西澤 晋 の 映画日記

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2013年 05月 03日

透光の樹(2004) ☆☆☆

f0009381_2019999.jpg監督:根岸吉太郎
原作:高樹のぶ子『透光の樹』(文藝春秋刊)
脚本:田中陽造
撮影:川上皓市
音楽:日野皓正

出演:
秋吉久美子 (山崎千桐)
永島敏行 (今井郷)

    ×     ×     ×

よかった。。。

最近はずっと長年あまり見てこなかった邦画をすこしずつ掘り返そうかとおもい、ちょっと邦画をみるようにしてます。で、なにみようかと思って借りたのが、根岸吉太郎のこの映画。

根岸吉太郎の映画だと『遠雷』でぼろ泣きしたのがもう25年以上もまえか。根岸吉太郎の画面というのは、画面作りにカッコよさはなく、絵的にはそれほど燃えないのです。これは日活あがりのひとって皆さんそういう傾向があるようなきがします。滝田洋二郎なんかも画面はまったくもえない。お金をかけてセットをくめないなかでハンディカメラ的な撮り方しかしてないからかもしれない。木村大作のどっかああああああって望遠でカッコよく見せるような画面にはならない。そこはやっぱり残念なところ。でも、根岸吉太郎の映画な物語の染み込ませ方がいいんだよな。
展開のさせかたが自然。見せ方が自然。奇をてらった見せ方はほとんどしないで自然に物語を展開していく。でも見てるうちについつい見てしまうような感じ。ただ・・・、感性が鈍い人には刺激がなさ過ぎるかもしれない部分はある。

今回も主人公は『遠雷』のときと同じ永島敏行。ほんとは萩原健一だっそうですが代わって正解でしょう。でもあのほそかった永島敏行がかなりデブになっております。
ヒロインの女性の方は秋吉久美子。この映画が撮られたのが2004年(実際の撮影はほとんど10年前なのかな)ということで、当時お二人は46と48くらいかな。 秋吉久美子さん、相変わらずおきれいですが、やっぱり永島とならぶと彼女の方が年とって見える。
そういうことかと後で分かった。
実は、原作では秋吉久美子演じる千桐が42~43で、相手の男が45~46という設定のようだ。なので脚本の段階は千桐が年下だったのだけど、年上の秋吉久美子さんがきまっても、台詞をそのままやってしまったのでそうなっちゃったんですね。

ま、それはさておき、映画は面白くみさせていただきました。
やってることは渡辺淳一ワールドで40代の男女の恋愛劇なのです。
普通なのです。普通なのですが、突然めの前に匂いたつような女性が現れ、なんだかエッチしてしまえる状況になってしまった。それは女性にしても同じだったのでしょう。そこからほんのちょっとずつ、自分の背中を無理して推して、少しづつ逢瀬を重ねて行く・・・。その普通な感じが実にしっぽりとしてよかった。

その魅力はやっぱり秋吉久美子の天性の魔性にあるようなきがする。彼女の場合はある種の女のだらしなさ的なものをもってるですよ。もちろん人間なのでプライドとか理性とかがあってそれが前面にでることはほとんどないのですが、演技でも素でも、おそらく彼女はそうなのでしょう、まじめで清楚な感じの役どころでも、どこかオンなの娼婦性をかもしだしてしまう。その相反する二つの要素が同居してる独特の危なさ、不安定さ、浮遊感がとってもすばらしいのだと思いますね。

<あらすじ>
テレビの作品制作会社を経営する今井郷(永島敏行)は、今作っているドキュメンタリー番組の仕事で金沢を訪れたのをついでに、25年前に取材した刀鍛冶、山崎火峯のもとをたずねてみて。そして当時高校生だった娘の千桐(秋吉久美子)に出会えた。男にはずっと心にのこっている面影が突然気になりだすこともあるものだ。
千桐はすでに40を越えていた。離婚し娘をつれて父の元にもどってきたが、その父も寝たきり状態。働こうと思えば父を施設に入れなければならないし、そうしたら金がいる。自分で面倒みてると結局働きにいけない・・・、そんなこんなで借金もかさんでいた。そんな千桐に対し、郷は金銭の支援を申し出る。

この微妙なニュアンスがよいのである。
男にはとりあえず出そうと思えば出せるお金はあるので援助したい。もし出来るなら、25年思っていた夢を見させて欲しい。
女は・・・、お金を出してもらえる。そして体を求められた。女は思っていた。彼の女になりたいと25年思っていた。いいことずくしではないか・・・。でもいいのかこの申し出をうけて??? 世間の目は??
そんな思いが交錯したのだろう。しかし、男も女も一歩づつ「やってしまう」ということで一歩を踏み出すことにする。

その後の関係も微妙なのである。
「お金ではじめた関係」というブレーキにしがみつきたい想いと、所詮それは、一見不幸に見えるお互いにとっての都合の良い言い訳で、実は、「追い詰められたり、追い詰めたりする関係になりたい」という願望が女のなかにくすぶって時々爆発しそうになる。

そんなこんなと何回かの逢瀬を繰り返す二人。
しかし、そんな今井を癌が蝕んでいた。大腸癌であった・・・・。
いか、ああだこうだあって、今井は死に、千桐は年を取り、自分の娘すら分からなくなるくらいにボケて、昔の男だけは覚えている・・・というところで映画は終わるのでした。

男が監督してるからバランスとれてるけど、とどのつまりは、女の願望ストーリーだったのだろうな。

by ssm2438 | 2013-05-03 20:23


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