西澤 晋 の 映画日記

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2011年 03月 09日

男はつらいよ39/寅次郎物語/秋吉久美子(1987) ☆☆☆☆

f0009381_16264660.jpg監督:山田洋次
脚本:山田洋次/朝間義隆
撮影:高羽哲夫
音楽:山本直純

出演:
渥美清 (とーさん・車寅次郎)
秋吉久美子 (かーさん・高井隆子)
伊藤祐一郎 (秀吉)

       *        *        *

寅次郎子育てシリーズ第2弾
擬似夫婦のシチュエーション設定がラブリー!


今回のマドンナの秋吉久美子は、色っぽすぎて、娼婦性があり、女性のしっぽり感がありすぎるので、この『男はつらいよ』のシリーズには似合わないような気がしていたのだが、ここで彼女は演じている隆子は悪くない。くわず嫌いすいませんでした・・・。

今回の物語の発端は《とらや》に秀吉(伊藤祐一郎)という子供が尋ねてくるところから始まる。この子、寅次郎のテキ屋仲間のマサの子供なのだが、酒と賭博と女にあけくれ妻には家を出て行かれ、「俺が死んだら寅をたよれ」と言い残し、死んでいったという。その子の母親は和歌山にいるらしいという情報をつかんだ寅次郎(渥美清)は秀吉を連れて母親さがしの旅に出る。
この母親というのはてっきり秋吉久美子だとおもっていたら違った。秋吉久美子はまったく関係のない人。

その母親が勤めていたというホテルや旅館をたずねつつ、新和歌浦から吉野へたどり着く。そこで働いているとおもいきやすでにやめてしまったとか。とりあえずその夜はそのホテルでとまることにしたのだが、その晩、秀吉は旅の疲れから高熱を出し、旅館で寝込んでしまった。どう対処していいのか分からない寅次郎は深夜にさくらに電話をかける。「深夜でもなんでも医者をよびなさい」というさくら。急いで旅館の管理人をたたき起こして近所の医者までタクシーをとばすそうとする寅次郎。そのあいだ、面倒をみてくれたのがたまたま隣の部屋にひとりで宿をとっていた高井隆子(秋吉久美子)という化粧品のセールスの女性。

実はこの隆子は不倫の関係にあり(勝手に推測)、ここで男と会うはずだったが相手が来なかったので一人で泊まっていたのだ。さらに以前子供を下ろしたことがあり、産んでいれば秀吉くらいの年頃だったらしいこともあり、その子に感情移入してしまう。
寅次郎を秀吉のお父さんだと勘違いした隆子が寅次郎を「お父さん」と呼ぶようになり、呼んでき医者(実は耳鼻咽喉科)は、ふたりを夫婦と勘違いし隆子のことを「お母さん」と呼ぶ。治療中、いちいちそれを改正する必要を感じなかったふたりはお互いを「お父さん」「お母さん」と呼ぶようになり、なんとかその晩のどたばた騒ぎを切り抜ける。その晩の出来事があってから、秀吉をはさんでふたりは「お父さん」「お母さん」と呼ぶようになり、しばしの擬似夫婦のファンタジクな時間をすごすことになる。
《とらや》からかかったきた電話でも、「お父さん」「お母さん」モードで話す寅次郎。そしてそのそばにいるらしい女性の声が寅次郎のことを「おとうさん」と呼んでいることにびっくり。

この映画の幸せ感は、この二人は擬似夫婦の時間を楽しんでいるときなのだ。見ている人もその時は幸せになれる。やがて伊勢志摩で秀吉の母がいることが分かる。明日は別れの日だという晩、秀吉を寝かしつけた寅次郎の部屋にはいってくる隆子。日本酒を飲みながら最後の夜の会話をしたあと、「今晩ここで寝ていい?」と秀吉によりそうようにとなりにもぐりこむ隆子。「寅さんもいらっしゃいよ」と隣の呼ぶ隆子。ま、いいかとテレながらも幸せそうに隣のねようとする寅次郎だが、ここで秀吉が寝小便をして良いムードは終わり。残念。

翌日隆子と別れて伊勢志摩へむかう寅次郎と秀吉。しかし、秀吉にとっては寅次郎と隆子と一緒に時間は実に幸せな時間だったので、それ以上のお母さんに会えるかどうか不安でもある。連絡船にのって秀吉の母が働いているという真珠店へ行くと、母は病気のため近くの療養所で休んでいるという。なんだか『母をたずねて三千里』のシチュエーションである。現実をみるまでの不安感いっぱいの秀吉がとってもいい。そして対面。店のおかみさんがやさしい人で食事の用意をしてくれていて、それをご馳走になる一同。しかしそのあとはあっさりさっていく寅次郎が実に男らしい。
船着場で連絡船にのる寅次郎だが、秀吉は「一緒に柴又に帰りたい」という。ふたりを母親にところまで連れて行ってくれたその船の船長さんも、「今晩だけでも一緒にとまっていけば」と言葉をかけてくれるのだが、きっぱりと否定し、別れをさっさと切り上げる寅次郎。泣けるんだ。

<未来のための思い出を裏切る>というのは泣かせの常套手段ではある。捨てるべき思いで部分を散々幸せいっぱいに演出しておいて、幸せかどうかも分からない未来のために捨てさせる。王道すぎて卑怯だとも思うがやっぱり泣ける。だああああああああああああああああああああ。

やがて、時がたち正月になり《とらや》に隆子がたずねてくる。寅次郎のいない《とらや》で擬似夫婦をやっていた思い出話にはなを咲かせているころ、寅次郎は二見が浦で露店を開いていた。そこで秀吉とその母、そしてあのときの船長さんが仲むつまじく一緒にあるいているのをみて安心するのであった。

by SSM2438 | 2011-03-09 12:54 | 男はつらいよ(1969)


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