西澤 晋 の 映画日記

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2009年 12月 05日

めぐり逢えたら(1993) ☆☆☆☆

f0009381_10352960.jpg監督:ノーラ・エフロン
脚本:ノーラ・エフロン、デヴィッド・S・ウォード
撮影:スヴェン・ニクヴィスト
音楽:マーク・シェイマン

出演:トム・ハンクス、メグ・ライアン

        *        *        *

ビリー・ワイルダー亡きあとのルビッチ・イズム継承者といえばノーラ・エフロン。そのノーラ・エフロンが、のちに恋愛映画のゴールデンコンビになるメグ・ライアントム・ハンクスを召喚し自ら監督をこなしたのがこの映画。
個人的にはノーラ・エフロンはシナリオだけやって、監督は他のひとに任せたほうがいいと思うだけど、というか、どうしても自分のシナリオ作品を自分でやってしまうと、自分の本を大事にしすぎて本来の自然なドラマのながれを壊しかねない。この作品は成功しているのはデヴィッド・S・ウォードが書いたシナリオをノーラ・エフロンがいじくって完成させているからで、ほかの作品と見ると、どうしても大事に撮りすぎてもたついてる感がいなめない。最近の二コール・キッドマンで撮った『奥様は魔女』なんかはかなり悲惨だった。

しかし、この映画、あふれんばかりのノーラ・エフロンのこ洒落た台詞回しが堪能できる。始まって15分くらいから始まるトム・ハンクスとラジオのパーソナリティの会話はすばらしい。メグ・ライアンは夜の道路を運転しながら聞いているだけ。実はこの台詞もシナリオとは変えてある。もとのシナリオよりもはるかにこちらのほうが染み込むんだ、さすがノーラ・エフロン。

        *        *        *

Dr. マルシア(ラジオから流れる声)
「誰かを心から愛した事のある人は、
 また他の誰かをそれ以上に愛せるはずよ。
 死んでしまった奥さんと同じくらい愛せる誰かはいないの?」

サム(ラジオから流れる声)
「Dr. マルシア・・、それはちょっと考えづらいな・・」

Dr. マルシア(ラジオから流れる声)
「じゃあ、これからどうするの?」

サム(ラジオから流れる声)
「うむむ・・毎朝起きてベッドから出る。
 息を吸って、息を吐いて・・、それを一日中つづける。
 そのうち、別に意識しなくても、毎朝起きて、
 ベッドから出られるようになる。息を吸ったり、
 はいたりしてることも忘れるようになる。
 そんなことをしているとそのうち、
 彼女と一緒にいた時間がどれだけ素晴らしくて、
 美しかったかなんてことを考えることもななくなるだろう・・、そのうちに・・」

Dr. マルシア(ラジオから流れる声)
「サム・・・、奥さんは何がそんなに特別だったの?」

サム(ラジオから流れる声)
「うむむ・・・この番組はあと何時間やっているのかな? 
 ・・・・そうだね、それは無数にあるたわいもないことさ・・、
 それを全部観ていたら、僕らは一緒になるべきだったもの同士だって分るよ・・。
 でもボクはそれを知っていたのさ。最初に触れたときから。
 ・・・それはまるで、自分の家に帰ったみたいだった。
 ただし・・、それは昔知っていた自分のうちじゃないんだけどね・・。
 それはまさに・・、車から出る時、彼女の手をとったあの瞬間・・・・。
 そのとき分ったんだ」

Dr. マルシア(ラジオから流れる声)
「・・・・」

サム(ラジオから流れる声)
「それはまるで・・・」

アニー
「・・魔法みたいに」

サム(ラジオから流れる声)
「・・魔法みたいに・・・」

        *        *        *

さらにこの映画に付け加えるなら、撮影監督はなんと北欧の巨匠スヴェン・ニクヴィストだ! このひとベルイマンの映画ではよく撮影監督をやる人だが、この人をつれてきたプロデューサーは偉いなあ。とはいえ、アメリカでもけっこう仕事はしている人なので、特筆すべきことではないのかもしれないが、でもスヴェン・ニクヴィストが撮ってくれるというのはすごいことだ。

by ssm2438 | 2009-12-05 09:39 | ノーラ・エフロン(1941)
2009年 12月 05日

街角/桃色の店(1940) ☆☆☆

f0009381_4403980.jpg監督:エルンスト・ルビッチ
原作:ニコラウス・ラズロ
脚本:サムソン・ラファエルソン
撮影:ウィリアム・H・ダニエルズ
音楽:ウェルナー・リヒャルト・ハイマン

