|
2010年 05月 20日
監督:ドゥシャン・マカヴェイエフ脚本:フランク・ムーアハウス 撮影:ディーン・セムラー 音楽:ティム・フィン 出演:エリック・ロバーツ グレタ・スカッキ ビル・ケアー * * * この監督さんドゥシャン・マカヴェイエフ、この人の名前知ってたらかなりディープな映画ファンです。 だいたい名前からしてもう怪しい(笑)。 ドゥシャン・マカヴェイエフ‥‥。ユーゴスラビアの監督さんなのですが、かなり毒をもったアヴァン・ギャルドな映画をとります。イデオロギー的な体制批判の味をもち(個人的には体制批判は大嫌いなのですが)、性的/根源的な欲求を展開させつつ、風刺的な要素で支配され、一般的概念をぶち壊しにかかってきます。映画をみてても、“この人は何をもって「よし!」としてるのだろうか??”って疑問に思ってしまうシーンもしばしば。ただ、彼は大学で心理学をやってたせいか、人の心に何がひっかかるのか、知ってる人なんですよね。 描いてることは、かなりの赤裸々(肉体的にも、精神的にも)、別 の言葉でいうとお下劣。しかし演出力は飛び抜けて高い。画面 の作り方もけたたましく完成度の高い画面 をつくります。たまにある“H”なシーンだと、SEXに至るまでの見せ方が異様に艶っぽい。“なに、この人の見せ方は!?”って思ってしまう。 頭の奥の方で映画を見る人というか、この人の場合はそれも心の奥の方で映画を感じる人のための映画というか、にくらしいまでに感性を刺激するんです。 表面的にはかなりカルトでもそこに確かな技術があるから、そのアンバランスさが妙に魅力的、一言で言うなら体制批判的・お下劣・インテリジェント・風刺映画を撮る人です。 興味があったら一度ネットで検索かけてみてださい。で、その体制批判的・お下劣・インテリジェント・風刺映画の中でも、一番見易いかなって思われるのがこの『コカコーラ・キッド』。お下劣度があんまり高くない。一番さらりと綺麗に見られます。 ただ、彼の映画を見ようと思うと、まあほとんどのレンタルビデオ屋にはおいてないと思うので、ネットで中古ビデオを探すしかないんじゃないかなあ。 おおまかなあらすじを紹介すると、 「問題解決に有能な営業マンベッカ-を派遣。進学と経営学の学位 有り。 彼の話を聞け。怒るな。恐れるな。そして、驚くな」 のテレックスと同時にはオーストラリアのコカコーラ支社に派遣されてきたベッカ-(エリック・ロバーツ)。 彼女の秘書につくことになったのがテリー(グレタ・スカッキ、実は私のけっこう好きな女優さんの一人です)。 そして市場をちょうさしてると、コーラの売れられて無い地域があったりする。 「なぜ、ここではコーラが売られてないのか? 喉があること、飲み物は必要だ」問題の地域アンダーソン峡はジョージ・マクドウェル男爵の領地で、古くからの製造方法でコカコーラとよく似たソフト・ドリンク、マクコークというのを売り出していて、コカコーラを完全街ぐるみで閉め出している。かくして強大企業に対抗する地元産業の抵抗という販売競争図式はできあがり、ベッカーはコカコーラの大軍団を率いてアンダーソン峡に乗り込んで行くのだった‥‥。 最終的には、ジョージ・マクドウェルは自分の工場に火をはなって戦争集結、 ベッカーはそれをみて、競争社会から足を洗うってことになるんだけど、まあ、それはいいや。 ドゥシャン・マカヴェイエフの映画の魅力はストーリーよりも、シーンごとの見せ方が味。 ノーマルな絵のなかにアブノーマルな部分を入れ込む。あるいはアブノーマルな世界感のなかで一人だけがノーマル感覚でいたりする。 “こう見えてるこの世界がほんとに当たり前だと思っているのか? うん?”みたいな、 実は既成概念の挑戦的な破壊、しかし抜かりなくユーモアというオブラートに包んで、観ている人に受け入れやすく味付けしてある。 映像も基本的にオシャレ。オーストラリアの支社で、今後の運営方針を説明するベッカ-。部屋の電気を落し、シュワ~~~という音とともにグラスに注がれたコーラ。その広報から光を当てると、聞いてる人々の顔に暗褐色のコーラ色が投影され、彼等の顔のうえに炭酸の泡の影がたちのぼり、炭酸のはじけるジュワワワワ~~~~って音だけがかなりのボリュウムで流される。