西澤 晋 の 映画日記

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2013年 04月 27日

ゼロ・ファイター 大空戦(1966) ☆☆

ゼロ・ファイター 大空戦(1966) ☆☆_f0009381_20525022.jpg監督:森谷司郎
脚本:関沢新一/斯波一絵
撮影:山田一夫
音楽:佐藤勝
特技監督:円谷英二
特撮・撮影:有川貞昌

出演:
加山雄三 (九段中尉)
佐藤允 (加賀谷飛曹長)
千秋実 (航空隊司令)

    ×     ×     ×

私の大好きな映画『海峡』を撮った森谷司郎の監督デビュー作である。
映画監督には、その映画は出来がよかろうが、悪かろうが、波長のあう映画監督というのがある。森谷司郎はそのひとりだ。なので、この映画もそれほど面白いというわけではないのだが、とりあえず見ておきたい映画のひとつだった。
内容的には特筆すべきところはほとんどない。「とりあえずおまえやってみるか」的な仕事だったのかもしれない。それほど方に力をいれて撮るような映画でもないし、ま、普通の低予算娯楽映画であろう。

時は昭和18年4月(太平洋戦争開戦の真ん中ちょいすぎあたりである)、連合艦隊司令長官山本五十六が、一式陸攻で撃墜されたところから物語りは始まる。日本軍の暗号はすでにアメリカ軍に解読され、その結果山本五十六も襲撃されて戦死した。とにかく情報線にことごとく破れている日本軍だが、「大和魂」でなんとかなるものでもない。ミエッドウェイ海戦の惨敗の後、日本はじりじりと負けて行くのだが、この時期ではすでにガダルカナル島から撤退してる状況らしい。
舞台に鳴っているのは南方戦線のとある基地。といってもゼロ戦は7機しかない小さな部隊の話である。

山本五十六の死後、その弔い合戦をしたい兵士たちであるが、その実態は昼間は穴倉にかくれて夜になんとか行動する程度、戦力もゼロ戦7機しかない状態。そしてその部隊の隊長が戦死、公認に九段中尉(加山雄三)が赴任してくる。部隊では伝説のゼロ戦ファイター志津中佐が来るモノとばかり思っていたが、出迎えて見ればおぼちゃん育ち的な合理主義者の隊長さんだった。
加賀谷飛曹長(佐藤允)ほかの兵士たちは彼をぺーぺーの若造だと思っていたが、徐々に九段中尉はその能力を発揮していく。

この主人公・九段中尉の特殊能力は徹底した合理主義。世間では大和魂でなんとかしろ!という状況だけど、彼に言わせると、「ガソリンがなければゼロ戦は飛ばない! 大和魂ではどうにもならない」というものだ。
環境が強権的な絶対服従的軍司令部の態度にたいして、戦って、生きて帰るために何をするか・・ということを考える能力を与えられている。
その戦法は『三国志』でいう孔明のような感じ。
物語では、その部隊の兵士たちと対立しつつも、主人公の沈着冷静な判断が好成績を残して行く。
最後は、実は九段中尉というのは志津中尉で、その合理的判断で無謀な軍令部の作戦にそむき、僻地へ飛ばされてきていたというオチ。

空母に100機くらいをのせた大艦隊というような贅沢な設定はもう不可能な中、たった7機のゼロ戦の部隊でどうお話をつくっていくのか??と見ていると、敵が落として入った不発弾の逆利用や、ポンコツの機体をエンジンだけすげかえて再利用するとか・・、あのてこの手の知恵を絞った低予算映画のがんばりをみせている。

あと、佐藤勝の音楽はみょうにかっこいい!

結果的に特に見なければいけない映画というわけではないが、冒頭にでた山本五十六の写真だけは本人の写真のようであった。

by ssm2438 | 2013-04-27 03:07


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