西澤 晋 の 映画日記

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2013年 08月 25日

原子力戦争(1978) ☆☆☆

f0009381_1324415.jpg監督:黒木和雄
原作:田原総一朗
脚本:鴨井達比古
撮影:根岸栄
音楽:松村禎三

出演:
原田芳雄 (坂田正首)
山口小夜子 (山崎明日香)
風吹ジュン (青葉翼)
佐藤慶 (新聞記者・野上)
岡田英次 (神山教授)
石山雄大 (青葉守)

     ×   ×   ×

おおおおお、何を撮っても面白くないパクラのような映画・・・、面白い!!

最初に書いておくが、私は原発推進派である。
・・・が、以下に書いたものは、私の主義主張とは関係なく、フィクションとしてのこの映画に関して書いたものだ。

しっかし、原発が画面のなかにあるだけで、なんだか燃えますね。全然関係ないけど、数日前にディスカバリーチャンネルで「チェルノブイリ原発第4棟みました。いやあああいいですな。まるでアンドレイ・タルコフスキー『ストーカー』のような雰囲気です。見てた番組は『怪物魚を追え』というシリーズで、番組のパーソナリティのジェレミーが世界各地をとびまわり伝説の怪物魚を釣り上げるというシリーズなのですが、今回はチェルノブイリ原発の冷水池に住む巨大ナマズの話。いまでも被爆防止のために滞在時間が制限されてるとか・・・。

ま、それはされておき、こちらの映画は原発事故をかくそうとする巨大な政治勢力と、それを暴こうとする原田芳雄佐藤慶の話。もっとも佐藤慶が相棒なので最後に裏切るのはみえみえなのですが・・・(苦笑)。雰囲気はめざせ『パララックス・ビュー』! この映画もゴードン・ウィリスが撮っていればもっとかっこよくなったのに・・・(笑)。でも、日本でもその社会的隠蔽工作のダークな雰囲気をだそうとしてかなりがんばってるきがします。もいっともパクラファンでなければかなり面白くない映画と捉えられても仕方がない部分は大いにありますが・・・。
舞台になっているのは某県某所の大浜原発(架空)。ただ現実問題ロケしたのは福島第1/2原発らしい。

話の発端はこんな感じ。
冒頭原発の街、大浜市の海岸に男女の溺死体があがる。手をつなぎその手は紐でかたく結ばれていたので警察も心中と判断。同じころ大浜を訪れる一人の男がいた。チンピラ風のその男は坂田正首(原田芳雄)。と青葉のぞみという女を捜しにきたという。なんでも50万を彼女に貸したままなのだが彼女が田舎に帰ったきり東京に戻ってこないので探しにきたという。
浜にあがった心中死体の女のほうが彼の恋人だった。坂田はのぞみの<ひも>であり、のぞみは大学をやめてソープで働きながら坂田を食わせていた。そんなのぞみがほかの男と心中などするわけがない。これは怪しいと考えた坂田が真相を追究していく・・・。

普通この手の物語は新聞記者とかそのあたりが動き出すのだが、今回はヤクザな男というところがちょっと柄が悪くなっている。しかし、この主人公の場合は社会問題とかは一切関係がなく、のぞみを殺した男が憎いというのだけが行動のモチベーションになっており、背後にあるのが巨大な隠ぺい工作なのだが主人公は実行犯に指示した男らしい人物をプスと刺してとりあえず復習したことになっている。
ま、最後は巨大な力にころされちゃうのだけど・・・。

そしてこの主人公が暴れまわるとなにかしら探りが入れやすくなると考えているのが新聞記者の野上(佐藤慶)。こちらは東京から地方にとばされ、なんとかスクープをとって本社に戻りたいとおもっているやさぐれ男。もっとも演じているのが『水戸黄門』悪役専門の佐藤慶なのでどうみてもそう思ってしまうのがちょっと残念。この男、最後は寝返るのだが、佐藤慶だと苦渋の決断にみえない(苦笑)。やさぐれてても正義感のありそうな人が願えるとけっこうインパクトあると思うのだがこの人だとねえ・・・、山本圭とかあたりだと良かったのに。

その後主人公をサポートしてくれる第一ヒロインが吹雪ジュン。おお、かわいい! 昔の彼女はこんなにかわいかんだ。・・・もっともとしとっても可愛いけど。『男はつらいよ 寅次郎の青春』(45作目)にマドンナとしてでてました。もうちょっとタッパがあったらかなりストライクゾーンでした。
こちらは死んだ姉から主人公のことは聞いていてちょっと興味をもってた女の子という設定。

