西澤 晋 の 映画日記

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2012年 01月 01日

フィールド・オブ・ドリームス(1989) ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

f0009381_3394633.jpg原題:FIELD OF DREAMS

監督:フィル・アルデン・ロビンソン
原作:W・P・キンセラ
脚本:フィル・アルデン・ロビンソン
撮影:ジョン・リンドレー
音楽:ジェームズ・ホーナー

出演:
ケヴィン・コスナー (レイ・キンセラ)
エイミー・マディガン (アニー・キンセラ)
ギャビー・ホフマン (カリン・キンセラ)
レイ・リオッタ (シューレス・ジョー・ジャクソン)
ジェームズ・アール・ジョーンズ (テレンス・マン)
バート・ランカスター (アーチボルド・グレアム)
ドワイヤー・ブラウン (ジョン・キンセラ)

       *        *        *

If you build it, he will come.....

1989年~1990年は映画ファンにとっては夢のような時代だった。
89年の年明け『ベルリン・天使の詩』『ニューシネマ・パラダイス』『恋恋風塵』『バベットの晩餐会』、年をまたいで『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』『フィールド・オブ・ドリームス』『霧の中の風景』『恋のゆくえ/ファビュラス・ベイカーボーイズ』・・・・こんなにスゴイ当たり年はもう二度と訪れないだろうと思う。

『ニューシネマ・パラダイス』で散々泣かされて、もうこれ以上泣ける映画はないだろうっておもってたら翌年のこの『フィールド・オブ・ドリームス』でまたまた爆涙だった。眼がねは涙でくもり、あんまり我慢してたので見終わった時に鼻水がつるーーーーーっとスジを引いた。あんまり涙を我慢してたら鼻から出てくるというのは子の事なんだと知った。

でも、なぜこの映画がここまで泣けるのか・・・不思議な魔力をもっているのか・・・・、謎の深い映画でもある。

If you build it, he will come.....

アイオワに移り住んで農業を営んでいるレイ・キンセラ(ケヴィン・コスナー)が、ある日トウモロコシ畑のなかで、その声を聞く。“If you build it, he will come.....” やがてトウモロコシ畑の一角に野球場のイメージが浮かび上がり、続いてシューレス・ジョーのイメージが一瞬垣間見えた・・・かのように思えた。レイは、妻のアニー(エイミー・マディガン)にそのことをつげる。この時の会話からすでにウルウルきていた。

「私は、彼が老いていくのが許せなかった。
 今の私と同じ年のころには、すでに彼は擦り切れた老人のようにみえた。
 きっと彼は、何一つスポンティーニアス(衝動的)なことはしなかった。
 私も彼と同じようになっていくのかと思ったら怖い。・・・私はきっと狂るってるな」

この奥さんも良く出来た奥さんで、
「そうよ、あなたは狂ってるわ。でも、もし、あなたが、どうしても、ほんとにそうしたいって思うならするべきよ」と言ってくれる。

翌日からレイは育ったトウモロコシを刈り取り、そこに野球場を作っていく。そしてなにもないまま、時は過ぎ、野球場は雪に埋もれ、クリスマスをやり過ごした。そんなある日、妻のアニーは家計は火の車だといつ現実をつきつけられていることをレイに話す。衝動にかまけてまずいことをやってしまったな・・と思ってるレイに、娘のアニーが声をかける。「ああ、うるさい、後で聞くから」と邪険にするレイだが、アニーはしばらくしてまたレイに声をかける、「誰か来てる・・・」。
フィールドには父が憧れた野球選手、シューレス・ジョー・ジャクソンが来ていたのだ。

