西澤 晋 の 映画日記

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2009年 03月 13日

ステルス(2005) ☆☆☆☆

f0009381_273929.jpg監督:ロブ・コーエン
脚本:W・D・リクター
撮影:ディーン・セムラー
音楽:BT

出演:ジョシュ・ルーカス
    ジェシカ・ビール
    ジェイミー・フォックス
    サム・シェパード

     ×     ×     ×

ジョン・バダムに撮らせたら実にはまった映画ではないかと思った。敷居の低い欲で来たB級映画。基本は硬派系映画がすきなのだがたまにこういうB級でよく出来た映画をみると嬉しくなってしまう。思わずDVDを注文してしまった。もちろんB級映画枠あっての「良く出来た」なのA級レベルで見ては行けない。ここを取り違えると面白いのに「つまらん!」って云ってみたくなったりする(苦笑)。
映画の宣伝みると、気の狂ったAI 装備の無人ステルス戦闘機があばれまくってさあ大変!!‥‥みたいな良くある<人類 vs コンピュータ>のノリかと勘違いしてしまうのだが、そこに行かないドラマなのだ。もちろんそういうシーンもあるのだが、それを扱う人の話であり、<CGを使う戦闘機の空中戦>っていうのが基本の売りにしてもストーリーの基本ラインは<人がメカを操るドラマ>というラインは崩していない。そのへんが妙に好感もてたかな。
そのむかし、同じようなネタで『イントルーダー/怒りの翼』なる映画があった。ベトナム戦争時代、イントルーダー(海軍の戦闘爆撃機)にのってサイゴンを攻撃する話。脚本はジョン・鷹派・ミリアス。当時CGがメジャーになってない時代、ミニチュアでなかなか楽しい画面を創ってくれて、私個人としてはかなり好きな映画のひとつだ。その最後で攻撃に出て撃墜されてからのサバイバルっていう展開になるのだが、この『ステルス』をみてると“おお~~~、これじゃこれじゃ!!”って感じでニヤってしてしまう。人にポイントを置かなければこういうストーリーの組み立ては出来ないのである。作り手の良心を見た思いがした。

まず監督のロブ・コーエン。ノリ系である。『ワイルドスピード』とか『トリプルX』とか。
この<ニリ系>っていうのはいったいどんなのか?というと、ストーリーとか心情とかをしっかり見せる演出ではなく、ノリノリの音楽流してそれに見合う画面をつくる‥‥ある意味テレビドラマのオープニング的画面作りといってもいいかも。やたらとカメラ移動があってミュージックのノリで見せるのがこの手の演出の特徴。ただ、これはやりすぎるとストーリーのシリアスさがスポイルされる事が実におおい。本来ストーリーがもっている社会的問題の提示とか、ちょっとたちどまって考えてみたい自分の在り方とかをさらりと通り過ぎることになる。ま、頭をつかって楽しまないやからにはいいのかもしれないが‥‥。
最近ではスカーレット・ヨハンソンの出てた『アイランド』などがこの良い例。監督が『アルマゲドン』マイケル・ベイなのだから仕方がない。ノリ系画面ばっかりのアクションシーンで、そのシーンの痛みとか怖さとかがほとんどなく、ただBGMのように画面が流れる。なのでストーリーが本来基本にしてた<クローン技術からくるある種の恐怖:ものが2つになればその価値は半減する>の部分がないがしろになりドラマ性が弱く見えてしまう。この映画、テーマ的にじっくり考えたい、脳みその奥で楽しみたいポテンシャルを多く含んでいただけに、こういう演出をされるともったいない。ただ社会のディテールとか小物とかもしっかり作れているので、ノリ系演出でなかったらなあって残念に思ってしまった。

