2013年 12月 15日
監督:堀切園健太郎 原案:麻生幾 『外事警察 CODE:ジャスミン』(NHK出版刊) 脚本:古沢良太 撮影:相馬和典 音楽:梅林茂 出演: 渡部篤郎 (住本健司) 尾野真千子 (松澤陽菜) 真木よう子 (奥田果織) イム・ヒョンジュン(工作員・奥田正秀) × × × 韓国では濃縮ウランの流出という事件がおき、日本では東日本大震災の混乱の中で、被災地の大学の一室から原子力関係の部品データが盗まれる。核によるテロが起きるかもしれない。それは日本なのか、韓国なのか・・・?? その危機に立ち向かう外事4課の<公安の魔物>と呼ばれる主人公・・・。 NHKで作られたTVドラマ『外事警察』からの映画化で、基になっているのは『外事警察 CODE:ジャスミン』。ただオリジナル要素がかなり強い。 原作は『宣戦布告』などの著者である麻生幾。まるで公安にいたんじゃないかと思うくらいやりとりはいい感じ。とりあえずNHKでやってたTVシリーズ、レンタルしてみてみようかと思ってしまった。 ウィキペディアによると、もともと週刊文春の事件記者だった著者は、それまでの経験をもとにノンフィクションの『情報、官邸に達せず』を発表、その後フィクションのほうにも手を出し、『宣戦布告』を執筆し映画化もされたそうな。そのときの映画はけっこうたたかれたようだが、今回の『外事警察 その男に騙されるな』はけっこう映画的にみられるレベルのものになっている。このくらいのレベルで日本映画のポリティカルサスペンスもやってくれれば及第点だなあと思わせてくれるレベル。 どうでもいいことだけど、原作のタイトルのままだったらもう1億円くらいは興行収益がふえたかもしれないのに・・(苦笑)。日本映画のタイトルつけかたって超下手だと思う。 作品の質はおいといて『海猿』とかも、内容を知らない人にとってはタイトルだけで見る気にならないとおもうのだけど・・・。 画面はポール・糞手ブレ・グリーングラスの『ボーン・スプレマシー』とかのあの感じ。まあ、そこまで手ブレは気にならなかったが、手ぶれというのはそこにカメラがあることを見てる人に認識させてしまうので、意味をわかってないと<映画を撮ってる撮影現場>を撮ってるような画面になる。ただこの映画はそれの手ブレのあざおさを最低限度に抑えて、ぎりぎり我慢できる範囲におさめてある。 色合いも地味~~~に彩度を落とし黒にザラつきを出してる。嘗ての栄光<銀残し>と呼ばれる手法である。昔の映画を見てる人にとっては<銀残し>画面みせられるととうれしい。 ただ、これに関しては撮影でそれをやっているというよりも、アフターエフェクトかなにかで、あとから画面処理してる感じはいなめない。CGでの画像加工がどこか画面的にチャラく感じてしまう。『300』みたいになっちゃうともう見る気も起きないからあんなのはやめてほしい・・・(苦笑)。この映画はその点でも節度が効いていて、我慢できる範囲におさまっている。 お話の展開は「公安のダークな感じ」がけっこう雰囲気あります。いろいろネットに転がっているコメントみると、テレビシリーズのほうがよかったという意見が多いようですが、ま、物語のスケールを広げすぎると描写が大雑把になることがほとんどなので、ある程度の狭い範囲の出来事にまとめて物語をつくったほうが無難なのだろうが、映画ということもあってちょっと風呂敷ひろげちゃったのかなって気がします。とりあえずそのあたりはテレビシリーズをみてみないことにはなんとも言えない。 主人公は渡辺篤郎扮する住本健司で、警視庁警備部に属する公安外事外第4課の班長。テロリストを逮捕するためならどんな冷酷な手段でも行うことから「公安が生んだ魔物」と畏怖されている。どうやらこれはテレビシリーズをみないことにはぴんと来ないらしいが、でも、いい感じの役どころをもらったな・・という感じである。 ちなみに公安の外事は、中国・北朝鮮などのアジア圏の事案を担当する外事2課、それ以外を管轄する外事1課、国際テロに関する事案を処理する外事3課がある。