出演:
ジェームズ・スチュワート
マーガレット・サラヴァン

        *        *        *

公開時のタイトルは『桃色(ピンク)の店』、「桃色」を「ピンク」と読ませるらしい。

『昼下りの情事』『アパートの鍵貸します』『麗しのサブリナ』などで有名なビリー・ワイルダー、彼がよくいっていた有名なつぶやきが、

「・・ルビッチならどうする?」

そのルビッチが監督したのがこの映画。なのでムードはビリー・ワイルダーに似てます。というかビリーワイルダーのほうがエルンスト・ルビッチににいてるのだけど。
また、この映画はノーラ・エフロンが監督・脚本をした『ユー・ガット・メール』のオリジナルでもある。もっともこの時代にはメールなどないのだから手紙(私書箱)をつかった文通でやり取りをするのだげど、美味しいところはかなり忠実にコピーしてある。最初に手紙の主と会うときも、先にそのレストランにきているサラヴァンをみて、手紙の主としてではなく、本人として会うくだりはまったく一緒。「そこは彼がくる場所なんだから」とスチュワートが座るのを拒むとその後ろの席に背中合わせで座る・・あのシチュエーションはそのままの。ああ、これが元ネタだったのだ・・って改めて認識。と同時にノーラ・エフロンもやっぱりルビッチのファンなんでしょうね。たしかに彼女の書くお話はルビッチにもビリー・ワイルダーにもにてる気がする。ワイルダーと同じく、子供の頃にルビッチをみて育った世代だったのでしょう。

この映画、原作はチェコのニコラウス・ラズロの戯曲。物語の舞台も実はハンガリーのブタペスト。でも映画のなかではみなさん英語で話しているのでどうみてもアメリカに見える(苦笑)。なんでアメリカでやらなかったのだろう? 舞台だけはアメリカに移行したほうがよかったのに・・、でも確かに町の雰囲気はアメリカではない。もっともセットで作ってるのでなんともいえないところだけど・・。そのへんは多少違和感を感じたかな。

<あらすじ>
ハンガリーの首都ブタペストの街角ににあるブティック。クラリック(ジェームス・スチュワート)は一番の古株。であった。そんなクラリックは、新聞広告で見た見知らぬ女と文通していた。主人のマチェックも自分に媚をうらないクラリックの態度は気に入ってるが、気に入ったオルゴール付きの葉巻箱の仕入れに反対されるといい気持ちはしない。そこへクララ(マーガレット・サラヴァン)という女が販売係りに雇って貰いたいとやっていってきた。
現状いる6人でも多すぎるくらいなので、クラリックは独断で断った。マチェックを見つけて頼むクララだがやはり応えは「ノー」。そんな時一人の女客を捕らえ、クラリックが売り物にならないと仕入れを断るはずになっていた煙草入れを言葉巧みに売り付けてしまった。クララは認められて店員となるが、そんないきさつもありクラリックとの関係はよろしくない。
そのころから店の主人マチェックも無口になり、特にクラリックによそよそしくなってきていた。折しも、クリスマスの飾りつけの為に残業を頼むと、クラリックは「今日は大事な用事があるから」とこれを拒否、険悪なムードはさらに悪化、ついにマチェックはクラリックを首にしてしまう。
その日の晩にクラリックは文通している見知らぬ女性と初デートのはずだったのだ。おくれて待ち合わせのカフェに行くと、そこにはいつもケンカばかりしているクララがいるではないか! テーブルの上には目印のバラがおいてある。友人と待ち合わせの振りをして店にはいるクラリック。ここは待ってる人が来る席なので座らならないで!と同席を断られたクラリックは、背中合わせに彼女の後ろの席に座って、待ち人が来るまでしばし話し相手になる。

マチェックがクラリックを嫌い始めたのには理由があった。それはマチェックの妻が店の誰かと浮気をしているらいしということが分ったからで、マチェックはそれが一番親しいクラリックだと思い込んでいたのだ。しかしその相手はいつもマチェックに対してご機嫌をとる別の店員だと判明する。
マチェックは「疑ってすまなかった」とわび、改めてクラリックを支配人に任命し、クラリックはヴァダスをクビにした。最後はクララが、文通していた男はクラリックだと判り、二人が結婚するのは近々らしいところで映画はおわる。


