西澤 晋 の 映画日記

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2011年 10月 19日

パンデミック・アメリカ(2006) ☆☆

f0009381_1084740.jpg原題:COVERT ONE: THE HADES FACTOR

監督:ミック・ジャクソン
原作:ロバート・ラドラム
脚本:エルウッド・リード
撮影:アイヴァン・ストラスバーグ
音楽:J・ピーター・ロビンソン

出演:
スティーヴン・ドーフ (ジョン・スミス)
ミラ・ソルヴィノ (ランディ・ラッセル)

       *        *        *

おお、ミック・ジャクソン再び!

アメリカの3箇所で、3人がエボラ出血熱とにたような症状で死亡する事件がおきる。同じウイルスによって死亡したとみられるが3人の関連性はみあたらない。合衆国陸軍伝染病研究所の主任科学者ジョン・スミスにその調査が依頼される。彼は嘗てアメリカ大統領のテロ対策直属機関であるカヴァート・ワンに所属していた。4番目の被害者がでた。現地調査をしていた彼の婚約者のソフィーがウィルス感染によって死亡する・・・。

原題は『COVERT ONE: THE HADES FACTOR』。「カヴァート・ワン」とは、テロに対抗するためにつくられた秘密組織の名称。原作者は『ジェイソン・ボーン』シリーズのロバート・ラドラム。当初は6部構成で作られる予定だったが、ラドラムが一人で書ききれなかったのか、小説はラドラムともう一人の作家の共作という形をとっている。ラドラムが初稿を書いて、もう一人の人がそのあと手直しをして完成させたのだろう。結局シリーズは8作目まで進んだが、ラドラムの急死によって完結しないまま終了してしまったそうな。
この映画は『ボーン・アイデンティティ』(シリーズ1作目)と『ボーン・スプレマシー』(シリーズ2作目)の間に撮られたTVMであり、『カヴァート・ワン』シリーズの1作目。おそらく前後編(各90分)で放映されたものを、一つにまとめ、『パンデミック・アメリカ』というタイトルでDVD販売されたのだろう。あわせて3時間という長尺なのだが、そのあたりを理解してみればそれなりに耐えられる展開である。

監督は知る人ぞ知るミック・ジャクソン。アメリカでの仕事はケビン・コスナー『ボディガード』が一番認知されてるだろうが、もとはイギリスのテレビ番組製作者であり『SF核戦争後の未来・スレッズ』(1984)の監督さんである。安い予算のなかできちんと作ることはかなり出来る職人さんで、語り口は硬派ピーター・ハイアムズに似てる。しっかり、きちんとかっちり作る。出来上がった映画の人気はおいといて、こういう低予算を駆使してきちんと作る人は大好きなのだ(苦笑)。
最後の対決シーン、橋の上の渋滞シーンなんか、とっても素敵であった。悪玉君が逃走するのだが渋滞に巻き込まれて端の上で立ち往生。車が橋の上にだらららららっと並んでいるのだが、車はエンジンをかけているので排気ガスがでてる。寒いのでこれが白くみえる、そこに車のヘッドライトがあたっている。足元は、スモーク焚いてリドリー効果(スモーク焚いて、それにライトを当ててカッコいい画面を無理やりつくるリドリー・スコットの常套手段)を出している。低予算ながらこういう見せ方をしっかりやってくれるというのは素晴らしい。

ラドラムの物語というのは、いつも着地点の見えない(苦笑)。
『ジェイソン・ボーン』シリーズにしても、「この話って、いったい何処におちつくんだ??」って終わりがみえないまま見ているのだが、一つ一つのエピソードの語り口が上手いのだろう、ついつい緊張感をきらずにみさせてくれる。そしてミディアムサイズの山がいくつも連打される感じで、「ここが最大のヤマ場だ」というのがないのも特徴だ(苦笑)。

この話はさらに続く話の第一作目であり、終わり方はあまりにも納得いかなというか、全然すっきりしない。
エボラ出血熱のような症状をみせるウィルスに感染してしまった悪玉君が逃走、その橋の上での攻防になるのだが、主人公との撃ち合いのすえお互いが傷ついてしまう。さらに血まみれの状態で取っ組み合い、最後は橋から落ちる(考えてみるとラドラムの話ではよく河に落ちるな・・はは)。なんとか岸に這い上がった主人公に「きっと彼は死んだのよ」と声をかけるミラ・ソルヴィーノ嬢。おい、そんなの誰も信じてないだろうと思うのだけど、それから2週間後とテロップがはいり、傷の癒えた主人公が死んでしまったフィアンセの墓の前にいるというもの。
ウィルス感染した人が血をながしながら河におちて、そのまんまでいいんですか???って心配になってしまう。というか、そんな終わり方されたら全然終わった気がしない・・・。
ま、テレビシリーズでこの『カヴァート・ワン』のシリーズを続けるつもりだったのだろうが、ちょっとエンディングにしてみると納得いかないかな。もうすこし、この一作の終わりとして安心できる終わり方はなかったものか・・。

余談だが、このタイトルって考えてみると変ですね。
「pandemic」というのは、「世界中に流行していく」という意味の形容詞で、

pandemic disease (世界的流行病)
pandemic influenza (世界的に流行するインフルエンザ)

・・・みたいな使い方が普通。つまり、世界的に広がっていくのはディジーズなわけです。で、「パンデミック・アメリカ」だと、世界中に流行していってるのがアメリカであるって意味になってしまう。多分このタイトルをつけた人は、「ウィルス感染に犯されたアメリカ」という意味でこのタイトルをつけたのだろうけど・・・。
しかし「ウィリスのように感染していくアメリカ」。これはこれで、ある種、深読みすべき意味がありげだけど・・・。

by ssm2438 | 2011-10-19 10:43


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