上手いんだ。
期待させておいて、もうダメかなっと思わせ、ぎりぎりのところですくっていく。

このあとの展開も日本人には在り得ない展開かもしれない。なんと既にこの時点で秘密を家族と共有するのである。おそらく日本のドラマなら、ここは主人公だけの秘密にしておくところだろうが、この物語では家族とシェアする。アメリカ的である。
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シューレス・ジョーは、メジャーリーグに在籍したプレーヤーで生涯打率は .356。1911年には147試合出場、なんと打率.408を残している。しかし、シカゴ・ホワイトソックス在籍中のワールドシリーズで八百長試合をしたとして、他の7人のプレーヤーとともに球界追放になってしまった。
詳しい話はこの事件をテーマにした『エイトメン・アウト』参照のこと・・。

そのシューレス・ジョーがレイの野球場に現れる。
どうやらこの場所は、<過去に刺さったトゲ>を浄化する場所らしい。
この映画のツボは、この<過去に刺さったトゲの浄化>にある。人は誰でも1つや2つのトゲが心のどこかにささったままになっているものだ。この物語では、その悔しさを癒してくれるがゆえに、怒涛の涙をさそうのである。

そしてさらなるお告げがレイの耳に届く。
<過去に刺さったトゲ>を浄化しなければならない人は他にもいるらしい。
そしてそれは、自分自身であることに気づいていく。。。
レイは、子供の頃、父のヒーローだった、シューレス・ジョーをののしって家を出たのだった。

I could never respect a man whose hero was a criminal.

シューレス・ジョーが八百長をしたかしなかったかなどもはや意味はない。レイがもっている自責の念は、あの時、父を傷付けることを意図してその言葉を吐いた・・ということだろう。
それはまさに、『普通の人々』のなかで、コンラッドを傷付けるために、悪意をもってフレンチトーストをディスポーザーで処分したメアリー・タイラー・ムーアのようなものだ。

その後コンラッドが若くして死に、あのときに自責の念から自分を解放されないまま、メアリー・タイラー・ムーアが歳をとったとしたらそれは不幸としかいいようがない。そしてもし、その自責の念が解消されたなら・・・sらな誰だって泣くよ・・・。

この映画においては、父とするキャッチボールなんかはどうでもいいのである。アメリカ国民の文化としての野球の賛美なんかどうでもいいのである。この映画のツボは、過去に刺さったとげは、その気になれば自分で浄化できるんだ。・・・確かに、このフィールドにいる人たちは、ここでしか浄化できないかもしれない。でも、君たちは、やろうとおもえばすぐにでも出来るんだ!と語ってくれている。

もっとも感動敵なのはバート・ランカスター扮するアーチボルド・グレアムのエピソードだろう。
かれはジャイアンツで一度だけメジャーリーグのフィールドにたった。勝ってる試合の8回裏、守備固めとして外野の守備についた。たったそれだけが彼のメジャー人生だった。その後再びマイナーリーグに戻され、そして引退した。その後は医者になりすでに余命を全うしていた。そんな彼の望みは「一度でいいからメジャーのバッターボックスに立ってみたかった」というもの。やがてグレアムは、少年の姿でそのフィールドにたち、メジャーのピッチャーを相手に犠牲フライを打ち、貴重な打点を記録する。

そのとき、レイの娘、カリンが観客席から落ちて気をうしなう。そのときアーチー少年は、夢のフィールドを後にしてコチラの世界に踏み入れる。フィールドを出たとたんに医者だった自分にもどり、カリンの危機を救う。サンドイットを喉につまらせていたのだ。。。彼がこの夢のフィールドから出るところから終わりまでもう泣き通しである。

If you build it, he will come.....

彼とは父のことだった。
キャッチャーマスクをとったその男は、まだレイを生む前の若々しい父だった。
自分はあなたの息子だ」とは言わずに自己紹介するレイ。別れ際に「キャッチボールしない、ダッド」というと、その言葉の意味がよくわからないまま、“I 'd like that.”と、戸惑いながらこたえる若い頃の父の言葉をきいて再びどあああああああああああああと涙があふれてくる。
卑怯この上ないね。
きっとあれが、本人の顔をしてたらだめなんだろうな。面とむかって伝えるとどうしても芝居がかかってくる。どこかうそ臭くなる、照れて何もいえない・・・。でも、自分の存在を知らない父になら言える・・・・。
だああああああああああああああ、
ああああああああああああああああああああああああああああああああ、ダメだああ、
これ書いてても泣けるぞ、くそおおおおおおおおおおおおおお。。。