基本ラインは実にほほえましいお話なのだが、演出的にはちょっと不親切なところもあるかな。もうちょっと説明してあげないと状況が飲み込めない部分がちらほらあるかな。
ふたりで倉庫の棚を整理するシーンがあるのだが、あとになって、「実はあのときときめいていたの」とサラヴァンが言うのだが、そんな感じはみじんもなかたり・・とか。あのあたりで「わうああ、私この人といるとけっこう楽しいかも」とかいう感情を見せてほしかったかな。たとえば・・せっかく楽しい時間なのに、誰かが彼を呼びにきて盛り上がった会話が途中でおわってしまいちょっと淋しいサラヴァン・・とか、そんなアップをちょとちょとっと足すだけで雰囲気は出るのにって思ったけど・・・。
そのあたりは今の映画のほうがしっかりしてるかなって思った。

by ssm2438 | 2009-12-05 02:04
2009年 12月 04日

レッド・オクトーバーを追え!(1990) ☆☆☆☆

f0009381_1529466.jpg監督:ジョン・マクティアナン
原作:トム・クランシー
脚本:ラリー・ファーガソン、ドナルド・スチュワート
撮影:ヤン・デ・ボン
音楽:ベイジル・ポールドゥリス

出演:
アレック・ボールドウィン (ジャック・ライアン)
ショーン・コネリー (マルコ・ラミウス艦長)
サム・ニール (ボロデイン副艦長)
スコット・グレン (バート艦長)
ジェームズ・アール・ジョーンズ (ジェームズ・グリーア提督)
ピーター・ファース (イヴァン・プーチン行政官)
ティム・カリー (ペトロフ軍医)

        *        *        *

この映画の当時はジャック・ライアンのシリーズだということではなかったのだと思うが、あとになってみるとやっぱりこの『レッド・オクトーバーを追え!』が、スケール的にも、相手の考えていることを予測しあう真理合戦という点でも、一番面白いと思う。お話も若干子供じみてるし・・分り易い(苦笑)。
ジャック・ライアンもこのころのアレック・ボールドウィンがあってるような気がする。さすがに今はちょっとデブになってだらしがないが、このころは良かった。個人的にはハリスン・フォードもいいのだけど、ちょっとお歳が・・。45歳くらいの時だったら文句はないのだけど。
しかし、潜水艦ないのライティングはチープだなあ・・もうちょっと渋みがでないものか・・。撮影監督がヤン・デ・ボンだから仕方がないかと思うが・・、この人の色使い(赤と青のランティング)はわかり易すぎてチープにみえてしまう。

<あらすじ>
ソビエト、ムルマンスク沿岸。艦長ラミウス (ショーン・コネリー)と副長ボロディン(サム・ニール)が乗るソ連最新鋭原子力潜水艦レッド・オクトーバーは、秘かな決意を胸に潜水していく。
その頃、CIAのアナリスト、ジャック・ライアン(アレック・ボールドウィン)は、レッドオクトーバーの艦長ラミウスが亡命するつもりなのかもしれない、と直感する。ライアンは直ちに北大西洋沖の米空母エンタープライズに向かった。レッド・オクトーバーの動きを察知した潜水艦ダラスの艦長バート・マンキューソ(スコット・グレン)は、ソナー員のロナルド・ジョーンズ(コートニー・B・ヴァンス)からその行動を聞き、レッド・オクトーバーの動きをトレースしていた。嵐の天候の中、命からがらダラスに着いたライアンは、マンキューソ艦長を説得し、ラミウスとの接触を試み、彼の真意が亡命にあることを確認する。
レッド・オクトーバーが沈没したと見せかけるラミウスの機転で、ライアンたちは無事レツド・オクトーバーに乗り移るが、その時艦内の破壊工作員の襲撃をうけ、レッドオクトーバーのミサイルを爆破させようと試みる。ラミウスとライアンは工作員を倒し、晴れてアメリカ亡命を遂げるのだった。

by ssm2438 | 2009-12-04 15:02
2009年 12月 04日

ロード・トゥ・パーディション(2002) ☆☆☆

f0009381_14494852.jpg監督:サム・メンデス
脚本:デヴィッド・セルフ
撮影:コンラッド・L・ホール
音楽:トーマス・ニューマン

出演:
トム・ハンクス (マイケル・サリヴァン)
タイラー・ホークリン (マイケル・サリヴァン・Jr.)
ポール・ニューマン (ジョン・ルーニー)
ダニエル・クレイグ (コナー・ルーニー)
ジュード・ロウ (マグワイア)
ジェニファー・ジェイソン・リー (アニー・サリヴァン)