 『ステルス』の物語は今からそう遠くない未来。

アメリカ海軍は3機のステルス機タロンからなる小隊を訓練していた。そして空母への実践配備。そこでもう一機機体と合流することになる。やって来たのは無人ステルス戦闘機エディ。
いよいよエディを含めた4機ので作戦行動訓練が行われるのだが、その途中都合よくミャンマーのラングーンでテロ組織が密会をするという情報が入って来る。ステルス効果をいいことに外交無視の攻撃作戦が実行される(このへんはかなり強引)。
テログループが集う場所は建設中のビル、それもダウンタウンのまっただ中。そこを攻撃できるとしたら上空から垂直落下し発射するミサイルの速度をあげ、14メートルのコンクリートの屋根を貫通させてそれを撃ち込むしかない。人がそれをやれば失神する可能性78%司令部はこれを機にエディに作戦の実行をやらせようとするが、小隊の隊長ベン・ギャノンは初物不安からこれに反対、命令を無視して自己の判断で攻撃を観光成功させる。彼らの作戦行動から学ぶエディは<命令無視>のコンセプトまでインプットしてしまう。
帰還しようとすると雷にうたれてエディクラッシュ。お、いつものパターン!?
人間に反逆するコンピュータのイメージは『2001年宇宙の旅』で出て来たハルのイメージはあり、「あいつは信じられんぞ」と密会する会話を聴くシーンはいかにもそれっぽい(苦笑)。いよいよコンピュータが意思をもちっはじめるのか??と思いきや、ま、若干その傾向はありつつもそれほど露骨にはこっち方面には向かなかった。ただ、その味はのこっているだけに、シナリオ製作段階で2転3転したのではないかとかんぐってみたりする。ただ、物語の性質としてそちらに行かなかったことはとってもほめられる。

次の作戦はタジキスタン。テロリストグループが核弾頭を旧ロシアから買い取ったとかでそれの殲滅が使命となる。
攻撃に向かったタロン3機と+エディだったが、それが行われた場合の被害予測をすると人的被害が大きく作戦の中止を決定する隊長ギャノン。しかしエディは攻撃を続行。テロリストの所有するランンチャーは破壊するが、核の死の灰も近隣に降り注ぐことになる。
今後しばらく宣伝の中身よろしく、命令無視を続行するエディが描かれるパートに入るがとりあえずさらりと終了。作戦行動中にタロン機の1機は爆発、ジェシカ・ビールの乗る2号機もその破片を受けてい北朝鮮領域に墜落。
なんとかエディを説き伏せたギャノンはアラスカ基地に戻るがそこでは作戦をなかった事にしようとする政治的工作が進行してあやうく殺されかかる。やがてこの場を乗り切り、エディにのりこみ、ジェシカ・ビールを救出に北朝鮮に向かうギャノンであった‥‥。

コンピュータがいつまでもぐれてないで、こりゃだめだと思ったらすぐ人間の指揮下にもどる合理性がとっても素敵。

‥‥そんな話。

あと、あまり技術的なことはいいたくないけど、CGはほんとに良く出来てる。よいCGってアナログのようにみせられること‥‥って誰かが云ってたが、まさにそんな感じ。いかにもCGでつくってますよって感じがしないくらいかなり自然に戦闘機のドンパチを創り込んでいる。その姿勢には拍手をおくってしまう。
この映画のよさって、このCGのアナログ感と物語が<人間 vs コンピュータ>のありきたり路線に行かなかった事。あくまで<人間の的は人間>の範囲にとどめたこと。これはたぶんスポンサーとか映画会社とかからの軋轢があったとおもわれるんだけど、頑張って人間本意のストーリーラインを死守した人たちの功績だね。トータルパッケージとしてはよくあるCGをフルに使ったドンパチものなんだけど、その中に作り手の良心を感じる。でも、B級なんだけど。でも頑張ってる。この頑張ってるB級ってのは実に愛らしい。。

PS:キャラで拾いモノだったのがジェシカ・ビール。ステルス隊の紅一点なのだか妙にいい。他の映画もすこしあさってみたが、いいのはこの映画だけのようにである。
彼女の画像UPしとこうか。じゃん!
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うむむむ〜〜、正直なところ写真でみると普通で、これといって特徴なさげだけど、『ステルス』のなかで動いてるととってもチャーミングなんだ、これが。

by ssm2438 | 2009-03-13 08:15


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