西澤 晋 の 映画日記

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2011年 12月 10日

オーケストラ!(2009) ☆☆☆☆

f0009381_0551320.jpg原題:LE CONCERT

監督:ラデュ・ミヘイレアニュ
脚本:ラデュ・ミヘイレアニュ
    アラン=ミシェル・ブラン
    マシュー・ロビンス
撮影:ローラン・ダイヤン
音楽:アルマン・アマール

出演:
アレクセイ・グシュコフ (アンドレイ・フィリポフ)
メラニー・ロラン (アンヌ=マリー・ジャケ)
ドミトリー・ナザロフ (サーシャ・グロスマン)
ミュウ=ミュウ (ギレーヌ・ドゥ・ラ・リヴィエール)

       *        *        *

ギャグを全部斬り飛ばして再編集したら傑作になる!

下らんコメディシーンをいれるので、気持ち良い流れが全部ぶち壊しになるのがかなり悲しいが、もう一回再編集しなおしたら傑作になるポテンシャルをもってる。時間があったら自分で再編集して自分だけの『ラ・コンサート』を作っておきたい気になってしまう。
しかし・・・このくらい全部のギャグがいらないという映画も珍しいな・・(苦笑)。

ロシア・ボリショイ交響楽団で劇場清掃員として働くさえない中年男のアンドレイ・フィリポフ(アレクセイ・グシュコフ)は、30年前に指揮棒を折られて楽団から追放された指揮者だった。共産主義の当時、国がユダヤ人排斥の政策を強行、ユダヤ系の演奏家たちも例外なく排斥されることにアンドレイらは反旗を翻したことから、メンバー全員は楽団から追放された。そんな彼がフランスから届いた一通のファックスを盗み読む。急遽出演できなくなった楽団の代わりに、ボリショイ交響楽団に来て欲しいという依頼だった。アンドレイは、30年まえの楽団の仲間をあつめて今のボリショイ交響楽団の替りにパリ公演を自分達でやってしまおうと計画を立てる・・・。

初めはハートフルコメディの流れだったのです。
電話の向こうのパリのプロモーターはハイソな生活。それにくらべて主人公たちの生活は貧乏暮らし。昔の仲間をあつめたって、楽器さえ持ってない人間も多い。大体パスポートだってない。仕方がないのでパスポートは、空港に自分の写真をもってこさせて待合室で偽造パスポートを作るという始末。
ただ、まだこのアタリまではギャグやっててもよかったのです。昔の栄光から30年も遠ざかり、今は共産党のおかげで、「人民の敵だ!」とかいわれ、才能がありながらも誰でもできるような仕事しかさせてもらえない貧乏人。今はぼろぼろの彼らだがみんなが集まれば・・・・そんな彼らの起死回生のコンサート。サクセスドラマの王道である。

ところが物語はそこにもうひとつの物語がからんでくる。ユダヤ人排斥運動に反対した楽団のソリストだったレアというヴァイオリニストは、その活動にのめりこみすぎてシベリア送りになる。彼女には生まれたばかりの子があったが、その子は秘密裏にフランスに送られて育てられた。
その娘は今は大人になり、フランスでも有名なソリストになっていた。アンドレイは、パリでおこなうコンサートの曲は『チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲』のソリストにフ彼女を指名する。

一行がパリに着き、この物語が主導権をにぎりはじめると、きもちいい流れをギャグがことごとくぶち壊していく。勘弁してよ~~って思ってしまう。パリにきた楽団のメンバー達は、リハーサルもそっちのけで観光にうつつをぬかしまくり。このあたりの描写が邪魔で邪魔で・・・。こんなことなら、メンバーのもうひとりふたり、カルマをもたせて、それをこのコンサートで浄化するような描き込みができなかったものか・・・。かりに出来なかったとしても編集でこのクソギャグシーンをカットできなかったものだろうか・・・。

コンサートの前の夜、ソロをやるアンヌ=マリー・ジャケ(メラニー・ロラン)と共に食事をするアンドレイ。自分は誇示であり両親が誰なのかもしれないと話す彼女。「なぜ私を選んだのか?」という質問に、アンドレは彼の目指すハーモニーとレアというヴァイオリニストのことを語る。アンドレイが求めているのはレアだと知り、自分の存在意義を失ったアンヌ=マリーは一度はコンサートに出ないことを決める。
そんなアンヌ=マリーをコンサートに出すためにアンドレイの友人のサーシャ・グロスマンは、「コンサートの終わりに、両親がわかるかもしれない」となぞめいたことを告げる。

やがて始まるコンサート。しかし30年ぶりの演奏はかなりさび付いていた。しかし、アンヌ=マリーのヴァイオリンが彼らの過去をよびさます。彼女の音楽はまさにレアの再来だった。
30年前に中断されたコンサート。政治批判のために指揮棒をおられたあのコンサート。その時の指揮棒をセロハンテープでつなぎとめて振るアンドレイ。総ての想いがアンヌ=マリーのヴァイオリンの音色にリードされて昇華していく・・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・泣けます。

<物語>って素晴らしいですね・・・。
この物語の感動を邪魔するくそギャグ連打にもめげず、監督他のテレ隠しギャグにもめげず、物語の本質が、ひたすら突き進んでいきます。どんなに糞監督/糞スタッフが邪魔しようとも、物語の本質がそんな糞演出を打ち負かして正しき道に導いていきます。それを作ってるスタッフの無能ささえも、物語の本質がなぎ倒していくこのラストコンサートは素晴らしいの一言です。
久々にいいものをみせてもらいました。。。。

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by ssm2438 | 2011-12-10 00:50


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