西澤 晋 の 映画日記

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2009年 01月 02日

アリー・myラブ (1st Season)(1997~1998) ☆☆☆☆

f0009381_22251585.jpg製作総指揮:デイビッド・E・ケリー
脚本:デイビッド・E・ケリー

出演:キャリスタ・フロックハート
    グレッグ・ジャーマン
    ピーター・マクニコル
    ギル・ベローズ
    コートニー・ソーン=スミス
    ジェーン・クラコウスキー
    リサ・ニコル・カーソン

     ×     ×     ×

『アリー my Love 』といえば、現在もその第5シーズンがNHKで放映されてます。 見れば見る程凄いシナリオの完成度の高さに驚かされます。これだけのシナリオのレベルの高さはちょっと他では観られない。 本来このコーナー、映画の紹介をしようと思ってたんですけど、どうにも今、これを書かずにはいられない、そんな気持ちにさせられる『アリー my Love 』、とりあえず、今回はファーストシーズンの6話を紹介。
「とりあえず」と書いたのは、のちのちほかの話も紹介する可能性が大いにありそうだから・・・(笑)。

物語のプロローグをざっと紹介すると、弁護士事務所で働くアリー(28才だったかな?)は、同じ事務所の老練な同僚弁護士にセクハラを働かれ、訴訟を起こそうとするが、逆に会社を首になってしまう。 失業したアリーの前に現れたのは学生時代の友人リチャードで、自分の事務所に来ないかと誘われる。ところがそこでアリーは8歳の時から幼馴染みであり、大学時代で恋人だったビリー会う。自分の中にまだビリーを想う気持ちのが残っていることに動揺するアリー、しかしビリーは既に結婚していた。やがてビリーの妻であるジョージアも、同じ事務所で働く事になる。そんな状況の中でアリ-の「運命の人」探しが始るのであった・・・というようなもの。

しかし、この物語は凄いのはストーリー構成とシナリオワークなのだ。 一昔前にちょっとブームになったミラン・クンデラ『存在の耐えられない軽さ』という小説がある。映画にもなった。読まれたからもいるかもしれないがこの作品、作者がストーリ-を展開させながら、なおかつ、そのエピソードがもつ意味、その時の登場人物の真理状態や仕草の意味などを平行して作者が語って行くというスタイルをとっていた。映画になった『存在の耐えられない軽さ』は、物語だけを追ったものになったがそれは仕方がないことだとも思った。小説を映像化する以上、真理描写 に関する文字部は、フィルムをみてもらったなかで感じ取らせるしかないものであり、それこそが映像を作る側の腕の見せ所でもあるのだか、文字で表現されていた真理描写 が完璧に映像化されることは不可能にちかい。 しかし、この『アリー my love 』は、そのパラレル構造を見事に映像化している。物語を進行させつつ、裁判というもう1つの理論的説明の場を用意して、本編のストーリーにおける主人公の現在の真理状態や、その行動をさりげなく説明・補足していってしまうのだ。
それにプラスして歌詞入りの挿入歌。これがまたまたアリ-の心情を歌い上げる。このコンビネーションが実に効果 的に機能してる。さらに登場弁護士たちはとっても個性的に描かれ、その弁論スタイルもそれぞれの生き方によって描き分けが出来てます。自分の恋愛哲学を基本に語るアリ-。男尊女卑の暴言は数知れず、しかし圧倒的本質論を語るリチャード。普段はぼお~~~っとして、絶対もてなさそうな劣等感の固まり男、でも最終弁論になるとやたらとかっこいい。不可能を可能にする弁護士ジョン。 それぞれの哲学が最終弁論でブレイクするから面白い。きっとシナリオを書いてても燃えただろうなあって思う。 そんな『アリー my Love シーズン1』、そのなかから特に私が燃えた話数をちょっと紹介。

