西澤 晋 の 映画日記

ssm2438.exblog.jp
ブログトップ | ログイン

<   2012年 07月 ( 13 )   > この月の画像一覧


2012年 07月 05日

氷点 (1966) ☆☆☆☆

f0009381_223806.jpg監督:山本薩夫
脚本:水木洋子
原作:三浦綾子
撮影:中川芳久
音楽:池野成

出演:
若尾文子 (辻口夏枝)
船越英二 (辻口啓造)
安田道代 (辻口陽子)
山本圭 (辻口徹)
津川雅彦 (北原)
森光子 (辰子)
鈴木瑞穂 (高木雄二郎)
成田三樹夫 (村井)

     ×   ×   ×

イエス・キリストは、人類全ての人の罪を背負って十字架に架けられました・・。

渋谷の町を歩いていると、宣伝カーのスピーカーからこのような言葉を耳にすることがある。しかし、正直なところ、キリスト教に疎い私はこの言葉の意味すら知らなかった。それを今日、教えていただいた(苦笑)。こういうことだったのですね・・・・。勉強にまりました。
きっとキリスト教信者の方ならすっごく酔えると思います。私はどっかに宗教に関して反感がある人間なので手放しには共感できない部分があるのですが、それをさておいても、物語はすっごいです。強烈です。こんな重厚な話が書けるっていうのはすごいですね・・・。そしてそれを大映パワーが見事に短時間の映画にまとめきってる。恐れ入りました。

<物語の発端>
北海道は旭川の病院長である辻口啓造(船越英二)の愛娘・るり子が暴漢に襲われ幼い命を落とす。川原で発見された自分の娘の遺体をみてショックで気をうしなう夏枝(若尾文子)。その倒れた夏枝をうけとめたのが眼科の医師・村井(成田三樹夫)。その姿をみて、自分の娘の死すら充分に悲しめない啓造。
じつは村井医師と夏枝は不倫関係にあり、辻口啓造はそのことを知っているのだが、憎しみを打ちに秘めていた。そして、自分を裏切った妻に対して恐ろしい復讐を思いつく。
それは、自分の娘を殺した男の子を引き取り、夏江に育てさせるというものだった。陽子は、自分の出生に秘密をしらないまま、辻口家の養女となった。

この設定もスゴイなあ。
どろどろですよ。

しかし陽子の素性をしらない夏枝は我が子のように陽子を溺愛した。それがあるとき一変する。夫の日記をみた夏枝は、陽子が、自分の娘・るり子を殺した男の子供だということを知ってしまう。その時から夏枝の憎しみは急に溢れ出し、止められなくなる。このあとの若尾文子のいじめっぷりが理性が効いてていいんだ。表面的なんじゃなくって、どこか理性の聞いた中でのつめたい仕打ち。周りの人はそのことを知らないので、陽子にやさしくする。特に兄の徹(山本圭)は誰よりも陽子を愛しているのが判る。周りの人に陽子が優しくされればされるほど憎らしくなってしまう夏枝。このあたりの描写がとっても素敵。

この夏枝という今回の敵役の母親は、もとは普通に愛をもった女性だったのです。それが、なんの因果かこんな憎まれる母になってしまった。「自分が普通である」と思っていた人でもこうなるのだよ・・という実例とされてるのでしょう。

やがて、陽子(安田道代)は恐ろしいほど健全に育ち、叔母さんにあたる辰子(森光子)は、自分のもとに引き取って大学にやりたいという。兄の徹は、健全な恋人候補としてひとつ年上の北原(津川雅彦)を紹介する。しかし、それも夏枝が反対、邪魔をする・・・。北原からの手紙を、陽子には渡さずに北原に返してしまったり、それだけでなく北原を誘惑したり・・・となかなかの悪女ぶり。

そんなこんなで引き離されてしまった陽子と北原。そしてそんな陽子を愛していけるのは自分しかいないと、自らの愛を告白する兄の徹。おおおおおおおおおおおおお、メロドラマの王道です。しかしそこは陽子の健気さで健全な兄妹という設定にもどるのだが、偶然旭川の雪祭りであった陽子と北原は誤解をといて幸せな気分になってしまう。

しかーし、陽子の幸せを絶対許せない夏枝は、ついに陽子の出生の秘密を暴露してしまう・・・・。

自分は健全に生きていこうと思ってきたが、自分の健全ささえも母・夏枝にとっては不愉快以外のなにものでもなかったのだろう。自分は殺人者の娘であり、母が私を憎むのは仕方のないことだ。辻口家の不幸は私のなかにある殺人者の血のせいだ・・って、陽子は、るり子が殺された川原で、睡眠薬を飲んで自殺を図る。

