西澤 晋 の 映画日記

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2011年 03月 21日

男はつらいよ27/浪花の恋の寅次郎/松坂慶子(1981) ☆☆

f0009381_9591588.jpg監督:山田洋次
脚本:山田洋次/朝間義隆
撮影:高羽哲夫
音楽:山本直純

出演:
渥美清 (車寅次郎)
松坂慶子 (浜田ふみ)

       *        *        *

松坂慶子第一弾!
この話から吉岡秀隆が満男として登場している。


やっぱり吉岡秀隆が満男におさまると居心地がいい。

しかし、なんといっても今回の話題は松坂慶子が『男はつらいよ』に登場したという事実だろう。このときまでゲストとして登場してないのが不思議なくらいであった。個人的な意見をいわせてもられるなら、りりーさんは松坂慶子でよかったと思ってるくらいだ(苦笑)。

私の松坂慶子のファースト・インパクトはNHKの大河ドラマ『国盗り物語』(1973)の濃姫である。その物語のなかで斉藤・とうとうたあ~らりとお~たらり・道三(平幹次郎)の娘であり、織田信長(高橋英樹)の正室となったのがこの濃姫。美くしゅうございました。中野良子の可憐さというのも目に付いたドラマでしたが、このドラマのなかでの松坂慶子が絶品、私の中のベストブ・ザ・松坂慶子です。
じつはこれ以前に彼女にはあっておりました。『ウルトラセブン』のブラコ星人の回に登場したアンヌの友人で、ダリーに寄生される女性、あれが松坂慶子でした。当時はちょっともさっとした印象でしたが、いつのまにやら美しくなってしまわれました。

この『浪速の恋の寅次郎』では、大阪の芸者という役どころ。個人的に松坂慶子=大阪女というイメージが受け入れがたく、食いつきづらい映画だったのだけど、それでもあの潔い濃姫の出番となれば見ないわけにはいかぬまい!と思い、物心ついてはじめてみたのが実はこの映画。そういうわけで、寅さん初体験は、もっと若い頃に、どれかの映画をみたと思うのだけど、二十歳を越えて、映画の勉強しようと思って強く意識してみた『男はつらいよ』はこれが最初だったと思うのです。思い出深い映画です。

先ごろもう一度見直してみたのですが・・・、それほど傑出したイメージはなかったかな。たぶん松坂慶子って、渥美清の顔に合わない(笑)。『男はつらいよ 寅次郎の縁談』の時のほうが好きかも。こちらの時の松坂慶子はちょっとぽてっとしてて、スッピンにも近く、このシリーズになじんだ顔になっていたような気がした。

<あらすじ>
瀬戸内海の小さな島でぼお~~~っと海を眺めている寅次郎(渥美清)。ふとみると、30そこらの女性がひとり墓参りに丘を登っていくのがみえる。たまたまそこに居合わせたことが縁で、線香の一本もあげさせてもらったことが縁となり、大阪のまちで再会することになる。彼女は芸者で名を浜田ふみ(松坂慶子)という。
寅次郎は、ふみから20年近く前に生き別れになった英男という弟がいることを聞かされる。別れた時弟は5歳。「会いたいけど、会ったって嫌な顔されるだけよ」と言うふみに、たった二人の姉弟じやないかと会いに行くことを勧める寅次郎。かくして弟探しのささやかなロードムービーに展開する。

20年近くもあってなくて、今どうなっているのか?
ぐれてるんじゃないか?
会っても受け入れてもらえるのか? 
過去になった部分の自分を、既に忘れようとして生きてるのではないか? 
だとしたらそんな弟と会うことが正しい選択なのだろうか?

かすかな便りをたどって、ふみの弟、英男の勤め先を探しあてた二人だが、彼の職場の人たちの対応がすこし変だ。不安を感じるふみ。実は英男はつい先月心臓病で他界したという。小さな運送会社だが、その事務所に祭壇をつくり、社員のみんなで葬式をだしてあげたという。さにげないやり取りの中に、英男が誠実な人間で、みんなに愛されていたことが伝わってくる。
そして英男の住んでいたアパートを訪れるふみと寅次郎。すでにあったものはほとんど片付けられた部屋で長年生き別れていた弟の存在を感じていくふみ。英男の同僚と恋人の信子が、勝手しったる他人の家とばかりに、ふたりをもてなしてくれる。英男は生前、信子に「やさしかった姉がいる」ということをいつも語っていたという。その言葉をきき涙を流すふみ。
自分が想っていた様に、弟も自分のことを大事におもっていてくれた・・・、それが判っただけで、このふみのこころは達成したかったものにたどり着いたのだろう。

その夜もお座敷があるふみは、仕事に出て行く。気丈にでていくふみだがだんだんと悲しみがこみ上げてくる。いてもたってもいられず、座敷は強引に途中退場、さんざん呑んだあげく寅次郎がとまっている旅館にあらわれる。「寅さん、泣いてもいい?」と寅の膝に頭をのせ泣きながら、そのまま寝入ってしまうふみ・・・。

この「寅さん、泣いてもいい?」は、山田洋次がさりげなく用いるチャーミングポイントである。#22の『噂の寅次郎』でも、大原麗子にこの台詞をいわせている。このシリーズを通してみると、山田洋次という人は、みせるツボをいくつもパターン化して持っているのだということがわかる。物語作りをめざす人にはとてもいい勉強素材だということが判った。

寅次郎はそんなふみに掛布団をそっとかけると、別の部屋で寝る。翌朝、ふみの姿はなく、「寅さん、迷惑なら言ってくれればいいのに。これからどうして生きていくか、一人で考えます」との置手紙があった。
しばしの時がたち、寅次郎が《とらや》に帰っていた。そんな《とらや》に突然ふみが訪ねてきた。芸者仕事で客扱いはなれたもの。忙しい時に《とらや》の客をきりもるふみ。夜になりみんなで夕食をとっていると、ふみは芸者をやめ、結婚して故郷の島で暮らすことを報告に来たのだ。二階にあがっていった寅次郎をおっていくさくらは、暗がりの中で涙をこたえる寅じろうをみるのだった。

それから数ヶ月して、対馬ですし屋の女房としていきいきと働くふみを寅次郎がたずねていったところでさわやかにおわる。

by ssm2438 | 2011-03-21 04:06 | 男はつらいよ(1969)


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