西澤 晋 の 映画日記

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2012年 01月 22日

内海の輪(1971) ☆☆

f0009381_513832.jpg監督:斎藤耕一
原作:松本清張
脚本:山田信夫/宮内婦貴子
撮影:竹村博
音楽:服部克久

出演:
岩下志麻 (西田美奈子)
中尾彬 (江村宗三)
三国連太郎 (西田慶太郎)

       *        *        *

蓬莱峡の撮り方に無理がある。その撮り方では見てる人は誰も納得しないぞ・・・。

しかしまずい・・・、松本清張のパターンが見えてきてしまった・・・。パターンが見えてくると神通力が失われ来る・・・。

基本的には『危険な斜面』と同じ構造である。立場のある男が、不義密通をしている間に、女性の側の求めが強くなり、子供が出来てしまい、男は社会的な立場をとるか女を殺すか・・という選択をせまられる。しかし、殺される女は運命をもう悟っていて、「殺されてもいいわよ」って覚悟が出来てるっていうことで感動を呼ぶ・・というパターン。

パターンが見えすぎているのでちとつらい。

逆にこの物語で新鮮なところは、女を殺すつもりで蓬莱峡の昇ったが、出来ないままそこを去った男。しかし、高所恐怖症の彼女はそこから転落してしまい死体として発見された。結果として殺してない男が犯人として警察におわれ、身を滅ぼしていく・・という流れ。不憫だ・・・(苦笑)。

実は、この映画では描かれていないのだが、そこから犯人は誰だったかという犯人探しの展開もある。この物語の場合は、助教授になった江村宗三を愛する女子学生がいて、彼女が江村宗三を愛しているがゆえに行った好意が、犯人が誰であるかというヒントに繋がっていく。
さらに、財産目当てで嫁いだのかどうなのかは不明だが、西田美奈子がと嫁いだ四国松山の呉服の老舗伊予屋の当主慶太郎の、愛の深さもドラマになっている。残念ながらこの部分もこの映画では割愛されてしまっている。
なので、物語は、不倫旅行でた2人が、その旅行の日程を延ばしているうちにどんどんほころびがでてきてしまい、残してきた人たちにバレたり、ばれる可能性におちいったりした結果、殺人を計画してしまう・・というところまで追いつめられる過程の話に終始してしまった。

f0009381_11282972.jpg斎藤耕一の撮り方はすっごく安定しててよかった。さすがに「映画」という画面を提供してくれている。ほんとに最後のクライマックスに至るまでの出来は素晴らしい。
ただ、クライマックスになるはずの蓬莱峡(→)でのやりとりはかなりマヌケに見える。

下からザイルもなしに適当な高さまで(地上から20~30メートルくらい)上がれるところまで上がってきていて、結局ビビって殺人をあきらめて、すべるように下っていく中尾彬。そのあと高さに目がくらんで落ちる岩下志麻の人形。・・・でも、30メートルかそこらの高さの斜面をずりおちたからといって死ぬかい?って思ってしまう。
一番高いところまで別のルートで行ったことにして、最後の摂政はその頂でやってもらって、「やっぱりボク殺せません。返ります」って返って行く中尾彬、でめまいで落ちる岩下志麻の人形・・ならまだことの成り行きを納得できたのに・・・。

他にも何回かドラマ化されたこのシーンだけど、どれもこのシーンを説得できる演出にできないままにおわってしまっているので、しいて言うなら、松本清張サスペンスの『内海の輪/大学助教授の不倫の決算・蓬莱峡に消えた死体』のほうがこのシーンの描写もよかったし、物語構成としても全部こみこみで原作の全体構成に近いと思われる。
しかし、岩下志麻の色っぽさはやっぱり見るに足る妖艶さである。
全体のカメラや演出は良いのだがクライマックスが最低なの☆ひとつでもいいかと思ったのだけど、志麻姐さんの色気に免じて☆ひとつおまけ。

<あらすじ>
四国松山の呉服の老舗伊予屋の当主慶太郎の西田美奈子(岩下志麻)は29歳。親子ほどもはなれた西田の家に嫁いだのは財産目当てだろうと地元の人たちはみていた。そんな彼女は、東京3ヶ月に一度反物の買い付けにきていた。しかし彼女には男がいた。大学で考古学を専攻し、まもなく助教授の椅子につく江村宗三(中尾彬)である。
やがて宗三は岡山大学との共同調査のために、瀬戸内海に来ることになる。美奈子は姫路で同窓会があるといって2人の時間を愉しむ。そんな2人の姿を伊予屋の家政婦の政代に見られて西田慶太郎に報告されてしまう。さらに2人は共通の知人である長谷川とばったり伊丹空港で鉢合わせしまい、江村側の人たちにもことの次第が知られそうになる。
既に美奈子は離婚の覚悟をきめていた。西田と分かれて江村宗三の子供を生もう。
しかし宗三の心はそこまでのものではなかった。この不倫が暴露されたら、宗三の輝ける将来も崩れ去るにちがいなかった。しかし、彼女から逃れることも出来そうになかった。宗三は、蓬莱峡にのぼり、事故にみせかけて美奈子を殺そう心に決めた・・・。そして運命の朝が来る・・・。一度は断ったものの、宗三の意図を悟った美奈子は愛した男に殺されるために蓬莱峡に昇っていく。

by ssm2438 | 2012-01-22 05:14 | 松本清張(1909)


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