さらにここから第二ヒロインが登場。心中したと思われる男のほうの妻。山口小夜子があやしい雰囲気だしてます。彼女の夫というのが原発で働いていた技師で、ある事故を告発しようとして殺された・・・というのがメインストーリー。一緒に殺されたのは心中ということにすれば後がらくだ・・・という理由。

もう一人のキーキャラクターが岡田英次演じる神山教授。どうも事故がおきたらしいということで原発に呼ばれた専門家がこの人。新聞記者の野上が原発事故の証拠書類をみせたのがこの神山教授。この人の言葉がかなり説得力があり、原作者の田原総一郎が取材をしてきたなかで得た数字や情報を盛り込んで原発推進はの立場をしっかり述べている。

・・・ここまでの設定で物語を転がせてればけっこう良かったのに最後一発蛇足がついた。
この神山教授と殺された山崎技師は師弟関係にあり、山崎の明日香と教授ができていた・・というオチ。これがあるがゆえにちょっと物語の軸がぶれてるような気がする。
もうひとつ要らないのはマイケル・ムーアみたいにアポなし取材を原発に慣行、ゲートのところで警備員とのやり取りをハンディカメラで撮っているのを入れ込んでいる。ちょっと胡散臭いな・・・。

・・・・でも、いろいろ面白かった。
とりあえず撮るだけとって、どうするか後で考えようって感じがATGらしい・・・(苦笑)。
でもこの映画、ATGのなかではけっこう普通に見られる映画だと思うのだけど。

by ssm2438 | 2013-08-25 13:26
2013年 08月 24日

祭りの準備(1975) ☆☆

f0009381_1151818.jpg監督:黒木和雄
原作:中島丈博『祭りの準備』
脚本:中島丈博
撮影:鈴木達夫
音楽:松村禎三

出演:
江藤潤 (沖楯男)
馬渕晴子 (沖ときよ)
竹下景子 (上岡涼子)
原田芳雄 (中島利広)
杉本美樹 (中島美代子)

     ×   ×   ×

ATG作品なのである程度つまらないことは覚悟してみたみたら・・・意外とおもしろかった(苦笑)。

物語は中島丈博のオリジナル脚本で自伝的ストーリーである。
ま、自伝的話っていったらほとんどが面白くないものだけど、まあまあ見られた映画だった。やってることは旅立ちもので、それまでずっと故郷にしばられていたが、それを振り払って出て行くという話。ま、男の子には必要な季節の話です。
でも、物語の根幹になってるのは、『青い体験』とかあの部分で、高校卒業してもんもんとしとるとどうしても初体験欲ってのがでてくる。そのほかに仲のいい兄貴分の原田芳雄がはずみで人を殺してしまいああだ、こうだという話。そしてその妹がちょっと狂っているのだけど、子供はらまされて生んでみたらあれれ・・、正常にもどってた・・・という話。でも、実はその子供が自分の子ではあるまいか・・・とか。あと父親が家をでててほかの女の下にで暮らしとるけど、それが戻ってきたり・・とまあ、そういうめんどくさい人間関係があるなか、主人公は「シナリオライターになりたい」という夢を持ち続け、ついには母親もすてて東京に出て行くという話。

話はごったになのでどうでもいいです。
ただ大志をいだけない田舎の感じがよくでてるかな。決して嫌いにはなれない、いや、やっぱり好きである。でも「ここではない」って思える場所。

竹下景子は映画ではこれがデビューということになっているらしい。
一応ウィキペディアでは「ヌードも披露して」とあるが胸のアップだけのカットは別撮りで誰かほかの人の胸だとおもう。ただ、宿直室で寝てたら火事になって、そのときちらっと炎ごしに見えるのは本物だろう。
役どころは、ちょっとインテリ思考の女の子で社会主義に傾倒しかけてる女の子。よくできる堅物の女の子って感じではあるが、おたかくはとまってない。それなりのアクセサビリティもある。近くにいたら惚れるな・・・、わたしなら。ああ、いるいるこんな感じの人・・っていうのがよく伝わってくる。そういう意味ではいい味付けのキャラでした。竹下景子もけっこうはまり役かもしれない。
しかし・・・この竹下景子はあんまりきれいじゃなかったな。というか女の子がどれもそれほど美しくないのでそのこと自体がかなり問題なのだけど・・・。
そんなきれいにとってもらいない女の子のなかでひときは輝いてたのが杉本美樹さん。ご存知『赤いワッパ』の彼女です。今回は原田芳雄の兄の嫁で、でも、兄が刑務所にはいっているのでそのあちだ嫁さんと“H”をしてるという関係。