        *        *        *

『アメリカン・ビューティ』で繊細なタッチをみせてくれたサム・メンデスが今度は硬派なギャングスターモノ。悪くはないと思うけど・・、もうちょっと硬派な『子連れ狼』にできたんじゃないのかなあ・・。やっぱりトム・ハンクスだとどうしてもキャラクターが甘くなる。この映画の主人公といい、『ダ・ヴィンチ・コード』『天使と悪魔』の主人公といい・・あまりに甘さが似合わないキャラクターをむりやりやっている感があるなあ。本人もなんとか甘さを消そうとしてるのかもしれないが、この人の良さは感情移入しやすいところなのであんまりクールなかっこいいキャラクター系にふれないほうがいいと思うなあ。。『激流』メリル・ストリープみたいに、合わないものは合わないよ。

ただ、2002年のキネマ旬報ベストテンでもこれが洋画部門の1位。いい作品だと思うけど、1位になるほどではないかな・・ってじゃあ、他に何があった?って言われると、確かにこの年はないんだけど。『ノーマンズランド』とか『鬼が来た!』とか・・あと『まぼろし』『 マルホランド・ドライブ』・・。どれも↓が今年のベスト1って感じはしない年だった。

ただ、カメラは良かった。撮影監督のコンラッド・ホールは先の『アメリカン・ビューティ』につづきこの『ロード・トゥ・パーディション』でもアカデミー撮影賞を獲得した。しかしこれが最後の受賞となった。アカデミー賞の前に死去し、息子さんが授賞式でオスカーをうけとたったという。
正直なところ、『アメリカン・ビューティ』に関してはそれほどどうのこうのとは思わなかったのであれで取れてしまった時は・・・ん???って思ったが、この映画での受賞は実に妥当な獲得だと思った。

<あらすじ>
イリノイ州ロックアイランド、アイルランド系マフィアの殺し屋マイケル・サリヴァン(トム・ハンクス)は、マフィアのボス、ジョン・ルーニー(ポール・ニューマン)にほんものの家族のように愛されていた。一方ルーニーの実の息子コナー・ルーニー(ダニエル・クレイグ)はと取引現場の仕切りをミスり、幹部会で父から激しく責める立てられる。常軌を逸したコナーはサリヴァン一家への嫉妬と憎悪の念を抱くようになり、一家を暗殺しようとする。妻と次男を殺害、しかし長男はマイケルによって助けられた。家族を殺されたマイケルはコナーへの復讐を決意する。
実の息子以上に愛していたマイケルだが、わが子の命を狙っているとなるとほおってもいけない、断腸の思い出マイケルに刺客をはなつ。刺客からの襲撃から逃れたサリヴァン父子は、かつて自分たちを愛してくれたジョンとコナーを射殺。心身ともに憔悴しきったマイケルは息子と共に海辺の小さな家で一時の休息を過ごす。しかし突然刺客の放った銃弾にたおれる・・・。

最後まで息子に引き金を引かせなかったマイケル・パパ。
この映画は、立場は違えど、いくつかのパターンで父と息子の愛を、殺し合いのなかで浮き彫りにした映画でした。なかなか見ごたえあったけど、でも、これで「小池一夫の漫画『子連れ狼』をモチーフとした」って言われるとちょっと甘いな・・ておもてしまう。

by ssm2438 | 2009-12-04 14:01
2009年 12月 04日

窓・ベッドルームの女(1986) ☆☆

f0009381_682159.jpg監督:カーティス・ハンソン
脚本:カーティス・ハンソン
撮影:ギルバート・テイラー
音楽:マイケル・シェリーヴ、パトリック・グリーソン