それだけで、コーラの味を思い出して、口のなかに生唾がでてきそう。こういう所では『フラッシュダンス』『ナインハ-フ』のエイドリアン・ラインばりのCM的オシャレ画面 をみせてくれる。 そしてグレタ・スカッキがとっても素敵。ほんとに健康的に色っぽい。 SEXに至る時にあの艶っぽい見せ方は、ドゥシャン・マカヴェイエフ天下無敵。 いやらしくなく、でも色っぽく、爽やかに肉欲を描いてしまう。 基本的には<抑圧された環境(使命)からの魂の解放>がこの人のコアで、生産性は無い。 実に魂が消費者。 たぶんこのドゥシャン・マカヴェイエフ、この映画のグレタ・スカッキのテリーに代表されるような、 汐に流されるままのクラゲのような固執することない生き方を理想としてるんじゃないかと思う。 だからスピリット的には好きになれない人なんだけど、 でも、技術力とか頭の良さはとにかく凄い。
by ssm2438
| 2010-05-20 03:35
| D・マカヴェイエフ(1932)
|
アバウト
![]() 主観重視で映画の感想を書いてます。ネタバレまったく考慮してません。☆の数はあくまで私個人の好みでかなり偏ってます。エンタメ系はポイント低いです。☆☆=普通の出来だと思ってください。 by ssm2438 リンク
ファン
検索
以前の記事
2016年 05月 2013年 12月 2013年 10月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 タグ
☆☆☆(365)
☆☆☆☆(199) 一見の価値あり!(84) ☆☆☆☆☆(84) 貴重なヌードあり!(82) シナリオ勝負映画(82) 撮影的に高品質な映画(81) この女優必見!(80) 楽しいぞ!この映画(80) ダメだこりゃ映画(79) 女優が色っぽい映画(78) 女優が愛らしい映画(76) 自然描写が美しい映画(53) 一見の価値もなし!(53) ダイナミック望遠映画(37) ディープメンタル映画(22) 言葉が素敵な映画(22) リアリズムの映画(20) ぼろ泣き映画(16) ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆(13) カテゴリ
ジョン・フォード(1894) フランク・キャプラ(1897) A・ヒッチコック(1899) V・デ・シーカ(1901) ウィリアム・ワイラー(1902) ビリー・ワイルダー(1906) フレッド・ジンネマン(1907) 松本清張(1909) 黒澤 明(1910) M・アントニオーニ(1912) ルネ・クレマン(1913) I ・ベルイマン(1918) F・フェリーニ(1920) G・チュフライ(1921) W・A・フレイカー(1923) シドニー・ルメット(1924) 増村保造(1924) H・ウェクスラー(1926) S・キューブリック(1928) J・フランケンハイマー(1930) N・アルメンドロス(1930) ロベール・アンリコ(1931) ゴードン・ウィリス(1931) マイク・ニコルズ(1931) F・トリュフォー(1932) A・タルコフスキー(1932) D・マカヴェイエフ(1932) テオ・アンゲロプロス(1935) ウディ・アレン(1935) R・レッドフォード(1936) リドリー・スコット(1937) 木村大作(1939) ジョン・バダム(1939) W・フリードキン(1939) J・L・ブルックス(1940) エイドリアン・ライン(1941) ノーラ・エフロン(1941) K・キェシロフスキー(1941) ペニー・マーシャル(1943) ピーター・ウィアー(1944) C・デシャネル(1944) ラッセ・ハルストレム(1946) S・スタローン(1946) アイバン・ライトマン(1946) S・スピルバーグ(1946) パトリス・ルコント(1947) E・ズウィック(1952) ゴジラ(1954) G・トルナトーレ(1956) ブラッド・バード(1957) 男はつらいよ(1969) ライフログ
その他のジャンル
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||