まあ、話はうだうだしてるのだけど、いいのは最後の原田芳雄との別れのシーンだろうなあ。
はずみてひところしてしまい、逃げ回っていた原田芳雄が、故郷をすててさあ、これから東京に行くぞっていう汽車にのろうとしてるとき、「金かしてくれないか」と現れる。
やや戸惑う主人公だが2万円ほどわたしてやる。しかし主人公が今まさに村をすてて東京に出ようとしてると知り「この金はもらえん。この金だけはもらえん」ってむりやり返す。あの一連のやりとがけっこうじい~~~~~んきてしまった。

by ssm2438 | 2013-08-24 01:16
2013年 08月 05日

マークスの山[TV](2010) ☆☆

f0009381_0384012.jpg監督:水谷俊之/鈴木浩介
原作:高村薫 『マークスの山』(講談社刊)
脚本:前川洋一
音楽:澤野弘之

出演:
上川隆也 (合田雄一郎)
高良健吾 (水沢裕之)
戸田菜穂 (高木真知子)
小西真奈美 (根来麻美)
石黒賢 (加納祐介)
小日向文世 (林原雄三)

    ×     ×     ×

林原=ハヤシバラだと思ってたらリンバラでしたか。
なんで?? ・・・・あ、そういう訳だったのね。

さすがにテレビなので映像的にはショボかった。もうちょっと映画な画面にできないものか・・・、この辺は監督さんの絵心のなさが前面にでてたな・・って感じでした。撮り方もカメラの入れ方もあんまりお利巧さんとはいえない、とりあえずそう撮っておこうか・・・みたいな感じ。この画面を取るためにはこのアングルでこのサイズでこの画角でないければならないんだ・・!って理由付けがないまま撮ってる人の絵でした。
あと、これも監督さんの芝居付けのショボさなのでしょうが、犯人側の連中がみんな姑息にみえる。
たとえば、その人がおびえたときに、怯えた表情をアップで撮るか、怯えた自分を隠そうとしてその人からどこか違和感のある信号だしてるか・・・、その違いなのでしょうが、このアホ監督は全部それをアップで撮るのです。見せ方としてあまりにチープなので、ほんとは1話の途中でやめようかとおもったのですが、なんとか我慢してみてたら1話の最後でやっとこさ人が死んで、そこらあたりから見られるようになりました。

原作は1993年上半期の直木賞を受賞している高村薫原作の『マークスの山』(マークスのやま)。こてこてとした描写で小説としては面白いかもって思うのだけど、こうして物語をざらっと見てしまうと、お話自体はそれほどすっごい話ではないのです。ただ、私自身はそういうの、嫌いじゃないのですけど。才能がないので、ちょっぴょうしもない話をヘタな文章で書かれるよりも、ありきたりの話を染み込み易いように魅せてくれるほうが好きですね。そういう意味では原作はいいのだけど、このテレビシリーズは・・・、ちょっと残念だったかな・・・。

<あらすじ>
松井浩司(矢島健一)=法務省 刑事課長。
浅野剛(山崎一)=浅野総合病院 院長。
林原雄三(小日向文世)=日弁連理事 弁護士。
木原郁夫(升毅)=暁成大学 理事長。
佐伯正一(佐野史郎)=佐伯中央建設社長。

これらの苗字の頭文字をとってMARKS。
この5人は暁成大学(このテレビ版ではこういう大学名になっている)の山岳同好会で20年前に北岳で同じく暁成大学の野村久志を殺した。その下山の途中で水沢裕之の母親に遭遇、口封じのためにがけから突き落として殺した。・・・そして20年後。刑務所に服役してた水沢裕之(高良健吾)は刑期をおえて出てくるとこの5人に復讐をはじめた。

物語構成的には警察モノの王道的なつくりだ。
主人公は犯人を暴こうとする。しかし、警察上層部の誰かに、その事件に関するなんらかの暴かれてはいけない秘密をもつ男がいて捜査を妨害する。みている側をいらいらさせるにはいいよくある構成である。この構成の場合は、警察上層部といえば警視総監、あるいは警察庁長官であるが、今回は法務省・刑事課長という立場がそれになっている。ほかにも東京地検特捜部副部長(嶋田久作)がおなじ大学の出身でにややらすねに傷持ってて捜査妨害するというパターン。
この手の構成では、捜査妨害する警察上層部のあばかれてはならない理由をどうするのかというのがひとつのポイントになる。
この高村薫の『マークスの山』を愛読してる黒崎視音という人の小説『警視庁心理捜査官』というのを読んだことがあるのだが、まさしくこの警察上層部の妨害構成をそのまんま使っていた。ま、かといって高村薫がオリジナルではなく、何人も、何回も同じ構成よく使われているというだけなのだけど・・・。

by ssm2438 | 2013-08-05 00:39