出演:スティーヴ・グッテンバーグ、エリザベス・マクガヴァン

        *        *        *

ビデオ発売のときは『ベッドルームの女』になっているそうな。たしか私が劇場でみたときは「窓」のほうが先にきていたはずなんだけど・・。原題は「ベッドルーム・ウィンドウ」。

このえいが、映画事態にはなにも興味はなくって、『普通の人々』にでてたエリザベス・マクガヴァンをみたくて見に行った映画。映画自体は可もなく不可もなくっといった具合の普通のサスペンスでした。当時『ポリスアカデミー』『コクーン』などでお人よし系主人公をやらせたらけっこういい味をだしていたいスティーブン・グッテンバーグが主演、おかげでお話もかなりまろやか。

監督は後に『LAコンフィデンシャル』をとるカーティス・ハンソン。おはなしは手堅く、ヒッチコックを多少いしきしたのかな・・? 

<あらすじ>
建築家のテリー(スティーヴ・グッテンバーグ)は、自分の部屋に社長夫人のシルビア(イザベル・ユペール)を呼び寄せ情事を重ねていたある日、テリーの部屋の下の道路でレイプ未遂事件があった。シャワーを浴びていたテリーはその現場を見てなかったが、シルビアが目撃していた。しかし、立場上目撃者として名乗り出ることが出来ないシルビアに代わってテリーが目撃者として名乗り出る。しかしいざ面通しとなると犯人をみていないテリーにはわからない。ましては隣にいる女性がその被害者デニス(エリザベス・マクガヴァン)であることすら分らない。結局そこで確実は答えをだせなかったことで、犯人は釈放され、ふたたび犯罪がおきていく。

人は良いが情けない男のグッテンバーグが、逆に犯人と疑われながら、なんとかエリザベス・マクガヴァンの信用をつなぎとめつつ、事件を解決していく過程はそこそこスリリングだが、「あんたの自業自得でしょ」っていう非難の気持ちが消えないので、どうにも感情移入しづらい映画だった。

by ssm2438 | 2009-12-04 05:47
2009年 12月 04日

バグダッド・カフェ(1987) ☆

f0009381_512837.jpg監督:パーシー・アドロン
脚本:パーシー・アドロン、エレオノール・アドロン
撮影:ベルント・ハインル
音楽:ボブ・テルソン
主題歌:ジェヴェッタ・スティール、『コーリング・ユー』

出演:
マリアンネ・ゼーゲブレヒト (ジャスミン)
ジャック・パランス (ルーディ)
CCH・パウンダー (ブレンダ)
クリスティーネ・カウフマン (デビー)

        *        *        *

理性で測ると「良い映画」になるのだろうが・・・

アメリカ合衆国ラスヴェガス近郊のモハーヴェ砂漠にぽつんと立つモーテル。そこにあるカフェは《バクダッド・カフェ》と呼ばれていた。女主人はいつも不機嫌、役に立たない夫、自分勝手な子供達、モーテルに居着いた住人たちにも生産性が感じられることはまるでない。ただひたすら人生の残り時間を、彼ら似腹を立てて生きているような生活だった。そこに一人のデブのドイツ人女性がやってくる。物語は、この一人の女性によって、このささくれだった空間が和やかな空間に変わっていくまでを描いている。

この映画、公開当時からかなり話題になり、実際映画評論家たちの評価も高かったのである。しかし、「外したな」と思う人は多いはずだ。そういう私も第一印象は最悪だった。まず、ドイツ人の監督である。戦後のドイツ人の監督の映画で面白い映画があるはずが無い。みてみると、最初は詰まんなかったのだけど、徐々にそうでもないかも・・って思えるようになってくる。「まあ、悪くなかったな」・・と納得するまでにはかなりの忍耐力が必要だ。特に男性には・・・。

なぜ男性にはつらいか、その要素を分析してみた。まず一番に、画面が美しくない。かなり嫌味なパラフィン使いまくるので、嫌悪感を感じる。次に問題は「抱きたい」と夢見る女性がいない! これだけで見る気が半減してしまう。さらなる問題点は生産性がない。欲しいものをめざして努力し困難に打ち勝ち、目的を達成する、その高揚感がない。これがないと判ると、見る気はほとんどうせてしまうものだ。
物語の始まりはこんな具合だ。

