西澤 晋 の 映画日記

ssm2438.exblog.jp
ブログトップ | ログイン
2011年 12月 11日

スキャナーズ(1981) ☆☆

スキャナーズ(1981) ☆☆_f0009381_17394724.jpg原題:SCANNERS

監督:デヴィッド・クローネンバーグ
脚本:デヴィッド・クローネンバーグ
撮影:ロドニー・ギボンズ
音楽:ハワード・ショア

出演:
スティーヴン・ラック (キャメロン・ベイル)
ジェニファー・オニール (キム・オブリスト)
マイケル・アイアンサイド (ダリル・レヴォック)

       *        *        *

クローネンバーグの映画というのは、どこか不健全な臭いがする。ハリウッドの映画のようなストレス開放型の映画ではなく、どこか陰湿なのだ。部屋に引き篭ってゲームや、エロアニメばかりみているいじめられっ子が、追いつめられて、追いつめれて、ついには抑圧されたエネルギーが爆発する・・、でも、僕は所詮ダメ人間なのさ・・みたいな、どこか、最後まで自己肯定できない物語になるような気がする(苦笑)。
・・・あ、この映画のストーリーに直接反映してるわけではありません。クローネンバーグの映画全体に漂うオーラのことです。その不健全さが、同じ思考回路をもつ人に共感をもたれるのだろう。

しかしこの映画、なんだかんだといいながら、クローネンバーグの中では一番おもしろいと思う。80年代にやたらとはやった超能力バトルものの一つで、それ以前に『ラビッド』という、ある種に引き篭りオタクが、妄想しやすそうな映画を発表していたのだが、クローネンバーグの名前を世間が知り始めたのはこの作品をきっかけにしてだろう。

この物語の主人公は、ショッピングモールのなかにある、ハンバーガー屋さんにふらふら入ってくると、お客が食べている、フライドポテト(だと思う)を1~2本つまみ食いして徘徊していく。その行動に嫌悪感を感じたおばさんが、いっしょに食事をしている友人に「彼みたいな男はディスガスティングだわ、まったくオーフルよ」みたいなことをひそひそ話してると、とたんに苦しみだす。彼が念力を送って、苦しめているらしい・・・。
「スキャナーズ」というのは、多分、相手の心を読むことが出来る人間という意味から発生しているのだろうが、そのほかにもいろいろ超能力が使えるようだ。

・・・・考えてみるとクローネンバーグの映画の主人公にヒロイックな主人公はほとんどなく、どれもさえない。いつも、自分に自信がもてないまま、生きている。この物語の主人公も、どうみても二枚目とはいえない。クローネンバーグが自分自身にもつある種の劣等感の表れなのか、単に予算がなかっただけなのか・・・。でも、どこか変な顔なのである。

しかし、ヒロイン役はジェニファー・オニールなのである。うむむむ、いつみても可憐だ。彼女は『思い出の夏』のヒロインとして、60~70年代の映画ファンの憧れ的な存在だったといってもいいだろう。ただし、その後はあまりパットした作品にはでてないのも事実で、けっこうオカルト物のヒロインも多い。衝撃てきだったのは、この作品の後に出た『昼下がりの衝撃』。これもけっこう悲惨な役どころだった。
ファーストインパクトが強かっただけに、もうちょっと美しい役どころの仕事がきてもよさそうに思ったのだけど・・・。
余談だが、続編の『スキャナーズ2』は、なんと、デボラ・ラフィンがヒロインとして出ている。
うむむむむ、このシリーズ、60~70年代の私の好きな清楚系女優さんの2人をだしてるのだ!!


<あらすじ>
物語の冒頭で、ショッピングモールで事を起こしたベイル(スティーブン・ラック)はコート姿の男達に麻酔銃を撃たれて捕まり、ある施設のベッドで目を覚ます。そこは要人警護の国際的警備保障会社コンセック社が設立した超能力者(スキャナー)の研究所で、研究者のルース博士(パトリック・マクグーハン)から、ベイル自身がスキャナーであると告げられ、スキャナー達を地下組織で集結させ世界征服を企てる破壊的スキャナーのレボック(マイケル・アイアンサイド)殺害を要請される。
実はレボックとベイル兄弟だった。ルース博士は謎の薬品エファメロルを発明しそれを妻に飲ませたことから生まれた子供二人がスキャナーの能力を身につけたという。自分の力を知っているレボックは世界征服を狙うため、その薬を利用してスキャナーズによる組織を築き上げていた。そして弟であるベイルも自分の手下にしようと考える。その話をきっぱりことわるベイル。遂に二人のスキャナー・パワーの対決が開始する。激闘の末、ベイルの苦しみのあまり自分の顔の肉をむしりとっていく。ベイルの身体はやがて炎につつまれ、眼球ははじけ飛んだ・・・・。

あいかわらず、顔が壊れていくのが好きなクローネンバーグであった。
しかし、最後のどんでん返しは・・・・なんですか、あれは?
最後、人格が入れ替わっている根拠は・・・??
だいたい、そうしする意味があったのでしょうか・・・??

by ssm2438 | 2011-12-11 17:46


<< 必死剣 鳥刺し(2010) ☆☆☆☆      300 <スリーハンドレッド>... >>