6話『婚約』☆☆☆☆☆

アリーはアイスクリーム会社への販売差し止め請求についての訴訟を任された。被告側の弁護士はハリー・ピピン。リチャードが言うには「超巨体の歩く大陸移動」。ピピンはドアから入るなり、「こんな非常識な申し立ては初めてだ」と非難。その巨体ぶりにその場にいた全員があっけにとられ、アリーもしばらくは目を丸くするばかり。第一印象最悪。判事も「原告の申し立ては却下」とあっさり棄却。口を挟む事も出来なかったアリーはあわてて、既に法廷から去ろうとしているハリーを追いかけ和解を提案した。しかし、ハリーはいきなり胸を抑えうめきだし、その場で倒れてしまう。アリーは慌てて心臓をマッサージ&マウス・トゥ・マウス、なんとか命をとりとめた。アリーは早速トイレに駆け込み「うええ~~、オムレツの匂いがしたわ!」とうがいをするのであった(笑)。
その後ハリー・ピピンの婚約者となのる女性アンジェラがアリーを訪ねてやってきた。今週の金曜日にハリーとアンジェラは結婚式の予定のため、命の恩人のアリーに結婚式に招待するという。 一報、ジョンとアリ-は売春容疑をかけられた被告人サンドラの弁護にもたっていた。サンドラは自分は元弁護士で6年勤めていたが、そこでは所帯持ちの男性にセックス目的でしか誘いを受けなかったためにエスコート業に転じたというのだ。
その晩、バーでジョンのことでグチっていると、退院したばかりのハリー・ピピンが現れた。驚くアリーに「二人で話がある」と言い、アリーのオフィスへ、二人きりになると、純粋な子供のような目で誠実に愛を告白する。「クジも買ってみなければ分からない・・。望み薄は承知だけど・・・君が僕を好きになる可能性はあるかな?」と訪ねる。「可能性があるとは思えないから・・・」と断るアリ-。
アンジェラとの結婚は胸の高鳴る恋ではなく、他に選択肢がなかったからだというハリー、「彼女の事はは心から愛してるけれど、胸ときめく相手とはほど遠い・・・この結婚は間違ってるかな?」ハリ-の言葉はアンジェラには決して聞かせられない残酷な言葉であったが、彼の『真実』の言葉であることも理解出来た。そんなハリ-に自らの恋愛論を語るアリ-「最後まで捨てちゃいけない夢っていうのは絶対あるって思う・・・」サンドラの最終弁論に、ジョンが立ちあがった。
「偽善行為ほどイヤなものはない。女優が映画のセックスシーンで男性とからむはお金のためもあるだろう。昇進の為に上司と寝る女性も、お金目当てで結婚する女性も投獄されない。女性にとって性は常に商品価値がある。皆は因果関係をボカしてしまうが、私の依頼人は潔かった!」と主張。「偽善行為に、しばし黙祷を・・・」と締めくくった。しかし性の商品化を肯定するジョンの弁論には納得のいかないアリ-。評決を待つ間にアンジェラが訪ねて来た。ハリーが、アリーの言葉に動かされ結婚式を中止してしまったというのだ。「彼の世話をしたいとおもう女性はこの世の中にどれだけいると思うの? 太った人に忠告するなら覚えておくといいわ。多くを望みすぎたせいで何も得られないってこともあるのよ・・・」。
評決を受けるために法廷を訪れたアリーは偶然そこにいたハリーをつかまえる。
「アンジェラと結婚すべきよ。信頼できる同志なんでしょう? 気持ちにとって一番良くない事は孤独だと思う・・・現実を見つめて、その中で最良の選択をすべきだわ・・・」、 ハリーも、心では納得している。しかし切ない・・・。あの子供のような純粋な目で「子供の頃の夢なんて所詮戯れ言、諦めろとと言うんだね・・・」と淋しそうにアリ-をみつめる。その言葉を否定したくでも出来ないアリ-・・・。
評決がでた。サンドラは無罪。 事務所に戻ったアリーは、勝訴だったものの納得はいかない。「純愛を信じる人間をバカにして、商売女を自立した女性みたいに扱うなんて! 世も末よ」 そんなアリ-にジョンは言う、「弁護士はゲームを強いられる時もある」 「いいのよ、あなたは謝ることはないわ。弁護士として義務をはたしたんだもの」「謝るつもりはない。僕がいいたいのは・・・、確かにこの世はロマンチックなもとは程遠い・・・でも、それを信じる人も少しは残っている。彼等が入る以上の望みはまだ残ってる。(ぽんとアリ-のかたに手をおいて)世間なんかに負けるな!アリー」 それだけ言って出て行くジョンであった・・・・。

夢と現実の相克!! おおおお~~~~~!!と思ってしまったよ。 デブなハリ-が純粋にアリ-に告白するシーンの誠実さ。 「夢を諦めろ」と言われた時にあの切なそうな表情・・・。 人を好きになる力を多少でももつものなら誰もが経験する、恋愛における理想と現実。 「この人じゃない・・・、もっと違う、本当に彼/彼女が何処かにいるはずだ」と思う反面 、「これでいいんだ。これで満足しとけ・・」という心の声も聞こえてくる・・・。 あまりに切実でリアルな恋愛感情、誰にも身に覚えがあるこのテーマをそこまで描くか!!ってくらい、切なく語ってくれました。

このほかにもシーズン1では20話『また独りぼっち』☆☆☆☆がとってもニシザワ好みの話です。
銀行強盗で18年間服役していた72歳の男が、壁を飛び越えて脱獄を図った。隠れて集め続けた輪ゴムで、トランポリンを作り上げたのだ。ジョンとアリ-(いつもこの二人がペアを組んでるわけではない)が弁護を担当することになった。彼は刑期のこすところあと1ヶ月、なのに何故? 一報その裁判の相手側検察官が実はジョンの大学時代の同級生。じつは密かに想いを寄せていた女性だった。久しぶりにあった二人は意気投合しするが裁判では敵同志。『夢』というものは叶えようと思わなければ、一生『夢』のまま可愛がる事もできる。もし挑んで失敗すればもう夢ではなくなる。しかし・・・・それで納得できるのか? この話数ではそのテーマを、獄中ずっとその事だけを夢見て来た男との話と、大学時代にその一言が言えないまま「友達」であることをキープしてきたジョンの想いをシンクロさせながらつづていく。

by ssm2438 | 2009-01-02 15:24


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