西澤 晋 の 映画日記

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カテゴリ:ロベール・アンリコ(1931)( 4 )


2010年 04月 20日

冒険者たち(1967) ☆☆☆

f0009381_1717780.jpg監督:ロベール・アンリコ
脚本:ロベール・アンリコ
    ジョゼ・ジョヴァンニ
    ピエール・ペルグリ
撮影:ジャン・ボフェティ
音楽:フランソワ・ド・ルーベ

出演:
アラン・ドロン (マヌー)
リノ・ヴァンチュラ (ローランド)
ジョアンナ・シムカス (レティシア)

        *        *        *

60年代の懐かしさにふれたい時にはいいかも・・

監督は『若草の萌える頃』『オー!』などのロベール・アンリコ。彼の作品のなかでは一番メジャーな作日。個人的にアンリコは好きな監督さんで、この人の撮り方というのは実にしっくりくる。『オー!』などをみても、この人の画面であるだけで、情緒的撮り方が実におちついて画面に展開される。街の描写しひとつとっても、この人が監督すると、なぜか叙情的ムードにひたれるから不思議である。

この『冒険者たち』という映画は、年配の方にはけっこう人気のある作品だとは思うが、今の人がみてどうかはちと疑問。お話はけっこう散漫で、明確な目的意識があって人生をいきてるようには見えない主人公たちなので、よく言えば自由奔放、悪く言えばチャランポランな雰囲気。時代が体制反対映画が多かったときなのでしかたないとは思うが、あまり好感がもてないんだな、これが。
タイトルは『冒険者たち』ということで、それぞれのキャラクターが飛行機、ガラクタアート、レーシングカー、カジノ、宝探し、ホテルなど、いろんなことをやってみる映画なのだが、しかし、「あれがダメならこれ」「これがダメならあれ」という具合に、想いに必死さがないのがいただけない。この軽さがいい人には良いのだろうが、私なんかは熱しにくく冷めにくいほうが好きなので、こういう執着心のない話にはあまり魅力を感じない。

そうはいっても、ジョアンナ・シムカスは60年代のアイドルではピカイチな女優さん。もっとも私はこの映画が上映されたころはまだ5歳なので、彼女がどれだけ人気だったのかはのちのちになってきかされたのだけど。しかし、この『冒険者たち』と『若草の萌える頃』の彼女はとてもいい感じ。のちにシドニー・ポワチエと結婚してしまわれ、あまり映画にはでてないのだけど、そういう意味でもこの『冒険者たち』は明るい日差しのもとで健全なジョアンナ・シムカスがみられる貴重な映画ではないだろうか。『若草の萌える頃』では一晩よるをほっつきあるいて朝方とある男と“H”をするので、健全さはあまり感じられなかったりする。その点こちらはさんさんと陽がふりそそぐ太陽のしたで青のビキニ姿も披露してくれる(笑)。ああ、なんと健全なことか!

<あらすじ>
マヌー(アラン・ドロン)はパリのある飛行クラブのインストラクターで命知らず&大ぼら吹きだ。ローランド(リノ・バンチュラ)は、パリ郊外の廃車置場の中にある奇妙な仕事場に住み、カー・エンジンの開発に専念していた。そんなローランドの廃車置場に、リティシア(ジョアンナ・シムカス)という現代アートを目指す女性が、あらわれる。彼女はガラクタでアートを作っていたのだ。
ある映画プロデューサーが撮影のため凱旋門を飛行機でくぐり抜けた者に二千五百万フランの賞金を出すという話をききつけ、それに挑むことにするマヌー。しかし、その話はひともんちゃくあり、マヌーは飛行士の免許を剥奪されてしまう。一方レティシアも、彼女の出展した作品は酷評され、へこんでしまう。(じっさいダサいのだが)。
失業したマヌーは友人ローランドの仕事場へころがりこんだ。そんなある日、マヌーは飛行クラブの生徒から、ベルギーのコンゴ移住者が動乱から逃れる途中、莫大な財産を乗せて海に墜落し、財宝が海底に眠っているという話をきく。マヌーとローランドとレティシアはスクーナー船に乗りこんで、宝探しを始めた。ところがこの財宝に目をつけていた旅団が闇に乗じて襲ってきた。その戦いの中でリティシアが死んでしまう・・・。

あんまりこんな映画を人殺しが登場するような方向にはふらないでほしいものだ。。。
なんでもありの映画なので、もうすこし1人の女を想う二人の男の友情ものがたりに徹して欲しかったかな・・。
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by ssm2438 | 2010-04-20 17:20 | ロベール・アンリコ(1931)
2009年 08月 13日

若草の萌えるころ(1968) ☆☆☆

f0009381_558830.jpg監督:ロベール・アンリコ
原作:リシュエンヌ・アモン
脚本:リシュエンヌ・アモン
    ロベール・アンリコ
    ピエール・ペルグリ
撮影:ジャン・ボフェティ
音楽:フランソワ・ド・ルーベ

