西澤 晋 の 映画日記

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2011年 03月 31日

新・男はつらいよ4/栗原小巻(1970) ☆

f0009381_18513199.jpg監督:小林俊一
脚本:山田洋次/宮崎晃
撮影:高羽哲夫
音楽:山本直純

出演:渥美清 (車寅次郎)
    栗原小巻 (春子)
    森川信 (車竜造)

       *        *        *

森川信のベスト・オブ・寅さん映画はこれである!

・・・しかし、出来は非常によくない。脚本は山田洋次と宮崎晃という、前半部のいつもの面子なのだが、なぜか面白くない。作品としてはシリーズ5作で終了ということで始まったらしい。1・2作は山田洋次がメガホンを取り、3・4作は脚本だけ、そしてまた5作目で監督脚本という予定だったらしい。しかし人気がでてそのままつづくことになったとか。この話はテレビシリーズの監督をやっていた小林俊一がメガホンをとっているのだが、かなり忠実に脚本を映画にしたのではないかと推測する。

前半部はなかなか面白いのである。寅次郎が競馬で100万円あてて、おいちゃんとおばちゃんをハワイ旅行につれていってやるという話。しかし、旅行会社の社長がその金を持ち逃げしてハワイ旅行はパー。近所の人の手前を気にする夫婦は、夜中にこっそり帰ってきた。そして、寅さんの提案により、数日を戸締りし、電気もつけないで暮すことになった。だが、その第一日目、留守を承知に押入った泥棒が暗闇の中に三人を発見して大恐慌。この件により事の始終は近所の人たちの知るところとなるというお話。

導入部の《とらや》舞台の一騒動としてはとても楽しいエピソードで、小林俊一にしてみればなれない監督業で丁寧に作りすぎている感さえある。なのでちょっとテンポがよくないかな。もうちょっとさくさく見せて欲しいくらいなのだ。この人は、芝居をつくる立場の人というよりも制作サイドの人で、監督業はどはほとんどしていない。テレにシリーズの時に監督ということにはなっていたのだが、おそらく、ドラマ作りというよりもシナリオを作るまでのスポンサーや局とのやりとりをこなした人で、各話数はそれぞれの話数の演出家が仕切っていたのだと思う。そういう時代だったのだ。たぶん、この人が監督をやるということは、他の人をたてる時間がなかったのだと思う。他の人に頼むのならある程度完成度高いシナリオにしあげてないと頼めない。しかし、山田洋次には時間がない。練りこんでないシナリオを映画にするには「とりあえずオレが監督やってなんとか撮るよ。でも質はとわないでくれ」って感じだったのでと思う。

この映画の最悪なのは、春子先生(栗原小巻)への寅次郎の感情移入があまりに浅い。浅いけど、フラれたら深刻。でもフラれたかどうかもよくわからない。ただ春子に男が会いに来たというだけなのだ。
もちろん会いに来ただけでも、ドラマとして成立させようと思えば出来るはずだが、行間の演出ができてないので、ただ会いにきただけなのだ。
さらに春子先生の親とのやりとりも、別けありなようだがこれも行間が演出されていないので、ただそれだけ。恋人にしても、親との確執にしても、それが常に水面下に存在しているという演出をそうでないところからやっていればこんなことにはならないのだどうけど、そのシーンにきていきなりそのモードになるので「あれ? そうなの。ふう~~~~~ん」なのである。

しかし、この映画輝いているシーンもある。長い間確執のあったらしい父親にずっと会わずにいたらその父親も死んでしまい、意地をはった自分に罪悪感を感じる春子。そんな春子をなんとかなぐさめようと《とらや》の面々が気を配るのだが、そのなかで寅次郎が現実を忘れるような悲しい恋愛小説なんかしらないか?とおいちゃんに尋ねる。するとこのおいちゃん(森川信)が座りなおして水を一口のみ、語りだす。
この語り口が絶品。物語のラストのシーンを涙を流しながら自分に酔って語る語る。きいてる寅次郎まで一緒に泣いてしまう。そんな場面をみた春子が馬鹿笑い。父親が死んでから笑顔をみせなかった彼女がやっと笑ったという、この映画のなかでもっとも感動的なエピソードだった。

<あらすじ>
ハワイ旅行がパー事件のあと旅にでた寅次郎が、《とらや》に帰ってみると自分の部屋に春子(栗原小巻)が下宿している。帝釈天の幼稚園の先生で、午前様のくちききだそうな。春子先生にいはなにやら父親と確執があるらしく、春子は父などいないものだと解釈しているらしい。そんな春子のもとに父の主治医がたずねてきて、一度あってくれないかと言う。断る春子。しかしそれからしばらくして春子の父は死ぬ。罪悪感を感じておちこんでいる春子をなんとかなぐさめようとする寅次郎と《とらや》の面々。しかしある日春子の彼氏らしい男が《とらや》を訪れる。失恋を予感した寅次郎はふたたび旅に出る。

はは・・・、こうかくとほんとにストーリーだけなのだが、実際それ以上の何もない。困ったもんだ。

by ssm2438 | 2011-03-31 12:51 | 男はつらいよ(1969)


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