2012年 03月 11日
監督:中島貞夫 原作:宮尾登美子 脚本:松田寛夫 撮影:森田富士郎 音楽:黛敏郎 出演: 名取裕子 (島村津也) 風間杜夫 (西内太鳳) 三田村邦彦 (村上徳二) 佐藤慶 (高木松溪) 岡田茉莉子 (島村勢以) 水沢アキ (島村志満) × × × ベスト・オブ・名取裕子はこの映画では? 当時、篠山紀信がとった文庫本サイズの『名取裕子―明日(あした)嵐がくる』という写真集があったのですが、この映画をみて買いました(笑)。もう一冊、この映画のタイトルをつけた写真集もあるのですが、このちっちゃいほうが断然よいです。 原作は『寒椿』や『夜汽車』の宮尾登美子。はっきりいって男が面白いと思うものは書かない人です。なのでこれが面白いかというと、少なくとも私は思えないのだけど、しかし、いくつかみた宮尾登美子の映画の中では一番好きです。宮尾登美子のいつもの女の情念どろどろ節も、画家を主人公に据えたお話となるとなぜか受け入れてしまう。 この映画の主人公は日本画家の上村松園。明治時代の女性の画家で、コントラストが素晴らしい美人画を描かれます。色使いはかなり好み。一番下に彼女の画を列挙しておきました。 この物語は彼女の独身時代(苗字が島津時代)の話であり、絵の修行とともに彼女が人生で合う男達との恋愛劇が描かれてます。しかし、最後にたどりつくのは母の愛・・・。 子供の頃の絵の師匠である西内太鳳(風間杜夫)、そして小学校を出ると西内の勧めで入った松溪画塾の師匠・高木松溪(佐藤慶)、そこでであった若き塾生・村上徳二(三田村邦彦)。 師匠2号・高木松溪に抱かれて子供を生み、親に勘当され、自分を好きになってくれた若造・三田村邦彦(それも妹が好きだった人)の世話になっておきながら、子供のころの師匠1号・風間杜夫に会うとこれを捨て、そのもとに走る。しかし、師匠2号に出会うと再び抱かれまたまた妊娠・・・。強烈にどろどろです。 やさしいだけの三田村邦彦、かなり悲惨・・・。 頑張りやさんなのだけど、依頼心もかなり強い女性です。おかげでまわりの男はかなりたいへん。自分だけの女かと思えば、するっと他の男に抱かれてしまう。しかしそのバックボーンには、彼女の芸術活動をささえた彼女の母、島村勢以の女のしぶとさをうけついでいる。 なんちゅうか・・・、女にしか描けない話ですね。 <あらすじ> 江戸時代末期、貧しい農家の娘に生まれた勢以(小林綾子)は、京都の島村の葉茶屋に養女に出された。養父母が相次いで世を去ったあと婿養子をとったが勢以(岡田茉莉子)だが、5年後には夫もとも死に別れた。それからの勢以は、長女・志満と次女・津也を女手ひとつで育てていく。 やがて時は流れ、絵に熱中しはじめた津也は、図画の西内先生(風間杜夫)のすすめもあって、京でも有数の松溪画塾へ通うことになった。明治23年、第3回内国観業博覧会に津也(名取裕子)が出品した「四季美人図」が一等褒状を射とめた。その頃、西内先生がヨーロッパへ留学することになり、津也にとって大きな悲しみとなる。また、村上徳二(三田村邦彦)という青年が松溪塾に入塾し、彼は津也に好意を抱くようになった。師匠松溪(佐藤慶)の千枚描きに立会った日の夜、津也は師の誘いのままに、料亭へ出向き、抱かれる。月日が流れ、津也は妊娠した。それに気づいた勢以は、娘を激しく責め、相手が松溪と知り、津也に絵を禁じた。 見知らぬ土地の農家で女児を出産した津也は京には帰らず、東京にいる徳二のもとに身を寄せる。二人の生活がはじまる。しかし絵への想いは捨てきれない津也は、新聞で見かけた“西内太鳳ヨーロッパ帰朝展”の報にこころを揺さぶられ、徳二に置手紙を残し西内のもとに走った。 西内は津也に一軒の家を与えて絵の修業を続けさせた。明治29年、津也の「人生の春」が第5回日本美術院展の第一等に輝いた。光彩堂の招きでとある割烹に出向いた津也は、その席で松溪と再会する。かたくなな態度をとっていた津也も、老いた旧師が涙を流すのを見て、再び彼の腕の中に沈んで行った。再び妊娠。 津也と松溪の関係が続いていたことを知って激怒した太鳳は、津也に破門を言い渡す。 おろし薬を飲んだ津也のもとにかけつけたのは母の勢以だった・・・。 以下、上村松園の画。すばらしいです。一番上が『序の舞』の画。
by ssm2438
| 2012-03-11 12:09
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主観重視で映画の感想を書いてます。ネタバレまったく考慮してません。☆の数はあくまで私個人の好みでかなり偏ってます。エンタメ系はポイント低いです。☆☆=普通の出来だと思ってください。 by ssm2438 リンク
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