本作で出てくる<外事4課>は架空の部所である。 <あらすじ> 朝鮮半島で濃縮ウランの流出という事件がおきた。日本では、東日本大震災の中、被災地の某大学からの原子力技術に関するデータが盗まれていた。どうやら核爆弾がつかれているようである。そのターゲットはソウルなのか日本なのか・・??? 一方、住本健司(渡辺篤郎は、ソウルで物理学者・徐昌義(田中泯)を捕獲した。彼は在日朝鮮人で日本で原子力を学んだ権威だった。20年前、祖国に原発の日を灯すことを夢見て家族を捨て北朝鮮に渡っていたのだ。その環境は劣悪なもので、彼の体はすでに癌に侵されていた。彼こそが核爆弾の製造者だったのだ。しかし、それだけでは爆発しない。起爆装置が必要なのだ。その起爆装置は日本の技術がつかわれていた。外事四課は奥田という男を工作員ではないかと睨み、その妻・果織(真木よう子)を協力者という名のスパイにするべく近づく。 果織は家族がなく施設で育てられた女で、一度結婚をし娘を出産したが夫とはすぐに死にわかれ、そのショックで言葉が話せなくなった娘を一人でやしなっていかねばならなかった。多額の借金ももかかえていた。工作員の奥田はそんな果織と偽装結婚するかわりに金銭的援助をおこなっていた。 そんな果織に女性の友達ができた。公園で子供が遊んでいるとき知り合った女性で、彼女もシングルマザーだった。シンパシーを感じる果織。彼女の招きに彼女のマンションにいってみるとそこには住本がいた。 このシチュエーションが公安らしいのです。同じ境遇を装いそれとなく親しくなる・・・。 同じように公安経験者の濱義之が書いた『ハニー・トラップ』のなかに同じ手法が書かれていた。そのときは中国人の女スパイが、自分の息子を病気で失った捜査官に近づくときに、「実は私も息子を失ったの・・・」といって近づき、親しい関係になっていく・・・という流れがあった。 こんな共通項を見出すと、「あ、らしいぞ!」って思えるのである。 住本は、果織をなんとか協力者にしたて自分の夫を調べさせる。どうやら原爆の起爆装置らしいものを持っているらしい。 その一方で徐昌義には、捨てていった家族に合わせるといい、爆弾のありかをしゃべらせようとする。しかし彼の妻はすでに自殺し、娘は幼い頃に施設に預けられてから消息を絶っていた。見つかるはずがない・・・。必ず娘に合わせると約束するという住本のブラフを見抜いた徐昌義はがんとしてしゃべろうとしない。住本は自白剤の投与を医者たちに指示する。 しかし・・・そんな矢先、徐昌義はテロリストたちに取り返されてしまう。 ソウルにもどった徐昌義はテロリストたちと核爆弾をセットしようとしたが、工作員の奥田から得た起爆装置が偽物であることに気づく。奥田は、ほんとに果織のことを愛し始めており、計画を実行させないために起爆装置を摩り替えていたのだ。しかしその奥田もすでに殺んでいた。起爆装置を取り返すためにテロリストたちは果織の娘を人質にとり、果織に起爆装置をソウルまで持ってこさせるよう迫る。 舞台が韓国に移った以上、日本の外事警察の手をはなれる。住本は公安の身分を剥奪されながらも、果織とともにソウルに飛ぶ。そこにはもう一つ重大な事実が判明していた。奥田は、徐昌義を裏切らせないように、彼の娘をすでに身近に置きDNA鑑定していた。その書類をみつけた住本は、徐昌義の娘が誰であるか知っていた・・・。その娘そこそが最後の住本の切り札となる・・・。 ・・・・んが、しかし・・・・。
by ssm2438
| 2013-12-15 08:56
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主観重視で映画の感想を書いてます。ネタバレまったく考慮してません。☆の数はあくまで私個人の好みでかなり偏ってます。エンタメ系はポイント低いです。☆☆=普通の出来だと思ってください。 by ssm2438 リンク
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