西澤 晋 の 映画日記

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2011年 11月 13日

マネーボール(2011) ☆☆☆

f0009381_16161489.jpg原題:MONEYBALL

監督:ベネット・ミラー
原作:マイケル・ルイス
脚本:スティーヴン・ザイリアン/アーロン・ソーキン
撮影:ウォーリー・フィスター
音楽:マイケル・ダナ

出演:
ブラッド・ピット (ビリー・ビーン)
ジョナ・ヒル (ピーター・ブランド)

       *        *        *

現代の『市民ケーン』シリーズ第二弾!
※第一弾は『ソーシャル・ネットワーク』

この物語の主人公となるビリー・ビーンは、走・攻・守3拍子そろった超高校級選手として1980年のドラフト1巡目指名でニューヨーク・メッツに入団したが、その後の活躍はなかずとばず、結局トレードに継ぐトレードをかさね、最後はアスレッチクスで6年間の短い選手生活を終える。現役時代の通算成績は、148試合に出場して、打率.219、本塁打3本。

1990年からオークランドの球団スタッフに転身しスカウトとして活動、1993年にはアスレッチクスの黄金時代を経験するGMサンディ・アルダーソンのアシスタントを務め着実に地位を築いていった。1995年にオーナーの死去によりアスレチックスの財政状況は大きく変わり、スター軍団は解体を余儀なくされる。このころ、アルダーソンはセイバー・メトリクスの祖、ビル・ジェームズの著書『野球抄』シリーズを参考に出塁率・長打率を重視する旨を記した冊子を作り、マイナー選手に持論を説いていった。この冊子に書かれた理論がビリーの球団運営哲学の礎となった。1997年、アルダーソンの後任としてビリーはアスレッチクスのゼネラルマネージャーに就任。先代GMアルダーソンの思想を受け継ぎ、セイバーメトリクスを駆使し、無駄な要素を極力省き低予算でチームを強化、その後の10年間で、5回もプレーオフに導いている。
その活躍のもっともピークだったのがこの2002年の地区優勝した年を映画にまとめたのがこの映画である。

<2001年のシーズン>
オークランドが所属するのはナショナル・リーグ(DHがあるほう)の西地区。この年イチローが加わったシアトル・マリナーズは、大魔神・佐々木の活躍もあり、116勝という圧倒的な勝ち星で西地区優勝を決めたが、同地区2位のオークランド・アスレッチクスも100勝をこえる驚異的な勝ち星で、ワイルドカードをゲット、プレーオフに進出していた。結局リーグ優勝はニューヨーク・ヤンキース。ワールドシリーズはランディ・ジョンソンカート・シリングを擁したD・バックスの優勝でシーズンを終えた。
このシーズンの後オークランド・アスレチックスの不動の4番だったジェイソン・ジオンビーがFAでヤンキースに、1番のジョニー・デーモンレッドソックスに移ることになる。

ジオンビーの成績は
1999年 打率.315、33HR、123打点、
2000年 打率.333、43HR、137打点、
2001年 打率.342、38HR、120打点、

当時「3冠王に一番ちかい男」と言われていたジオンビーの流出はかなりの痛手だった。

ただ、映画ではいささか誇張して描かれているが、ジオンビーが抜けたとはいえ、オークランドのクリンアップのミゲール・テハーダエリック・チャベスは強力な打線であり、2002年も2人あわせて68HR、240打点を稼いでおり、依然として強力な破壊力をもっていたことには変わりない。

<シナリオに関して>
ウィキペディアによると、原作をもとにスタン・チャーヴィンが草稿を書き、スティーヴン・ザイリアンが脚色した。のちにアーロン・ソーキンが脚本を改稿したという。
やはりスティーヴン・ザイリアンがこの脚本の根幹になっていると言ってよいだろう。スティーヴン・ザイリアンは私の好きな映画の一つで『ボビー・フィッシャーを探して』のシナリオを書き、同作品の監督もやっている。「間」の書き方がよいのである。話は変わるが坂元裕二『東京ラブストーリー』のシナリオをみると

永尾 「----------」
リ カ 「----------」
永尾 「----------」
リ カ 「----------」

のような描写がよく出てくる。大好きである。
私は、言葉にしない台詞 「----------」こそがもっともカッコいい台詞だと認識しているので、同じように「間」で書くザイリアンのシナリオはかなり好きである。『ボビー・フィッシャーを探して』のシナリオはそういう意味で大好きなのだ。
そしてその対極にあるのがアーロン・ソーキン。こちらは言葉にしないと気がすまない体質であり『ザ・ホワイトハウス』のシナリオなどは、通常のテレビシリーズの1.5~2倍くらの台詞の容量である(笑)。

映画興行主たちは『ソーシャル・ネットワーク』以降、ソーキンの名前で売ろうとしている部分が垣間見られるが、この映画はザイリアンの影響下にある話だと言って良いと思う。それでもソーキン節のところどころ見られる。シーズン終盤になり、ほしい選手をなんとか奪い取るところの電話のやりとりは、あれは明らかにソーキン節だろう(苦笑)。さすがにみせるところでは見せるのがソーキンである。
でも、みせないところで見せるザイリアンのほうが好きだけど。

<あらすじ>
選手に支払っている年俸総額はヤンキースの1/3という貧乏球団オークランド・アスレッチックス。それでも、ドラフトで発掘した選手が確実に育ち年俸が低い割には好成績をおさめていた。しかし、FA権を取得するとその選手達も古巣を育っていく。ジェイソン・ジオンビーもまたその一人だった。その穴を埋めるために、GMのビリー・ビーン(ブラッド・ピット)はデータで確立をだしてくる事務方のピーター・ブランド(ジョナ・ヒル)をインディアンズから引き抜き、データにもとづき出塁率のいい選手をあつめてくる。
ベテランスカウトや、監督はビリーの姿勢に反対。チームがまとまりをみせないまま、地区最下位を低迷するオークランド・アスレチックス。しかし、自分の方向性は正しいと考えるビリーは強引に自分のやり方をつきとおしていく。やがてシーズン中盤から彼のシステムは機能しはじめ、一次は首位と10ゲーム以上はなれた状態から大逆転をし地区優勝してしまう。残念ながらプレーオフで敗れることになるが、この功績をみたレッドソックスのオーナーはビリーに法外な契約金でGMの職を依頼するのだが・・・・。

<余談>
ジェイソン・ジオンビーの弟ジェレミー・ジオンビーは、本作ではジェイソンがやめてから獲ることになっているが、実際ジェレミーを獲得したのは1999年のオフである。ただ、彼をクビにしたのは本作と同じ2002年である。

<マネーボールとスモールベースボール>
貧乏球団の戦略として考えられるのがこの二つの戦略。
「スモールベースボール」というのは、長打力のないチームが、バントや盗塁などもからめて、最小のパワーで点を絞り出そうというもの。エンジェルスやドジャース、広島カープなどがこのスタイルの野球である。麻雀でいうならポンやチーを連打しピンフをねらうような野球。
「マネーボール」というのは、バントや盗塁のようなリスキーなプレーはしない。選球眼を重要視し、出塁率を上げ、長打で得点する。麻雀でいうなら、一番来やすいツモを待つ野球。

by ssm2438 | 2011-11-13 16:17


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