きっと、この映画をみたらベルイマンも泣いただろうなあ。

自分の心のなかに刺さっているいくつかのトゲの、きっといつかは、
こんな風に浄化されるのだろうなあ思うと、やはり泣けてくる。
でも、それは今、浄化されなくていいのけど。
今はもうすこしだけ復讐心をもっていたいと思う。

by ssm2438 | 2012-01-01 03:25
2012年 01月 01日

恋人たちは濡れた (1973) ☆

f0009381_16141889.jpg監督:神代辰巳
脚本:神代辰巳/鴨田好史
撮影:姫田真佐久
編集:井上治
音楽:大江徹

出演:
大江徹 (克)
中川梨絵 (洋子)
絵沢萠子 (よしえ)
薊千露 (幸子)

       *        *        *

若者たちはしらけた・・・。

全共闘世代の成れの果て、生産性の無い青春を描いた神代辰巳(くましろたつみ)の監督作品。日活ロマンポルノの『一条さゆり 濡れた欲情』あたりですこしはメジャーになり、その次の撮ったのはこの作品。
学生運動次代に名残があるひとならすこしは感化されるのかもしれないが、私はその世代ではないのでまったく感情移入するところがないというありさま。無理して「いい映画」だという気にもなれない。

<あらすじ>
5年振りに故郷の漁港町に帰ってきた克(大江徹)は昭和館という映画館のフィルム運びとしてはたきはじめた。昭和館の女主人よしえ(絵沢萠子)は、克の過去に興味を持ちはじめる。
ある日克は、同級生・三浦と岡田に会ったが「自分は克ではない」と言い張り二人に叩きのめされてしまった。そんな克の人生を捨ててしまったような態度に興味を覚えた同級生の光夫と彼のガール・フレンドの洋子(中川梨絵)は、克の母親を連れて来て、対面させた。克は「母親ではない!」と突き放す。
やがて自分の過去を洋子に告白する克。それは東京で起こしてきた殺人のことだった。20万円で人をころしたという。信じかねる洋子。自転車にのってちゃらちゃらしてる克はある男に刺され、そのまま海に沈んでいく。

劇中では説明されていないが、おそらく克の人生は全共闘運動に参加していたのだろう。しかし、時代はその価値観を否定した。浅間山荘事件などでは、彼らは時代のヒーローではなくただの糞赤軍派でしかなかった。結果として自分が信じていたものがなくなった・・・、そんな時代を通り抜けてきた人なのだろう。
でも、まったく面白くも糞もない・・・。

by ssm2438 | 2012-01-01 01:14
2012年 01月 01日

ターミネーター4(2009) ☆☆

f0009381_21211312.jpg原題:TERMINATOR SALVATION

監督:マックG
脚本:ジョン・ブランカトー/マイケル・フェリス
撮影:シェーン・ハールバット
音楽:ダニー・エルフマン

出演:
クリスチャン・ベイル (ジョン・コナー)
サム・ワーシントン (マーカス・ライト)
ムーン・ブラッドグッド (ブレア・ウィリアムズ)
ヘレナ・ボナム=カーター (セレナ・コーガン)

       *        *        *

おおおおおおおおおお、シュワちゃん若い!
・・・そんなことも出来るんだ。


その昔『バットマン』のどれかで、ビルから飛び降りてくるバットマンをCGで作って、カットが変わり地面に着地、そこからすたすたとフレーム外にアウトするというカットがあった。しかし、このカットはボツになったとか。なぜかというと、バットマンが歩いてアウトするカットは俳優が演じても出来るカットで、そこをCGで絵にしてしまうと米国の俳優協会(だったかな?)が文句をいってくるとか。
俳優の権威をまもってるわけです。
今回のシュワちゃんの顔は・・・、もうあの顔は『ターミネーター』という作品に帰属するもので、アーノルド・シュワルツェネッガーに帰属するものではないということでしょうか・・・。ま、確かにもう年齢がいってしまってるので仕方がないとは言えますが、こんなことしてたら、ニコラス・ケイジの頭だって、ケビン・コスナーの頭だって、いつまでもスクリーンの中では頭フサフサですね(笑)。

