西澤 晋 の 映画日記

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2011年 03月 30日

男はつらいよ16/葛飾立志篇/樫山文枝(1975) ☆☆☆

f0009381_98770.jpg監督:山田洋次
脚本:山田洋次/朝間義隆
撮影:高羽哲夫
音楽:山本直純

出演:
渥美清 (車寅次郎)
樫山文枝 (筧礼子)
小林桂樹 (田所博士)
桜田淳子 (最上順子)

       *        *        *

レイコ先生ですか・・・、ちょっとときめく語感です。

いやあああ、おもったより良かった。とってもさわやかな話でした。物語的には並の話で、本来☆2つくらいが相当かと思うのですが、今回は田所博士(小林桂樹)が良かった。おかでで感情移入しまくってしまい、ちょっと甘めに☆ひとつ追加(笑)。

しかし、物語の完成度から言えば、かなり低い映画です。せっかく桜田淳子を登場させてもほとんど機能せず、もうちょっと物語りにからめられなかったものかと思います。桜田淳子のはなしだけでも一本できそうなのに・・、そしてそれが出来てたらそれなりにいい話になったと思えるのに、それをふくらまさず、別の映画にしてしまったのがかなり残念。もうちょっとなんとかならんかったんですかね・・・。これだと話の起点にんったエピソードの立つ手がない。。。
物語は、その桜田淳子演じる順子の母・お雪さんの思い出から、寅さんがお勉強にめざめるという話。しかし本質的にめざめてるわけではなく、かなりいいかげん。きっとこの人は永遠に目覚めないのでしょう。

たぶん山田洋次が、おのシリーズのなかで描きたいと思っているのは、「お金」でも「知識」でも「才能」でもないところに見出す幸せ・・だと思われます。
なので、このシリーズのなかには、意志力が強く、ひとつのことにのめる込み、成し遂げていくような人はほとんど登場しません。登場してもどこかで挫折して普通の人へと変わっていきます。#21『寅次郎わが道をゆく』の木の実ナナにしても、#37『幸せの青い鳥』の長渕剛にしてもそうです。大空小百合にしても、役者修行をしてても結局はラーメン屋で働き、感番屋ではたらく長渕剛と結婚して普通の奥さんになってしまいます。#42以降主役となっていくさくらの息子・満男にしても意志力の強い人としては描かれません。
夢を追うことなんてこの映画のなかではないのです。好きな人をおいかけて現実の生活をする。それが『男はつらいよ』という映画だといってもいいでしょう。

実は『男はつらいよ』のなかで山田洋次が実質的なヒーローに設定しているのはタコ社長じゃないかとおもったりします。かつては弁護士をめざして法学部に通い、それが転じて印刷工場の社長さん、いつも手形と借金になやまされ、銀行と工場と税務署にいったりきたり。社員がやめるとなると退職金のことをあたまをなやませる。うちに帰れば狭い部屋に子供4人と住んでいてにぎやか過ぎ。さくらと博がすんでいたアパートのほうが断然裕福にみえます。
そんななかでも会社を経営し、みんなを食べさせてるタコ社長。えらいなあって思いますね。
ちなみにその長女があけみが、後に美保純となってシリーズの登場してきます。

ま、それはさておき、
なので、このお話では「学問は必要だけど、一番大事じゃないよ」ってところがポイントになります。それが分っている二人の男、車寅次郎と田所博士が一人の女性レイコ先生に恋をします。きちんと言葉にして表現したのは田所博士ですが、「今は恋愛は考えられない」とあえなく玉砕。もちろん寅次郎に告白する勇気などはなく、想像だけで失恋し、最期は振られたもの同士旅にでてます(笑)。

・・・・ったく、女ってのは!!!!って話です。
男が「いいね!」と思う恋愛と、女が「いいね!」と思う恋愛は合いれることはないんだ!!ということなのでしょう。私は今回の映画の中にはミケランジェロ・アントニオーニを感じてしまった(苦笑)。『男はつらいよ』とうタイトルが実にしみじみきた映画でした。

<あらすじ>
山形から修学旅行で上京してきた高校2年の順子(桜田淳子)が《とらや》をたずねてくる。順子は、その寅次郎が自分の父ではないかとおもい会いにきたのだ。16~17年まえ、貧乏だった寅次郎はその母のお雪さんに食事をほどこしてもらい、それからというもの正月には年賀状と500円札を一枚、毎年送っていたという。その娘が順子だった。そして順子からお雪がつい最近死んだと聞き、墓詣りを兼ねて、山形を訪ねた。そこで寅は寺の住職から、お雪の生前の不幸を聞かされ、学問がなかったために男に騙されたという彼女の無念さを噛み締めた。

勉学をこころざして柴又に戻ってみると、自分の部屋は一人の女性に貸し出されていた。彼女は御前様の親戚で大学で考古学こころざす筧礼子(樫山文枝)という。彼女に歴史を教えてもらうことになり張り切る寅次郎。しかし、礼子先生そばには奇人だが天才肌の田所博士(小林桂樹)の存在があった。はためには二人の関係は、歳ははなれているが理想的なカップルにも見える。そしてある日礼子先生は、田所博士から求愛されたことを寅次郎につげる。「終わったな」と思う寅次郎はいつものように旅に出る。しかし、田所もまた「学問に専心したい」という礼子に断られていた。
振られたもの同士がなぜか合流して正月を旅先ですごす寅次郎と田所博士だった。

by SSM2438 | 2011-03-30 19:12 | 男はつらいよ(1969)


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