西澤 晋 の 映画日記

ssm2438.exblog.jp
ブログトップ | ログイン
2013年 03月 10日

アルゴ(2012) ☆☆☆

f0009381_20545068.jpg原題:ARGO

監督:ベン・アフレック
脚本:クリス・テリオ
撮影:ロドリゴ・プリエト
音楽:アレクサンドル・デスプラ

出演:
ベン・アフレック
(トニー・メンデス)

  X   X   X

最近のベン・アフレックはほんとによい仕事をする。

第85回(2012年度)のアカデミー作品賞がこの作品。映画をみるまでアルゴの意味すら知らなかった。『アルゴ』って映画のタイトルだったのですね。

ことの起こりはイランのパーレビ国王が国内の騒乱をおさめきれず国外に脱出、あっちこっちを点在した後、癌の治療と称してアメリカに入国したのがきっかけ。事実上の国外逃亡→アメリカへ亡命であった。

まず、パーレビ国王とアメリカ大使館人質事件の歴史的背景の説明。

パーレビ国王は、第二次世界大戦のあとイランの近代化に勤めたひと。親欧米路線だったパーレビ国王は、石油の輸出により獲得した外国資本とアメリカ合衆国による経済援助を元手に土地の改革、国営企業の民営化、労使間の利益分配、婦人参政権の確立、教育の振興、農村の開発などの改革を実行してイランの近代化を進めた。しかし改革の一環として、女性解放をかかげてヒジャブの着用を禁止するなどイランの世俗化を進めたが、これらの政策はホメイニーらイスラム法学者の反発を招いた。
反対勢力に対しては、秘密警察サヴァク(SAVAK)を用いて左右の反体制運動を取り締まる。イスラム原理主義者のホメイニシーも国外追放され、イラン人亡命者コミュニティのあったフランスのパリへ亡命したが、その後もイラン国内の反体制派に影響を与え続けた。
1970年代中盤に起きたオイルショックで、世界経済における原油価格の安定化し、パーレビ国王の石油戦略にもかげりが見せ始める。それに伴い国民の間での経済格差が急速に拡大し、政治への不満も高まりを見せ、国王の求心力も急激に低下し、やがて暴動多発し、自体の収集ができなくなった国王は国外脱出するしかなくなった。
その国王をホメイニーらが敵視するアメリカが、同じく敵視する元国王を受け入れたことにイスラム法学校の学生らが反発し、テヘランにあるアメリカ大使館を占拠し、大使館員らを人質に、元国王のイラン政府への身柄引き渡しを要求した。この学生らによる行動は、シーア派の原理主義者が実権を握ったイラン政府が裏でコントロールしていた。

この時大使館から脱出できた6人はなんとかカナダ大使館員の自宅へ逃げ込むことに成功。しかし見つかればスパイとして公開処刑は免れない危機的状況であり、アメリカ政府はなんとかしてこの6人をイランのカナダ大使館から国外退去させる方法を考えた。
それが『アルゴ』作戦。

国内外で『アルゴ』というスペース・ファンタジーの映画の政策発表をし、彼らを映画のクルーということにし、イランから脱出させたというお話。それをかなり映画風のアレンジを効かしてエンタテイメントに仕上げてある。
はらはらどきどき感はすばらしく、追い詰められる圧迫感は実に見ごたえがある。
実はこの映画、面白いとは聞いていたのだがずっと見るつもりはなかった。アカデミー賞とったことで、なんでも監督がベン・アフレックであることを知り急にみたくなった作品。

ベン・アフレックってねえ、実は監督としては実にいいんだ。
『ゴーン・ベイビー・ゴーン』というタイトルではじめて監督したのだが、これが実にしみじみとしてよかった。音楽の使い方もよかった。というか、映画の見せ方を実によくしっているひとだなあっという印象があった。これでもか、これでもかの安易なエンタテイメントではなく、しっとり見せるところのつぼを知ってる人なのである。

ただ、この映画の冒頭の見せ方はどうなのかな??って正直思ったけど、それ以外はだいたいきちんとみせてもらった。あ、でも最後の別居中のカミさんのシーンはなくてもよかったのに・・・。ああなる根拠があんまりよくわからなかったかな。この作戦は隠密作戦だったので、あのカミさんもそれまで旦那がどこにいってたのか、何をしてたのかも知らなかったと思うのだけど・・・。突然現れてああなるのは・・・・なんでなんでしょう???って疑問符が残り、そういうとりあえずラップアップするというような姑息さもちょこちょこ見えていたりする。
出来るならアラン・J・パクラで見たかった・・(苦笑)。


ちなみに、大使館員の軟禁状態は、元国王が亡命先のエジプトのカイロで死去するまでつづき、元国王が死去したことで、学生らによる大使館の占拠の理由が薄れ始め、アメリカ政府とイラン政府は水面下で交渉を続けられた結果、人質は444日ぶりに解放された。

by ssm2438 | 2013-03-10 19:32


<< ゼロ・ファイター 大空戦(19...      そんな彼なら捨てちゃえば?(2... >>