2011年 06月 17日
監督:オリヴァー・ストーン 脚本:オリヴァー・ストーン 脚色:エリック・ボゴシアン 撮影:ロバート・リチャードソン 音楽:スチュワート・コープランド 出演:エリック・ボゴシアン (バリー・シャンプレーン) * * * 言葉を武器にする人の、言葉を武器にする人による、言葉を武器にする人のための映画 ディベートの国=アメリカらしく、言葉による議論をリスナーと非妥協的に展開するラジオDJ。それがこのものガタリの主人公。いかに相手の意見の偽善をあばき、それを端的な言葉にし、自分の主張を視聴者に納得させるか。言語能力バトル。日本人的な遠慮とか配慮なんてものは存在しないがちがちのディベート合戦、それをラジオでやっているのがこの映画。 物語構成的には、自分のスタイルをもっていたラジオDJが、そのスタイルを貫くあまり、そのスタイルのほうが自分を支配し、最後は殺されちゃうという話。自己のスタイルが、自分のパッケージになり、パッケージが肥大化し、自分が追いつかなくなる。『ゴッドファーザー』のシリーズににてるかもとか思った。あれも、自分の身近な人を守りたいって思ってたところから組織が肥大化していき、マイケルの時代には組織に自分を合わせなければいけなくなり、いつのまにか、愛されていない自分になっている・・という流れ。 このころラジオのDJものが他にも何本かあった。クリスチャン・スレーターの『今夜はトーク・ハード』、ドリー・パートンの『ストレート・トーク』、そしてこのオリヴァー・ストーンの『トーク・レディオ』。個人的には言葉だけで物語と構築するのでこの手の映画はけっこう好きで、この3本は全部みた。でも他にもあるかもしれないけど。一番ダークなのがこの『トーク・レディオ』。良くも悪くも、観心地がよかろうが悪かろうが、実にオリヴァー・ストーンの映画だった。 そしてこれはオリヴァー・ストーンの自分の立場の肯定でもあるのだろう。シナリオライターから映画監督になった人の自己肯定。映像にたよならい、言葉で説明する、言葉でみせる、言葉で戦う映画作り。オリヴァー・ストーンの映画にはいつもそれを感じる。 しかし、どこをとってもオリヴァー・ストーンという印象をうけるこの映画だが、実は原作者であるエリック・ボゴシアン本人が脚色し、主演しているという、ボゴシアン自身の映画でもある。クレジットをみると脚色とうところに彼の名前があるとくことは、彼の原作をもとにオリヴァー・ストーンがシナリオを書いて、それをボゴシアン本人が書き直したり、本番中にアドリブを入れたということなのだろう。 映画の印象だけだとかなり自己の主張をてんかいするようにみえるオリヴァー・ストーンだが、実は問題の提示者をかなり立てて映画にしている。『7月4日に生まれて』のロン・コヴィックや、『JFK』のジム・ギャリソン(実はジム・ギャリソン自身が『JFK』の原案である)。 ・・・でも、出来上がったものはいつもオリヴァー・ストーンの印象なのだけどね・・。 <あらすじ> リスナーからかかってくる電話をに、自身の意見を毒舌で切り返すラジオDJのバリー・シャンプレーン(エリック・ボゴジアン)。彼の言葉は社会の矛盾や個人の偽善などを辛らつに暴き出す。しかしその一方では、聴取者を罵倒し言いたい放題の彼を憎む者も多く、電話で脅迫されたり、ユダヤ人を擁護するバリーに対するネオ・ナチ・グループの嫌がらせなどもあととたたない。 自分のスタイルに非妥協的なバリーの放送はますますヒステリックになってゆき、声をからして真実を聴取者に訴えるバリーの迫力に、局のスタッフも息をのみ、全国ネットの契約も正式に交わされた。しかしその夜、放送を終えて表に出たバリーは、何者かによって射殺される。。 --この映画をみて思い出されるのがリチャード・バックの『イリュージョン』という本。このなかでやっぱり主人公がおひとりがこの映画の主人公のごとく、ラジオで毒舌をはきまくる。その結果、その地域の人の反感をかい、それがこじれて最後は撃たれて死んじゃうのだけど、その小説の具現化されたものとして、私のなかでみょうに印象にのこっている映画だ。
by ssm2438
| 2011-06-17 08:57
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主観重視で映画の感想を書いてます。ネタバレまったく考慮してません。☆の数はあくまで私個人の好みでかなり偏ってます。エンタメ系はポイント低いです。☆☆=普通の出来だと思ってください。 by ssm2438 リンク
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