ドイツからやって来た夫婦がディズニーランドからラスヴェガスの道中で夫婦喧嘩になってしまい、妻のジャスミン(マリアンネ・ゼーゲブレヒト)は、夫の車を降りて重いトランクを提げてあてどもなく歩き出しす。そうしてたどり着くのが、さびれたモーテル/カフェ/ガソリンスタンドの《バグダッド・カフェ》。

このデブのドイツ人主婦がまさかこの物語のヒロインだとは誰も思えない。
そのモーテルを仕切っているのが女主人のブレンダ(CCH・パウンダー)。しかし彼女は毎日何かにイライラしている。そのイライラは限界にたっし、仕事をしない夫を追い出した矢先に、ジャスミンがモーテルにやってくる。
「彼女は自動車にも乗らずあるいてここにやってきた。地図ももってない。スーツケース以外なにも持たず、それも男物の衣類が入っているだけ。おかしいじゃないか。一生ここに住み込もうって魂胆みえみえだ。そんなの御免だね」といって最初はつっぱねるブレンダ。

このブレンダもどうみても男に愛される女ではない。
つまり・・・・この映画は、男に愛されることを終了した女の話である。

なんとかモーテルに泊まるようになったジャスミンだが、ブレンダの留守中にジャスミンがモーテルの大掃除をしてしまう。勝手なことをされて激怒するブレンダだが、悪い気はしない。しかしその頃から、モーテルの住人がいつしか失くしていた包容力を求め、ジャスミンの部屋をしばしば訪ねるようになる。また彼女の柔和な人柄と笑顔に魅かれたルーディは、絵のモデルに、とジャスミンを口説き始める。そしてブレンダは、ある朝カフェの客相手に手品を披露し始めたジャスミン目当てに客が《バグダッド・カフェ》にやって来るのに、次第に表情をやわらげてゆくのだった。しかし、すっかりカフェの一員となったジャスミンに、保安官は、ビザの期限切れと、労働許可証の不所持を理由に、西ドイツへの帰国を命じるのだった・・・。

一応物語りはヒーリング物のカテゴリーなのだが・・・、どうもこれで癒されない。
多分男って、自分が進化できる可能性とそれが出来る場所を与えられないと癒されないのではないだろうか・・・。そういう生きものなのだろう。

by ssm2438 | 2009-12-04 05:05
2009年 12月 04日

狼よさらば(1974) ☆☆

f0009381_2424636.jpg監督:マイケル・ウィナー
脚本:ウェンデル・メイズ
撮影:アーサー・J・オーニッツ
音楽:ハービー・ハンコック

出演:チャールズ・ブロンソン (ポール・カージー)

        *        *        *

まさかこの映画がシリーズ化されるなんて・・。

私がはじめてポール・カージーを観たのは3作目の『スーパーマグナム』。なんちゅう大雑把なストーリーだって思ったよ。「出てくるチンピラは撃ち殺しても犯罪にならない」という暗黙の了解があるようないような世界。その世界の中でけっこうのたのたとうごきながらぼこぼこチンピラを撃っていくポール・カージーの身分は一体何??? これ普通の一般人? それともCIAかFBIから派遣されてきた特別な地位の人?? そんな疑問をもちながら観ていたのですが、どうやら普通の一般人らしい。つまり殺人を起こしたら逮捕されて刑務所におくられる人。なのにポール・カージーにはそんなことを心配してる様子はまるでない。異次元のキャラクターでしたね。というか・・ここまでいい加減なシナリオもめずらしいというか・・(苦笑)。
その1作目はいったいどんなんだ?って思ってみたのがこれ。いやあああ、びっくり、もともとポール・カージーって普通のサラリーマンだったんじゃないですか!?
そんな彼が妻をチンピラに殺され、娘を廃人にされ、哀しみの中で「結局警察はなにもしてくれない。自分でやらないとだめだ」って思い始め、よなよなチンピラハンターをはじめる。アクション映画としては、今見るとかなり地味。ただアメリカ人の基本概念として、「自分の命は自分で守る!」の精神を強く主張する映画であり、西部開拓時代からもつアメリカに根付いた銃社会にもとづく映画。良くも悪くもアメリカでしか作れなかった映画だろうなあ。