さて、時代を未来に映して『サラマンダー』クリスチャン・ベールが主人公のジョン・コナーに扮したこの作品。しかし、最近のクリスチャン・ベールは良い感じでヒーローになってきてる。『ダークナイト』といい、これといい、今一番ヒーローキャラとして使いたいのはこの人じゃないだろうか。
映画もトータルしてみると、そんなに悪くはない。少なくとも『ターミネーター3』よりはいい。しかし・・・なんだかもう『ターミネーター』でなくなってきた感じはいなめない。『T3』からの流れで物語をつくるのは若干ん無理になってきてると感じる。このシリーズは『ターミネーター2』で終わらせとくべきだったと思った。
もっとも、今回のイベントを最後に、あとは未来の展開だけなのでなんともでも終わらせることができる段取りだけは完了したということなのだろう。

で、今回の『ターミネーター4』は・・・・、ちょっと感情移入する対象がかなり複数存在しているので、登場人物に想い入れる度合いは分散されてしまい、全体に印象が弱い作品になってきてしまった。

劇中には一番プロトタイプのターミネーターが登場。彼が最後にシュワちゃん型ターミネーターと戦うことになる。このプロトタイプ型のターミネーターは、サイバーダイン社が、死刑囚の身体を献体として受け取り、人間の心をもちながらも身体は機械でできているというかタイプ。物語の中では、自分が機械であることも知らずに未来の荒廃した世界をさまよっているうちに、おねーちゃんと出会い、ちょっとハートフルなロードムービーになるのだが、コナーに引き合わせようとすると、実は彼が機械人間であることが暴露される。自分でもがくぜんとするプロトタイプ君。
コナーたちからはターミネーター扱いされ、殺されかけるのだが、「かれは人間よ」というおねーちゃんに助けられて逃亡、スカイネットに囚われている若き日のマイケル・ビーンを助けにいくことになるという展開。

これが他のSFアクション映画であればそこそこ楽しいよくある映画なのだけど、劇中のシーンもどこかでみたシーンばかりでほとんど新鮮さがなく、最近よくみる映画の一シーンばっかりといいう印象。『ターミネーター』でしかみられない特異性がなくなってるのが悲しい。

監督は映画『チャーリーズ・エンジェル』マックG。ふざけた名前で、先にこなしている映画もお祭り映画なのでどこまでやれるのかわからなかったが、これはこれでけっこう出来てる映画だと思う。なんだ・・おふざけだけじゃないんだってちと感心した。

<あらすじ>
「審判の日」の核戦争を経て、スカイネットに支配されようとしていた2018年の世界。生き残った人類は抵抗軍を組織していた。抵抗軍のリーダーであるジョン・コナー(クリスチャン・ベイル)は、人類の決起を促していた。一方、ターミネーターたちがさまよう荒野をたくましく生き抜く少年カイル(この子が大人になるとマイケル・ビーンとして1980年代に戻ることになる)は、核戦争のことも現在が何年かさえもわからない屈強な男彼の名は、マーカス・ライト(サム・ワーシントン)と出会う。
彼は2003年の死刑囚で、献体の書類にサインし、死刑後は、サイバーダイン社がその身体を受け取った。彼は人間の心を持ちながらも肉体はマシーンという、最も初期型のターミネーターだったのだ。
しかし、人間のこころをもっているマーカスは、コナー達に協力し、捕まったカイルを救い出し、スカイネットの基地を爆破する。その過程で心臓に傷を負ったジョン・コナーのために、マーカスは自身の臓器移植を申し出る・・・。

by ssm2438 | 2012-01-01 00:21