西澤 晋 の 映画日記

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2011年 11月 24日

フロント・ページ(1974) ☆☆☆

f0009381_1134444.jpg原題:THE FRONT PAGE

監督:ビリー・ワイルダー
原作:ベン・ヘクト/チャールズ・マッカーサー
脚本:ビリー・ワイルダー/I・A・L・ダイアモンド
撮影:ジョーダン・S・クローネンウェス
音楽:ビリー・メイ

出演:
ジャック・レモン (ヒルディ・ジョンソン)
ウォルター・マッソー (ウォルター・バーンズ)
スーザン・サランドン (ペギー・グラント)

       *        *        *

後発だからといって、面白くないわけではない!

一般的にオリジナルと、その後のリメイクされたものとの間では、どうしてもオリジナルに軍配をあげるケースが多いが、そうでないケースもある。とくに、(これは私の主観なのだが)アメリカ国内で出来たオリジナルをリメイクする場合、リメイク作品のほうがし「良い!」と思うことはけっこうあるのだ。そのひとつがこのビリー・ワイルダー版の『フロント・ページ』なのだ。

そもそもこの作品は1928~29年に舞台でおこなわれた大ヒット戯曲『フロント・ページ』の映画化である。この舞台のあとの31年に映画化され日本では『犯罪都市』というこわもてのタイトルで上映された。その後ケーリーグラントを主役にした『ヒズ・ガール・フライデー』が40年に制作され、3回目となるのはこの『フロント・ぺージ』である。そしてこのあと4度目の映画化が1988年になされる。『ランボー』『料理長殿、ご用心』の監督テッド・コッチェフによって映画化されたのが『スイッチング・チャンネル』。こちらは、それまで新聞記者たちだった舞台をテレビ業界に置き換えられてつくられているのだが、個人的にはこれが一番気に入っている。

物語は基本構成はこのようなものである。
【ウォルター・バーンズ】とある新聞社の編集長。傲慢でやり手の編集長だが、どこか憎めないところがある。
【ヒルディ・ジョンソン】バーンズのもとで働いている敏腕記者。しかし、新聞記者の仕事に疲れており、パートナーとみつけて別の人生を歩もうとする。

実はこのヒルディには男バージョンと女バージョンがある。
オリジナルの戯曲や1作目、3作目のヒルディ・ジョンソンは男で、ペギー・グラントという女性と恋に落ち、新聞記者の仕事をやめようと試みる。しかしヒルディの筆力を失いたくないバーンズがなにかと因縁つけて、彼をこの業界から逃がさないようにするというスクリューボールコメディである。
これに対して2作目、4作目はヒルディが女性に変更されている。元夫婦だったという設定に置き換えられ、それでも腐れ縁で仕事していたのだが、ヒルディが休暇の時に新しい恋人をみつけてきてしまい、ヒルディは記者の仕事をやめて旅立とうとするが、バーンズがなにかと難癖付けてひきとめようとする話。

物語的には(男)と(男+女)の1作目、3作目のほうがしっくりくるのである。男は女より戦友のほうを大事にしてしまうものなのだ。しかし、やりとりとしては1作目、3作目の(男)と(女+男)のほうが面白い。まるで離婚を経験した明石屋さんま大竹しのぶをみているようでたのしいのである(笑)。この場合はあとから登場した新しい彼氏の立場がかなり悲しいものになるのがちとかわいそうである。しかし、一度は別れた間柄ながら、腐れ縁の気持ちよさが展開されるほうがみておいて心を刺激される部分が多い。
男と男のやり取りにした場合は、立場的には上下関係があっても、心は独立している。ところが男と女のやり取りにかわると、お互いに支配されていることに対しての悔しさと安心感が入り混じってるので、心がちくちく楽しいのである。

監督のビリー・ワイルダーはこ洒落た感じのハートフル・コメディが得意に監督さん。しかしその原点はエルンスト・ルビッチであることは誰もが知っていることである。「ルビッチならどうする?」がつねにワイルダーの口癖だったとか。ルビッチイズムにみせられた人はビリー・ワイルダーだけではない。二ール・サイモンノーラ・エフロン三谷幸喜などはルビッチイズムの継承者だといえよう。

<あらすじ>
シカゴの刑事裁判所の記者クラブは裁判所と隣接しており、その眼下の広場では翌朝行われる死刑台が作られていた。警官殺しの犯人として死刑を宣告されたアール・ウィリアムズのためのものだ。
シカゴ・エグザミナー紙のデスク、ウォルター・バーンズ(ウォルター・マッソー)は、同紙のトップ記者ヒルディ・ジョンソン(ジャック・レモン)をその取材に当たらせようとするが、ヒルディは今日限りで辞職して恋人のペギー(スーザン・サランドン)と結婚してシカゴを離れると言う。あのてこの手をつかってヒルディをひきとめようとするバーンズ。
やがて隣接する裁判所から銃声が聞こえ、騒がしさがましてくる。どうやら死刑犯ウィリアムズが脱走したらしい。いっせいに記者クラブからでていく各社の記者たち。一人残されたヒルディの前に、怪我をしたウィリアムズが意識朦朧として転がり込んできた。ヒルディは大急ぎでバーンズを呼び出す。シカゴ・エグザミナーが逃亡犯を捕獲したことが記事になると考えたバーンズはフロントページをあけさせ、ヒルディに記事を書かせる。
しかしそれも束の間、ヒルディとバーンズが脱走犯をかくまっていることがばれ、公務執行妨害でブタ箱にブチ込まれてしまう。ウィリアムズも牢へ逆戻りだ。しかし、牢のなかでウィリアムズの刑執行猶予令状が出ていることを偶然知った二人は、市長にくいさがって釈放された。ヒルディはパトカーの護衛つきで、ペギーが待つ駅に駆けつける。バーンズは自分の腕時計をヒルディに贈る。汽車が動きだすと、バーンズは駅の電話室からインディアナ州ゲイリー市警察署長宛に電報を打った。電文は「ヒルディ・ジョンソンが俺の時計を盗みやがった。逮捕してくれ」。

by ssm2438 | 2011-11-24 11:35 | ビリー・ワイルダー(1906)


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