正直なところ・・・だからといってなんでそこで自殺になるの???という、ある種のいかがわしさが鼻につくも、やっぱり物語のどろどろ感が素敵なので、とりあえずそのテンションで見ていけてしまう。
妻の不倫から発生した恐るべき不幸のなすりあい。本来、憎むべきではないと判っていても幸せになってほしくないと願い続けた夏枝の心。しかし、さらにお約束のどんでん返しがもう一発用意されている。
陽子は、るり子を殺した殺人者の娘ではなかった。さすがに殺人者の娘を、夏枝に育てさせるのは不憫のおもった孤児院の高木医師(鈴木瑞穂)は、大学時代の同級生が不倫した結果生まれてしまった子を素性を隠して辻口家に養子として送ったのだった。

本来なんの関係もない女の子をただ、憎んで自殺にまで追いやってしまったことに、嘔吐する夏枝。それは夏枝だけではなく、父の啓造とて同じこと。これらはすべて普通の人がもつ普通の憎しみである。それを全部ひきうけて、死を選ぶ陽子。
f0009381_2229161.jpg

おおおおおおおおおおおおお、キリスト教ってそういうことだったのか・・・ってやっと判った。

もう恐ろしいほどドラマとしては素晴らしい出来栄えです。
見事!というしかありません。

ただ・・・・、それでもなおかつ、やっぱり気持ち悪いのが、「なんで陽子は自殺しなきゃいけなかったの?」ってこと。「ほらごらんなさい、我々の邪悪な心が、なんの罪もない子を自殺においやってしまったのよ」という罪悪感を植えつけるためにそうしてるようで、なんか・・・・、すっごく押し付けがましいものを感じる。
自分で罪悪感を感じている時は健全だと思うのだけど、それを他人から指摘されて、押し付けられると、おっきなお世話だ!!って思っちゃうじゃないですか。それが本当でも、そんなこと知るかああ、いや、知らないふうに意地張りつくしてやるううううううううって。

その、押し付けがましい部分が気にならない人にはいいんですけど、そこが気持ち悪いので☆一つ減らした。

by ssm2438 | 2012-07-05 22:29
2012年 07月 02日

放課後(1973) ☆

f0009381_21433036.jpg監督:森谷司郎
脚本:井手俊郎
撮影:村井博
音楽:星勝/多賀英典

出演:
栗田ひろみ (中西亜矢子)
沢井正延  (青木勉)
地井武男  (北沢研二)
宮本信子  (北沢夏子)
島村美輝 (小宮克彦)
宇津宮雅代 (小宮由紀)
篠ひろ子 (美保)

     ×   ×   ×

森谷司郎でも、撮影監督が木村大作や斎藤孝雄でないと燃えない。。。。

栗田ひろみ目当てで見る人にはいいかもしれないけど・・・、冒頭からの撮り方でなんだか全然はいっていけなかった・・・。いやあ、脚本も井手俊郎がやってて、『兄貴の恋人』と同じなのです。でも撮影監督さんの違いでここまで趣味の合わないものになるとは思ってもなかった。がっくりでした・・・。

宮本信子が妙にお姐さん役なのでちょっと新鮮だったが、それ以外はなんか・・・、どの女性キャラも美しく見えない、栗田ひろみもまったく魅力的には見えない・・、とにもかくにも見たいシーンがほとんどない映画でした。
全体的にキャスティングを組直したほうが良かったのでは・・・。

余談だが、先ごろ販売されているDVDの写真より、昔販売されてたVHSの写真(↑)のほうが素敵。
DVDの写真は全然ロマンチックじゃない。どういうセンスしてるんだ???

<あらすじ>
中西亜矢子(栗田ひろみ)と青木勉(沢井正延)は隣同士で、同じ高校一年生。勉は亜矢子に恋心を抱いているが、亜矢子は同じクラスの小宮克彦(島村美輝)に気持ちが向いている。
そんな勉の家に北沢研二(地井武男)と夏子(宮本信子)の夫婦が住み込むことになる。勉の父がしばらく函館に転勤することになり、1階を彼ら夫婦に貸すことにしたのだ。
ある土曜日の放課後、勉は亜矢子は、同じクラスの小宮克彦の姉・由紀(宇津宮雅代)と研二が由紀の経営しているスナックに入るところを目撃、それを写真におさめた。亜矢子は夏子にその写真を見せたが、彼女は平然としている。ちょっと期待はずれの亜矢子。シャクにさわるのでちょっといたずら、2人の間はギクシャクしてくる。亜矢子が研二の服のポケットに入れたスナックのマッチが原因で、とうとう夏子は家を飛び出してしまった。夏子が家出した直後、けっく局研二と由紀は始めて共に寝た。
一方克彦は。スナックのバイトの女の美保(篠ひろこ)と肉体関係があったことが発覚、ショックをうける亜矢子。
やがて研二が転勤することになった。亜矢子は研二の引っ越しの手伝いをしている時、「私、研二さんが好きなんだもん」と身を投げ出した。その時、夏子が戻って来た。今、何が起きていたか知らない夏子は、素直に研二に詫びを言い、荷物の整理を始めるのだった。研二と夏子の間には、既に亜矢子の入る余地はなかった。亜矢子がそとにでると雨が降り始める。
最後は青木勉と楽しげにテニスをする亜矢子に戻り終了・・・。

by ssm2438 | 2012-07-02 21:36
2012年 07月 02日

腐蝕の構造(1977) ☆☆

f0009381_0245833.jpg監督:
森谷司郎(第1話)
井上昭(第2話、第3話)
蔵原惟繕(第4話、第5話)
内藤誠(第6話、第7話)
原作:森村誠一
脚本:松山善三

