ子(1995) ☆

f0009381_1119571.jpg監督:山田洋次
脚色:山田洋次/朝間義隆
撮影:長沼六男
編集:石井巌
音楽:山本直純/山本純ノ介

出演:
渥美清 (車寅次郎)
浅丘ルリ子 (リリー)
吉岡秀隆 (満男)
後藤久美子 (泉)

       *        *        *

みなさん、ご苦労さまでした。

それまで私がみた近年に近い映画は『男はつらいよ・寅次郎の青春』(マドンナ:風吹ジュン)だったのだが、その後、間を飛ばしていきなり最後の映画をみてしまったのも問題あるのだろう。寅さん登場シーンのファーストショットで「あ、これはひどい・・」と思ってしまった。唇がけっこうあかくて、あれって口紅のせたのかな。相当病気がひどかったのだろう。当時すでに肝臓癌だった渥美清は、前作でもドクターストップがかかっていたのだが出演、それから1年、この遺作の撮影となっている。生きた証をのこしたかったのだろう。本編中もほとんど座っているシーンがおおく、歩くシーンはどはかなり重労働か体調のいい日だったのだろうなと思った。

映画としてみるとかなりつらい。現実が見えてしまうのがいたい。とにかく渥美清が肝臓癌でほとんど動けない状態で撮っているから覇気がない。まわりもかなり気を使っている。ドラマをリードするのは甥っ子の満男(吉岡秀隆)になっていて、なんとかかんとか、今出来るものでやっとこさ作ったという印象を観ている人が感じてしまう。
寅さんの映画でリリー(浅丘ルリ子)さんが出ればそれだけで、見ているわれわれとしてはけっこう幸せになれるのだが、やはり相手役の渥美清の生命力があまりに乏しかったのでテンションももりあがらない。当時一緒に共演した浅丘ルリ子は「たぶんこれが最後だろうな」と感じたいう。渥美清もそれを確信してたのだろう、「寅次郎をリリーと結婚されてやってくれ」と山田洋次に頼んだとか。

もうひとり病気で倒れたのが撮影監督のこのシリーズをずっと撮ってきた高羽哲夫。高羽に変わってカメラをまわしたのが長沼六男だが、個人的にはどうも好きになれない画面づくりだ。カメラがセットのなかにあるときはいいのだけど、カメラがロケに出たときはのカメラ位置が被写体にちかくていやだ。泉ちゃんが満男に「愛している」と強制的に言わせるシーンも、もうちょっと離れてアップを撮ってほしいものだ。あのカメラの距離だけでムードぶちこわしだ。あんなの全部寅さん/リリーさん目線の望遠でよかったのに・・・。かなり不満。

ちなみに、私が通ったのは津山高校。津山駅から学校への通りに道に、泉ちゃんが結婚式のために泊まっていた津山グランドホテル(だと思うが・・・)がみえる。津山の城跡のふもとにあり、あのあたりの風景をみると懐かしく思う。結婚相手の実家のある美作滝尾というところらしい。・・・知らない(苦笑)。

映画をみるまえから「結婚式をぶち壊してしまう満男」のエピソードは知っていたのだけど、いったいどんなにするのかな?って思ったら・・・・、ああ、そういうことかって思った。普通「結婚式をぶち壊す」っていったら誰しも『卒業』ダスティン・ホフマンをイメージするはずだが、この映画でも地方の因習にちなんだもの。
なんでもその美作の地域では花嫁さんをのせる車がバックするのは縁起がわるい!という言い伝えがあるとか(私は知りませんでしたが・・)。泉をのせたハイヤーが結婚相手の実家から式場に向かうみちすがら、一本道を通るのだが、そこで前方にとまっている白のセダン一台。泉の結婚相手の父親がおりて「すまんが花嫁さんが乗っとるんじゃ、ここはひとつ道をうずってはくれんかのう」と頼むが無視。そのまま車を前進させ、かなり緩やかに車をぶつけつつ、泉ののったハイヤーを押していく。後ろに何台も親戚縁者の車があって狭い路地はおおさわぎ。結局縁起がわるいのでその日の結婚式は中止になってしまう。その後は相手の親戚の若い者に車から引きずり出された満男がぼこにされるという展開。
なるほど・・・、そんな展開でしたか。。。
・・・しかし、泉とその男がどうして結婚することになったのか、その必然性があまりにないままのいきなりの結婚式だったので、満男のパフォーマンスを引き出すためのネタだけというのがもろに出て、ちょっと職人らしかなる感じがした。こういうのは嫌だなあ。展開を重くしないためとも取れるが、やっぱり、捨てるものは重たく描いていて捨てさせるが映画というものだし、かなり便宜主義的な展開でしたね、今回はすべてが・・・。

<あらすじ>
そんなわけで泉(後藤久美子)の結婚式をぶち壊してしまった満男(吉岡秀隆)。一方泉もやっぱり親のいいなりになるのはもうやめた!と東京に帰ってしまう。ほんとはそんな満男の行動がうれしかったのだけど。
その後満男は意識のあるやなしやで乗ってしまった寝台列車で鹿児島まできてしまう。そのあともふらふらと都合よくシナリオの導くままに寅次郎(渥美清)とリリーさん(浅丘ルリ子)に合流。そこに満男をおってきた泉ちゃんに「なんであんなのことしたのよ」と言われ「それは泉ちゃんを愛しているからだ」といってしまう。めでたしめでたし。
一方寅次郎もここ3ヶ月リリーさんと過ごしていたのだが満男と一緒に柴又に帰ってくる。リリーさんも一緒なのだが、《とらや》の人々は二人の部屋をひとつにするべきか否かなやんだりする。結局べつべつにしてその日は終了。老人ホームの母を見舞ったリリーが奄美大島に帰るという時、いつも逃げ腰の寅次郎だが、「送るよ」といってリリーのタクシーに乗り込む。「送ってくれるって、どこまで?」というリリーに、「男が女を送るってのは玄関までにきまってらい」とぼそり。「じゃ、運転手さん、奄美大島までいって」と喜ぶリリーであった。


余談だが、満男のファーストキスの相手ってリリーさんだったような気がするが・・・、気のせいかなあ?

by SSM2438 | 2011-03-01 00:27 | 男はつらいよ(1969)


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