西澤 晋 の 映画日記

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2012年 01月 24日

黒い画集 あるサラリーマンの証言(1960) ☆

f0009381_22375144.jpg監督:堀川弘通
原作:松本清張
脚本:橋本忍
撮影:中井朝一
音楽:池野成

出演:
小林桂樹 (石野貞一郎)
原知佐子 (梅谷千恵子)

       *        *        *

美しいものがない松本清張作品なんて・・・

1960年のキネマ旬報ベストテン邦画部門2位の作品である。
しかし・・・、これはサスペンスというより不条理モノのジャンルだね。技術的にはまったく素晴らしい出来だとは思うが、不条理ものの大嫌いは私は、☆ひとつしかあげない。私にはまったく面白くないのである。

要するに、物語がなんのために転がされているのは、ワケが解らない。他の松本清張作品というのは、卑屈な圧迫感の中に「美しいもの」がある。どろどろしたサスペンスのなかで、その純粋さが輝くのである。だからこそ、物語が陰惨なイメージだけでなく、ある種の輝きをもってその受け手に伝わるものだ。
しかし、この映画は、技術的にはかなり精度の高いものだと思うが、「美しいもの」がないので、ただただ物語を不条理にこねくり回しだけでおわってしまったという印象だ。もっとも、こねくっただけの話が好きな人には、とってもいい映画かもしれないが、少なくとも私はその一人ではない。

<あらすじ>
きわめて普通のまじめなサラリーマン・石野貞一郎(小林桂樹)は、同じ課の事務員・梅谷千恵子(原知佐子)と新大久保の彼女のアパートの一室で情事を愉しんでいた。その帰り道、近所の杉山さんと鉢合わせする。軽く挨拶をしてしまったが、そのことが発端になる不倫がばれないかと不安になり、なかったことにする。その杉山が、とある殺人事件の容疑者として逮捕されてしまう。彼は、夜の9時半ごろ、新大久保で石野貞一郎に会ったと証言する。しかし、貞一郎は不倫の事実を暴かれたくない一心で、「会った事実はない、そのころ渋谷の映画館で映画を見ていた」証言してしまう。杉山の「どうして嘘を言うのですか」という絶叫を聞き流すしかなかった。
やがて、千恵子も部長の甥の小松と結婚することになる。貞一郎はすべてを清算する機会だと考えた。しかし、智恵子は同じアパートの学生・松崎と肉体関係をもつようになっていた。柄の悪い連中に借金をしていた松崎は石野と彼女の間柄をタネに脅迫する。石野は三万円で手をうつことにした。約束の日、約束の時間には間があるので、映画を見てそのあと、松崎のアパートへ行ったが、そこには松崎の死体があった。逮捕された石野は、自分の無実を晴らすために、あの夜、杉山に会ったことから話し始める。杉山も釈放された。石野も釈放された。しかし、彼は彼が護ろうとしたもの総て失ってしまった。

by ssm2438 | 2012-01-24 22:40 | 松本清張(1909)


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