この映画をみて思い出すのが『サイレント・ボイス』(原題アメイジング・グレイスとチャック)の IMDb (インターネット・ムービー・データベース)のレビュー。この映画、核兵器廃絶をファンタジック語った映画なのだけど、猛烈に賛成と反対がある。これらをみると、アメリカにはアメリカの歴史があり、それをふまえて構築されてきた概念であり、部外者である日本人が、日本人の価値観で判断してはいけないもののような気がした。

by ssm2438 | 2009-12-04 01:59
2009年 12月 04日

スーパー・マグナム(1985) ☆

f0009381_3211079.jpg監督:マイケル・ウィナー
脚本:マイケル・エドモンズ
撮影:ジョン・スタニアー
音楽:ジミー・ペイジ

出演
チャールズ・ブロンソン (ポール・カージー)
デボラ・ラフィン (キャスリン・デイヴィス)
マーティン・バルサム (ベネット)
エド・ローター (リチャード・S・シュリンカー)

        *        *        *

ポール・カージー(チャールズ・ブロンソン)を主役に据えたこの「デス・ウォッシュ・シリーズ」(『狼よさらば』の原題が『デス・ウォッシ』)、2作目以降はおおざっぱな作りすぎてあまりみるべきものはない。ブロンクスを荒らしまわるチンピラどもを、ウィルディ45マグナムでこちらも傍若無人にぼこぼこ撃ち殺していくポール・カージーのおきらくアクション映画。「おきらく」というのは、ポール・カージーがまったく撃たれるという心配をしていないので、まさにそんな感じ。自分は打たれないけど、相手はなんぼでも撃てるという実に「おきらく」シチュエーションでのドンパチが延々展開される。たとえチンピラでも殺すことには躊躇いを感じていた前2作とは違い、街のダニやチンピラなんてただ皆殺しにするべし、という極端な無頓着ぶり。あまりにシンプルすぎてドラマにもなっていないしょぼいシナリオ。
シリーズ第1作の『狼よさらば』では、妻をチンピラに殺された繊細なサラリーマンだったポール・カージーも、なんだかえらくなったもんだ・・。

デボラ・ラフィン・・大好きでした。まともな映画はほとんどなかったのだけど、70年代の憧れの女優さんのひとりでしたね。80年代になってもまだスクリーンに登場してたんだ・・とちょっとびっくり。

by ssm2438 | 2009-12-04 01:44
2009年 12月 04日

荒野の1ドル銀貨(1965) ☆

f0009381_0434556.jpg監督:カルヴィン・ジャクソン・パジェット
脚本:カルヴィン・ジャクソン・パジェット
撮影:トニー・ドライ
音楽:ジャンニ・フェリオ

出演:モンゴメリー・ウッド=ジュリアーノ・ジェンマ

        *        *        *

マカロニ・ウエスタンといえば、フランコ・ネロとかクリント・イーストウッドあたりがおもいあたるだろうが、もうひとり、このジュリアーノ・ジェンマも当時はなかなかうけた俳優さんのひとりである。上の二人がクールなガンマンを演じていたのにたいしてこのジュリアーノ・ジェンマはもっと陽気なテイストでみていて楽しい雰囲気があった。
ま、この映画では、まだモンゴメリー・ウッドの芸名をつかっていた時代なので、のちのちのジェンマのイメージとは若干ことなるものではあるのだが・・。

ただ、西部劇なのでほとんど見るべきところは無く、けっこう退屈、きわめて普通の出来栄え。それでも他のマカロニ・ウエスタンよりはストーリー構成はまともだったように感じた。あと最後の夜の決闘シーンでのライティングは良かった。あそこだけはのちのちどこかで使えそうって思ったよ。

<あらすじ>
南北戦争が終り、南軍捕虜だったはゲイリー・オハラ(モンゴメリー・ウッド)は故郷のバージニアに帰り、弟フィルから預かった預金を妻ジュディ(E・スチュァート)にあずけ、一足先に西部に向かった弟フィルをおって西部に旅立っていく。胸のポケットにはその中の一ドル銀貨がお守りとしてはいっていた。
その弟は殺され、ゲイリーも胸を撃たれるがその銀貨のおかげで命拾いし、悪漢たちに復讐するというお話。

by ssm2438 | 2009-12-04 00:16
2009年 12月 03日

ハンニバル・ライジング(2007) ☆☆☆

f0009381_21225475.jpg監督:ピーター・ウェーバー
原作:トマス・ハリス『ハンニバル・ライジング』
脚本:トマス・ハリス
撮影:ベン・デイヴィス
音楽:アイラン・エシュケリ、梅林茂

