2011年 03月 04日
監督:山田洋次 脚本:山田洋次/朝間義隆 撮影:高羽哲夫/花田三史 音楽:山本直純 出演: 渥美清 (車寅次郎) 吉岡秀隆 (諏訪満男) 後藤久美子 (及川泉) 吉田日出子 (旅館の女将・聖子) * * * 吉田日出子のほんわかモードが穏やかな時間の流れをつくってくれる。 実は、そんなに悪くない及川泉シリーズ。ただ、リーディングキャラクターが、42作目の『ぼくの伯父さん』から満男(吉岡秀隆)になり、彼がもともめる女性が及川泉(後藤久美子)でとりあえず固定され、寅さんはそのサポートキャラにおさまってくる。そのため寅次郎の恋愛がかなり薄手で、それまでの『男はつらいよ』とは本質的になにかが変わってきている。オールドファンにとっては、その変化がそれほど嬉しくないのも無理はないが、作品がもう以前の寅さんではないということを受け入れれば、それほど悪くない。 それにこの44作目では、寅次郎の恋愛劇も復活しており、やっぱりこうなると寅さん映画らしくなるのである(笑)。 <あらすじ> 東京での就職を考えている及川泉(後藤久美子)は満男の家に泊まることになる。翌朝泉は高校教師に紹介してもらった楽器屋を訪ねるが、高卒での採用は厳しいといわれ、短大でもいいから入ってからにしたら・・とアドバイスされる。しかし、泉にはもう親に世話になりたくない状況にいたのである。 職探しに失敗した泉が名古屋に帰ると、泉の母親礼子(夏木マリ)は付き合っている男を家に連れてくる。その男を突き飛ばし、自室にこもる泉。翌日泉は家を出た。それから数日後、満男の元に泉から絵葉書が届く。その絵葉書は鳥取砂丘だった。そして書いた字は涙でにじんでいる部分がある。ただならぬ気配を感じた満男は「泉ちゃんから連絡があったら鳥取砂丘でまってるからと伝えて」と言い残し一路鳥取へ向う。 ここまでのシーンでなかなか切ないのは、泉の就職をねたに笑い話をする《とらや》の面子。看護婦さんがいいとか、スチュワーデスでかわいいとか、そんなかなり軽薄なモードで笑い話をする反面、その軽薄さを良く思わない満男がブスっとしている。このあたりで感情移入の違いをさらりと描いている。 鳥取県倉吉市の打吹玉川(伝統的建造物群保存地区)付近で、雑貨屋をいとなんでいるおばあちゃんから親切にされた泉は、その夜そこに泊めてもらうことになり豆腐を買いに出る。そこで行商にきていた寅次郎に出会い、おじちゃまあああと泣き出してしまう。その夜は雑貨屋で雑魚寝する3人。満男が鳥取砂丘でまっているという伝言をきいた泉は翌日満男を再会する。 鳥取砂丘の丘のうえで、遠くをみている満男。どこからともなく「せんぱーーーい」の声。気づくと泉がこちらにむかってかけていきてる。砂丘を転がるようにかけよる満男のスローモーション。なんだか寅さん映画ではないみたいな演出である。 その後寅次郎は二人を連れて昔馴染みの料亭へ向かう。そこの女将・聖子(吉田日出子)は、かつて寅次郎が所帯を持とうとした女性であったという設定(かののシリーズにおいてそのような話はないのだから、ここで突然つくった話なのだろう)。結局昼ごはんを食べたら出かけるはずが、聖子は一年前に夫と死に別れて寂しい思いをしていると告白。墓参りをすませた寅次郎たちはその料亭に泊まっていくことになる。 ふすまをはさんで一つ屋根の下に寝るちょっとトキメキモードの満男はどこか修学旅行で味わったような雰囲気。下の階ではまだ寅次郎と聖子が思い出話に花をさかせている。良いムードになりかけた二人だが、その様子をきになった満男が階段からおちて終了。 翌日、鳥取駅で寅次郎に見送られながら満男と泉は東京に帰っていく。じっと海をみつめている泉の手をそっと握る満男。泉も満男のてに自分の手を重ねてくる。 家に戻った泉は、母親に「ママ、幸せになってもいいよ」と告げと、おお泣きをする母であった。
by ssm2438
| 2011-03-04 19:07
| 男はつらいよ(1969)
|
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主観重視で映画の感想を書いてます。ネタバレまったく考慮してません。☆の数はあくまで私個人の好みでかなり偏ってます。エンタメ系はポイント低いです。☆☆=普通の出来だと思ってください。 by ssm2438 リンク
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