西澤 晋 の 映画日記

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2012年 07月 06日

彩り河(1984) ☆

f0009381_10155229.jpg監督:三村晴彦
原作:松本清張「彩り河」
脚本:三村晴彦
    仲倉重郎
    加藤泰
    野村芳太郎
撮影:花田三史
音楽:鏑木創

出演:
真田広之 (田中譲二)
名取裕子 (増田ふみ子)
平幹二朗 (井川正治郎)
夏八木勲 (高柳秀夫)
吉行和子 (山口和子)
沖直美 (梅野ヤス子)
渡瀬恒彦 (山越貞一)
三國連太郎 (下田忠雄)

     ×   ×   ×

名取裕子だけきれい。

松本清張作品のなかで失敗作の烙印をおされているこの映画、あまりに噂がひどいのでずっとみないままにしておいたのだが・・・・たしかにひどい。演出が超下手。何でこんなになってしまったのか・・・???? なにからなにまでとにかくチープなのである。他の松本清張作品にくらべて、おもいっきり見せ方が直接的で、清張作品の味である状況証拠と限られた現実描写だけでにおわせるような演出がまったくできてない。そのかわりに、すでに判っているところだけをやたらと子供だましの魅せ方で強調する。あたかも演出が判ってない人間が、とりあえず演出しているように見せてるために、どうでもいいところだけをかっこつけた演出をしているような、まるでおこさま演出である。
三村晴彦がこの前に撮った『天城越え』はけっこうみえたのである。なのに・・・、この『彩り河』になると演出のひどさが露骨になり、さらりその次の『愛の陽炎』になるとぼろぼろ・・・。

だいたい脚本の欄に名前が4人もある。ということは、時間がなくて寄ってたかって脚本を書いたか、あるいはなんどもリライトをしてる間に物語がぼろぼろになっていったかどちらかである。この場合は後者なのかな?
演出があまりにひどいので、脚本の出来は計り知れないが、実はマトモだった脚本を三村晴彦のダメ演出がぼろぼろにしたとも考えられる。

しかし解せんな・・・・。制作も霧プロ(松本清張と野村芳太郎の会社)がからんでるにもかかわらずこの緩い映画というのは・・・、どういうことでしょう???予想されるのは、最初の『天城越え』は霧プロのバインディングがしっかりしていたので、きちんと松本清張の作品になったのだけど、今回は2本目なのでゆるんでて三村晴彦のダメ演出が全面にでてしまったってことなのかな・・・・。
ただ、物語自体は、マトモに作れば面白いものになるはずのものだったので、この映画化が失敗だったということだろう。

で、他の松本清張作品にくらべてなぜここまでつまらないのか・・をちと検証。

1、松本清張独特の、暴かれてはこまる秘密への執着心が描けていない。
普通の話ではこれがあり、ばれそうに成ることで殺人などに発展していく。おそらく原作では昭明相互銀行社長・三國連太郎が大いなる秘密を持っていればいいのだが、それが暴かれてこまるようなみせかたがされてないので、危機感がない。

2、最初にころされる銀座のクラブのママ・吉行和子が美しくない。この人が殺されるので、以前の愛人だった平幹二朗がうごきだし、最後は三國連太郎殺しに手を貸すことになるのだが、そこをきれいなものとして描いておかないと適役に対して憎しみがわいてこない。

3、いつもの追いつめられた感がない。
今回追いつめられるのは東洋商産の取締役の夏八木勲なのだが、どうやら会社の運営でどつぼにはいっているらしい。そのせいで昭明相互銀行社長・三國連太郎になきついているのだが、なきついているところしか描いてないのがへぼい。会社社長として借金におわれているストレスを他のところできちんと描きこんでおけばもっと追いつめることが出来たのに・・・。すくなくともこのラインで物語の中盤までひっぱればけっこう面白いものになっていたはず・・・。

<あらすじ>
昭明相互銀行社長・下田忠雄(三國連太郎)は、「人類信愛」をモットーとする博愛主義者でとおっているが、その陰には、寿永開発という名のトンネル会社をもち私腹を肥やしている。
その愛人山口和子(吉行和子)がなにものかに殺される事件がおきた。彼女は銀座のクラブ・ムアンのママで、以前は東洋商産社長・高柳(夏八木勲)の愛人だった。しかし下田から融資をお願いする時に愛人だった和子を差し出すしかなかったのだ・・。
その山口和子を愛していたもう一人の男が井川正治郎(平幹二朗)。東洋商産の取締役だった井川は和子と愛人関係にあったが、いまは高柳秀夫との派閥争いに敗れ、首都高速道路料金所職員になっていた。和子の死に疑問をもった井川は独自に犯人を調べ始める。やがて資金繰りにこまった高柳の首吊り死体が見つかった。しかし死ぬ前に彼は井川に手紙を書いていた。それには和子の死の原因などが書かれてあった。

下田を付けねらうものは他にもあった。夜の銀座で車の誘導係をする田中譲二(真田広之)の父親は、下田に、会社の公金横領の濡れ衣を着せられ自殺したのだった。譲二は山口和子にかわって次にママになった増田ふみ子(名取裕子)と知り合うようになった。
譲二と井川は復讐を誓い、ふみ子の手を借りて昭明相互銀行の祝賀パーティの時に、復讐計画を実行に移す・・・。

by ssm2438 | 2012-07-06 10:16 | 松本清張(1909)


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