西澤 晋 の 映画日記

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2011年 11月 22日

螢川(1987) ☆

f0009381_11361192.jpg監督:須川栄三
原作:宮本輝
脚本:須川栄三/中岡京平
撮影:姫田真佐久
特技監督:川北紘一
音楽:篠崎正嗣

出演:
三國連太郎 (水島重竜)
十朱幸代 (水島千代)
坂詰貴之 (水島竜夫)
沢田玉恵 (辻沢英子)

       *        *        *

最後の蛍がひどすぎ! まるで戦隊モノの特撮みたいなものでがっかり・・

誰だ?こんなことをしたのはって思ったら川北紘一でしたか。ああ、納得。最後の蛍がどれだけリアルで幻想的に描けるかがかなりのポイントになるのだけど、そこがまるでCGみたいな糞蛍。そこからの演出がもう戦隊モノの演出で、なにが面白くて蛍につつまれて二人が抱き合い、それが全身透過光に包まれなければいけないのか・・・、ファンタジーとギャグの区別もできんのか??って思ってしまった。もうちょっとリアルに再現してほしいものだ。それだけで幻滅。

原作は『泥の河』と同じ宮本輝。テーマ的には『泥の河』と同じように、純粋な子供の恋愛に性欲が混じり始めたころの心情を、大人の人間の業に支配されずにはいられない恋愛の対比なのだが、しかし、こちらの映画はくらべものにならないくらい気持ちがはいってこない。原作にある物語の流れを画面に移し変えてるだけで、業を匂わせてないのだと思う。

ドラマ自体は『ギルバート・グレイプ』みたいな感じ。親族による逃れなれない重力にとらわれていたものが、その死によって開放される。なので、なにかを成し遂げる話ではない。このエピソードのなかで、そこに息づく人間の心の揺らぎを描く話なのだけど・・・、どうもそれがないまま、物語だけが語られてしまったな・・という感じでした。

主人公、竜夫(坂詰貴之)の家庭はやや複雑である。父、水島重竜(三國連太郎)は終戦後、手広く事業をやり、町の人から仁王竜と呼ばれるほど羽振りをきかせていたが、豪放な性格ゆえに事業は失敗、今はその頃の威勢は既になく借金取りに追われる日々である。母、千代(十朱幸代)は、かつて売れッ子の芸者で、父がまだ羽振りのいい頃結ばれ、主人公を身篭もった。初めて自分の子を待った重竜は何の罪もない女房の春枝を棄て、千代と再婚したのだった。
そこには14歳の主人公になどわかるはずの無い人間の業があったのだろう。

この物語には、主人公が強く目指すべき目的があるわけではない。しいて言うなら幼馴染の英子(沢田玉恵)への想いをかなえたいというものだが、それが表面化する露骨に表面化するわけではない。変化していくのは、竜夫を取り巻く環境のほうで、借金におわれる父は病に倒れ、さらに借金がふえていく。子供のちからではなにも出来ないシチュエーション。それでも、英子への想いだけはどんどん膨らんでいく。
そして友人の死と父の死。
この父親の死のよって借金からは開放されます。おそらく「相続放棄」の手続きがなされたのでしょう。大阪にいる千代の兄は、大阪にでてきて自分の事業を手伝ってくれといい、重竜の先妻、春枝もやってきて、竜夫への助力を申し出ることになります。その夏、重竜の知り合いの銀蔵は、竜夫、英子、千代を連れて、川の上流に蛍を観にいくのであった・・・。

by ssm2438 | 2011-11-22 11:36


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