出演:
篠田三郎 (雨村征男)
島田陽子 (雨村久美子)
梶芽衣子 (名取冬子)
岡田裕介 (土器屋貞彦)
松田優作 (大町信一)
江原真二郎 (松尾俊介)
西村晃 (本田義和)
山形勲 (名取龍太郎)

     ×   ×   ×

主人公替えるなあああああ!!!

映画ではないのだけど、森谷司郎が監督をやってると書いてあるのでレンタルした、全部やってるわけではなく、その1話をやってたってだけでした。。。なのでそういう意味ではちょっと的外れだったのですが、テレビドラマとしては充分たのしめた。ただ、完成度は・・・イカガなモンでしょう? もうちょっとまとまりがあってもよかったかな。

1話と2話は完全に篠田三郎演じる雨宮征男が主人公だったのに、2話数の最後で彼の乗る飛行機が墜落してしまい、そこからは妻の久美子(島田陽子)が主人公となって物語が展開する。見ている側としては・・・あれれれ????という違和感がどうしてもある。3話以降そうなるのだったら、前半の展開を島田陽子視点で描いて欲しかったなあ。1話のエピソードは、どこか、謎解きの回想シーン的描いてモノがたらいの間に入れ込んでいけばそれほど問題はなかったと思うのだけど・・・。

ただ、テレビシリーズとはいえ、しっかり撮れてます。
最近の小細工のおおいたいがドラマなんかよりはるかに映画な画面つくってます。

<あらすじ>
核融合理論の権威で小宮山四郎博士の事故死から物語りがはじまる。しかし、すでにこの研究の中心は小宮博士の意志を継ぐ雨宮征男(篠田三郎)にうつっていた。彼はトリウム○○○による核融合理論を構築しており、政府は実験炉の建設を民間企業に落とす段取りをたてていた。このプロジェクトに割り当てたれる予算は膨大であり、それを受注することが出来た企業は巨額の利益をえることになる。そして水面下で大企業や政治家を巻き込んだ受注獲得のための陰謀が展開される。
彼らにとっては雨宮征男を自分の企業に取り込むことが第一課題になる。しかし、新潟から名古屋の学会に向かう雨宮ののった飛行機が自衛隊機と墜落する事故がおきる。遺体回収作業はすすんだが、雨宮の遺体だけが見つからない。しかし妻の久美子(島田陽子)はなぜか、夫が生きているような気がしていた・・・。

基本構成は、松本清張『ゼロの焦点』とにている。
結婚して幸せな家庭をもっていたはずが、突如夫が行方不明。その謎を追うという展開。そして徐々にあばかれていく真実。そして夫には、自分のほかに愛している女性がいた・・・。私はなんだったの・・・?

ただ、この問題というか、この構成の弱点は、主人公が謎解きのための受動的なキャラクターに徹しており、物語に結局参加してなかったという空しさだろう。主人公がただただ、物語を展開していくためだけの役割であり、目的をもって行動する役割ではないので、ドラマの根幹へのからみが希薄なのである。もうちょっと物語の今回に近い位置で主人公を設定できなかったものかと思ってしまった。

あと、島田陽子といえば、梶原一騎との恋愛関係の中でプライベートの“H”の緊縛写真もかなり撮られていたという噂だが・・・、うむむむ、いかん、4話のあたまに、夫の残したノートを狙う暴漢におそわれ、縛られるシーンがあると、どうしてもそっちの妄想のほうが先行してしまう。

見終わってみると、物語的にはもっと整理できたと思えるのだが、画面の良さだけに終始したなぞとき物語だったかな・・・。でも、興味を次につなげる手段としては上手いと思った。こういうテレビドラマが作られていた70年代ってよかったなあ・・・。

ちなみに松田優作と突然登場。この人一体だれ???って思ってたら、篠田三郎がのってた民間機にぶつかってしまった自衛隊のパイロット。自分の乗っていた機が旅客機に激突したことから乗員を殺してしまい、罪悪感にさいなまれている人。乗員のなかの遺体が発見されてない篠田三郎が生きているとしたら、なんとか見つけ出したいとい、死んでいるのなら死んでいるということを確認したいというのが彼のモチベーションなのですが、島田陽子と松田優作の物語にして、そのなかで過去話を展開したほうがよかったのでは・・??

あと、やっぱり私は梶芽衣子好きだ。
この人の目力は素晴らしい。島田陽子より梶芽衣子にエールを送ってしまう。

by ssm2438 | 2012-07-02 00:26