出演
ギャスパー・ウリエル (ハンニバル・レクター)
コン・リー (レディ・ムラサキ)
ドミニク・ウェスト (ポピール警視)
アーロン・トーマス (子供時代のハンニバル)
ヘレナ・リア・タコヴシュカ (ミーシャ)

        *        *        *

日本人にとって、日本文化を変なふうに演出されるとなにかしら極度に感情移入を妨げるものになるのだが、これで外国人は満足するのだろう。そのへんは多めにみないといけないのかもしれないが、剣道/日本刀を持つ時、刀をツカを見せないでほしかった。日本刀の持ち方くらいリサーチしとけよって思った。

・・・しかし、それも彼らにとってはささいなことなのだろう。日本文化の描き方以外はとてもいい。とはいっても、かなり頑張ってニュアンスはフォローしてると思う。30年前のハリウッド映画よりはかなりまともになった。結果として、レクターを登場させた映画は何本かあるが、個人的にはこれが一番良かった。監督は『真珠の耳飾をした少女』ピーター・ウェーバー。この人のかもし出す昔の空気感はいい。ひそかに私のなかでは注目監督になりつつある。

脚本はトマス・ハリス本人が書いているので、よっぽど想い入れがあったのだろう。しかし・・こちらはちょっとどうだったのかな? 人肉を喰うというカルバニズムがどうも取ってつけた感があるかな。最初のミーシャを喰ったのは個人的にはありな展開なのでどうのこうのというべき問題ではないと思った。それ以前にイーサン・ホークが主演した『生きてこそ』って映画をみてて、飛行機の墜落事故で雪山で人肉を食べて生きつないだ話もあるし、非常事態ではありえる話。そのあとの復讐の手段としてほほ肉を喰うという描写があるが・・、こちらはどうもぴんと来なかった。これは作者の物語先行のイベントのように思えた。そういう肩書きなのだから仕方ないのかもしれないが・・。

しかし、コン・リー、久しぶりにみました。最後にみたのは『紅いコーリャン』『菊豆』時代なのでっていうか、ほとんど初期なので、20年近くみてませんでしたが美しくみえました。当時は台湾のホー・シャオシェン、中国のチャン・イーモウがメジャーになりかけていた時代で、チャン・イーモウのヒロインはコン・リー、ホー・シャオシェンのヒロインはシン・シューフェンという印象だったが、個人的にはシン・シューフェンのファンだったので、ちょっとコン・リーには想い入れがなかった。が、今みるとけっこうよいですな。

<あらすじ>
1944年のリトアニア。名門貴族のレクター家に生まれたハンニバル(アーロン・トーマス)と妹のミーシャ(ヘレナ・リア・タコヴシュカ)は家族とともに山中のロッジにのがれるが、偶然ソビエト軍の戦車が森のなかから出現、ドイツ軍の戦闘機と戦闘になる。ソビエト兵も両親も失い、妹ミーシャと2人きりになってしまうハンニバル。そこにドイツ軍の逃亡兵たちが乗り込んできて、ハンニバルとミーシャは鎖につながれてしまう。彼らもは長居するつもりではなかったが、道路を封鎖され、何処へもいけなくなった彼らの食料はそこをつく。飢えていた逃亡兵たちは、肺炎にかかっていた妹ミーシャを殺し、鍋にして食料にしてしまった。

f0009381_2131452.jpgそれから8年。ハンニバル(ギャスパー・ウリエル)はフランスにいる叔父をめざして命がけで国境を越えた。なんとか叔父の屋敷にたどり着いたが彼はすでに他界、そんなハンニバルを叔父の妻であったレディ・ムラサキ(コン・リー)は向かいいれた。
レディ・ムラサキのもとで剣術を教わり、日本の武士道をみにつけつつあったハンニバルだが、市場でムラサキを侮辱した柄の悪い肉屋と喧嘩沙汰となり、数日後、その肉屋を郊外の湖のほとりで惨殺してしまう。ここで彼は最初の殺人を犯してしまう。その後パリの奨学医学生としてムラサキとともにパリに移住したハンニバルは、妹を食ったあの逃亡兵たちを探し出し、ひとりづつ殺しては、そのほほ肉を食べるのだった。

by ssm2438 | 2009-12-03 21:28