出演:ジョアンナ・シムカス
    カティーナ・パクシヌー
    ホセ・マリー・フロタス
    ベルナール・フレッソン

        *        *        *

原題は『ジダおばさん』、これだけ聞くとロマンも何もないように聞こえます。邦題の『若草が萌える頃』もけっこういいセンスだと思いますが、これだとタイトルだけ一人歩きしてる感じがいなめない。私だったら『きのうの夜は・・・』というタイトルにしますね、デミー・ムーアロブ・ロウの映画でありましたが(苦笑)。

この映画、はっきりしたストーリーはあってないようなもの。20代に見たのですがそのときは・・???な映画でした。今見直すと・・・、いいですねえ。とにかくムードがいい。夜の街を歩くジョアンナ・シムカスだけで十分絵になる。またこれが気持ちいい画角の絵をつくってくれるんだ。これはもう監督のロベール・アンリコと撮影監督のジャン・ボフェティの意思疎通のなせる業ですね。中望遠感がとてもすばらしい。それに時代は60年代、まだまだフィルムの質が悪くて暗いところはとことん黒くおちて見えない。これがいいんだ! 今のフィルムは感度が良すぎて見えてしまうので個人的にはかなり不満。

f0009381_3384121.jpgこのヒロイン=ジョアンナ・シムカスは1960年代に青春時代をすごした映画ファンならまちがいなくディーバの一人ですね。『冒険者たち』『オー!』の時代に彼女を見た人ならあこがれてたでしょう。残念ながら私はそのときまだ小学生だったので彼女をリアルタイムであこがれたことはないのですが、短くも美しく萌えた女優がいるということは知ってました。
その彼女が主演の映画、しかもタイトルは・・『ジタおばさん』。なんじゃそれは??って思うかもしれませんが、この映画のポイントは彼女のミステリアスな情緒形態。大好きだったジタおばさんが脳卒中で倒れ、何かをしたいけど何も出来ない状態。夜になると彼女のうめき声のような寝息だけが聞こえてくる。でもなにもしてあげられない。・・・こんな場所に痛くない。で、夜の街を意味もなく徘徊するジョアンナ・シムカス。
現実を忘れさえせてくれるならなんでもいい、とにかく底に帰りたくない理由が出来るならなんでもいい・・、そんな心情。わけもなくそれをしたいけど、それをしたくない・・みたいな、男にしてみれば「どっちなんだ、おい!!」とむかつく女。
そんな彼女に言い寄ってくる男たち。非日常がちょっとだけ刺激的。出会ったばかりで恋愛感情なんかもてないけど、とりあえず自分に興味をもってほし・・みたいな、男と接するときの女のスタンスといいましょうか、ちょっといじめてみて、それでもついてくるなら相手してあげようか・・みたいな、男にとってはけしからん女なのですが、女にしてみれば実によくつかう手・・。そんなシムカスがとっても素敵です、・・ムカクツけど。

いやああ、良かった。この映画は今みるとおもったよりもかなりの名作だということが判った。
自分の映画鑑賞能力がかなり大人になったってことだなあ。
なんかわからんけど、いい!っていうのが、具体的にわかってきてる自分を発見できた映画でした。
歳はとるもんだね。

by ssm2438 | 2009-08-13 05:58 | ロベール・アンリコ(1931)
2009年 08月 13日

夏に抱かれて(1987) ☆☆

f0009381_1475486.jpg監督:ロベール・アンリコ
原作:フランソワーズ・サガン
脚本:ロベール・アンリコ
    ジャン・オーランシュ
    ディディエ・ドゥコワン
撮影:フランソワ・カトンネ
音楽:フィリップ・サルド

出演:ナタリー・バイ
    クリストフ・マラヴォワ
    ピエール・アルディティ

        *        *        *

ロベール・アンリコの映画はフランス映画なのになぜだか見やすい。すうう~~~~っと心に不自然なく入ってくる。本質的に映画のコマの流れを知っている人なのではないかと勝手に思い込んでいるのだが・・。

ただ・・・、物語としてはきわめて普通の出来。悪くはないけど、それほど面白くもないというところか。個人的にはナタリー・バイを見たさにこのVHSを買ったのだが、同時期に買ったフランソワ・トリュフォー『緑色の部屋』の彼女のほうがいい。この映画のナタリー・バイからはほとんど恋愛力が感じられないというか・・、男からは求められているのだろうが、彼女のほうはどこまで好きという感情をもっているのか疑問、要するに誰も好きに見えないところが恋愛映画として盛り上がりにかけるとこかもしれない。

1942年ドイツ占領かのフランス。ヨーロッパのユダヤ人はゲシュタポの秘密警察によって捕らえられている時代。アリス(ナタリー・バイ)とジェローム(ピエール・アルディティ)は彼の幼友達シャルル(クリストフ・マラヴォワ)のもとを突然に訪れる。ドイツ支配への抵抗活動に加わっている二人は、ユダヤ人を国外に脱出させるための一時の避難場所としてシャルルの家を利用しようとしていた。
シャルルはその地区に自営の靴工場をもっており、地域の人々の雇用を支えていたが、妻は別の男とアメリカに逃避行。しかし悲壮感は微塵もなく、会社の女の子とよろしくやっているのん気者で、社員からも好かれていた。
ジェロームの突然の訪問を歓迎するシャルルはアリスに惹かれていく。ジェロームはわざとシャルルとアリスとの時間をつくっているようにも感じられる。そんなアリスもジェロームとは違って陽気でのびのびとしたシャルルに心の安らぎを感じ始めている。
ある日ジェロームは断りもなくユダヤ人一家をシャルルの家に連れてくる。初めてムッとするシャルル。しかしこれを拒否することは、彼らは別の場所を探して出て行くことであり、それはアリスも出て行くことを意味していた。「ジェロームは切り札として君をつれてきんだね」と、事の次第を理解するシャルル、
「分ったよ、君がここにいてくれるなら何でもする」と白旗。

ジェロームは外で仕事をしている。その仕事に従事しているアリス、しかしアリスが一緒にいる時間が長いのはシャルル。そんな環境下でシャルルとアリスの心的関係が徐々に近づいていく。

by ssm2438 | 2009-08-13 00:57 | ロベール・アンリコ(1931)
2009年 07月 04日

オー!(1968) ☆☆

f0009381_2123763.jpg監督:ロベール・アンリコ
脚本:ピエール・ペルグリ
    リュシエンヌ・アモン
撮影:ジャン・ボフェティ
音楽:フランソワ・ド・ルーベ

出演:ジャン=ポール・ベルモンド
    ジョアンナ・シムカス

     *     *     *

『ゴルゴ13』のあと『コブラ』を2本だけやることになり、そのイメージ構築のためにジャン=ポール・ベルモンドの映画を何本かアマゾンから取り寄せた。ジャック・ドレー『パリ警視J』☆、ジョルジュ・ロートネル『警部』☆☆、フランソワ・トリュフォー『暗くなるまでこの恋を』☆、そしてロベール・アンリコ『オー!』。・・・どれも期待をしていたわけではなかったのだが、この『オー!』だけは意外と良かった。さすがロベール・アンリコ。

一番『コブラ』ムードがでてたのは『警部』。これはまあ良かったかな。いつのくだけた感じのジャン=ポール・ベルモンド。まるでゼロ戦パイロットのようなキャップとゴーグルをかけ、寒い冬道路を真っ白なマフラーなびかせながらスーパーセブンを駆る男。猫毛でぼてっとした鼻、愛嬌のあるたれ眼、そしていつもタバコか葉巻を咥えている。そしてジャンパーの下には6インチのパイソンを持っている。どうみてもコブラのイメージベースである(あくまで私が勝手にそう思ってるだけで、寺沢武一に聞いたわけではない)。そんなジャン=ポール・ベルモンドが麻薬組織の悪党どもをユーモアを交えながら痛快にやっつけていくという、けっこう安心してみられる映画。

しかし、映画的に一番おもしろかったのはロベール・アンリコの『オー!』。映画が始まって数カットみただけで、“ああ、この映画いいかも”と思わせるアンリコの情緒性。ほとんどのフランス映画の監督さんだと日本人はちょっととっつきにくい感を覚えるものだが、ロベール・アンリコだけは実に日本人になじみ易い感性があるのだ。それはあの<青春のほろにがさ>かもしれない。アラン・ドロン、リノ、バンチュラ、そしてジョアンナ・シムカス『冒険者たち』☆☆☆、ジョアンナ・シムカスの『若草の萌える頃』☆☆☆など、この青春のほろ苦さがあるんだよね。
例外にもれずこの『オー!』もそう。ほかのジャン=ポール・ベルモンドの作品みるとリラクタントなヒーロー像の主人公なのだが(それはこの映画にもいえることかもしれないが)、きちんと余裕がないところは余裕がない。これが他の『パリ警視J』や『警部』の主人公だとあきらかに空想的ヒーローなのでどうしても日本のアニメにありがちな余裕ぶっこき演技になってしまってつまらない。しかし、この『オー!』に関して言えば、誰もが理解できる悔しさをもっているからなじみ易い。<青春のほろにがさ>=<悔しさ>なんだろうな。多分ロベール・アンリコがいいのはきちんと<悔しさ>を描いてくれるからなのだろう。

オーというのはこの物語の主人公の通称。元レーサーで、今ではしがないチンピラ強盗、それも運転役専門でほとんどあごで使われている。そんな彼だが一人になると鏡をみて銃を構えてみたりして、かっこつけ男をを演じきれないくやしさをさりげない開放しいたりする。このへんの青二才ぶりがとってもいいんだ。
そんなオーがちょっと背伸びして付き合っているのがモデルのジョアンナ・シムカス。はじめは彼の素性はしないのだが、警察に捕まってから新聞に出てしまい彼女も知ってしまう。
脱獄したオーは徐々に力をつけていくのだが、結局は同業者にねらわれる羽目になり、ジョンナ・シムカスを呼び出してなんとか逃走しようとするが、彼女もはかなく殺され、銃撃戦の適役を撃退することはできるのだが、警察に逮捕されてしまう・・。

この映画はかっこつけたいと思う青二才の悔しさが詰まってる感性豊かな青春映画なのだ。

by ssm2438 | 2009-07-04 01:16 | ロベール・アンリコ(1931)