2009年 08月 13日
監督:ロベール・アンリコ 原作:リシュエンヌ・アモン 脚本:リシュエンヌ・アモン ロベール・アンリコ ピエール・ペルグリ 撮影:ジャン・ボフェティ 音楽:フランソワ・ド・ルーベ 出演:ジョアンナ・シムカス カティーナ・パクシヌー ホセ・マリー・フロタス ベルナール・フレッソン * * * 原題は『ジダおばさん』、これだけ聞くとロマンも何もないように聞こえます。邦題の『若草が萌える頃』もけっこういいセンスだと思いますが、これだとタイトルだけ一人歩きしてる感じがいなめない。私だったら『きのうの夜は・・・』というタイトルにしますね、デミー・ムーアとロブ・ロウの映画でありましたが(苦笑)。 この映画、はっきりしたストーリーはあってないようなもの。20代に見たのですがそのときは・・???な映画でした。今見直すと・・・、いいですねえ。とにかくムードがいい。夜の街を歩くジョアンナ・シムカスだけで十分絵になる。またこれが気持ちいい画角の絵をつくってくれるんだ。これはもう監督のロベール・アンリコと撮影監督のジャン・ボフェティの意思疎通のなせる業ですね。中望遠感がとてもすばらしい。それに時代は60年代、まだまだフィルムの質が悪くて暗いところはとことん黒くおちて見えない。これがいいんだ! 今のフィルムは感度が良すぎて見えてしまうので個人的にはかなり不満。 このヒロイン=ジョアンナ・シムカスは1960年代に青春時代をすごした映画ファンならまちがいなくディーバの一人ですね。『冒険者たち』や『オー!』の時代に彼女を見た人ならあこがれてたでしょう。残念ながら私はそのときまだ小学生だったので彼女をリアルタイムであこがれたことはないのですが、短くも美しく萌えた女優がいるということは知ってました。 その彼女が主演の映画、しかもタイトルは・・『ジタおばさん』。なんじゃそれは??って思うかもしれませんが、この映画のポイントは彼女のミステリアスな情緒形態。大好きだったジタおばさんが脳卒中で倒れ、何かをしたいけど何も出来ない状態。夜になると彼女のうめき声のような寝息だけが聞こえてくる。でもなにもしてあげられない。・・・こんな場所に痛くない。で、夜の街を意味もなく徘徊するジョアンナ・シムカス。 現実を忘れさえせてくれるならなんでもいい、とにかく底に帰りたくない理由が出来るならなんでもいい・・、そんな心情。わけもなくそれをしたいけど、それをしたくない・・みたいな、男にしてみれば「どっちなんだ、おい!!」とむかつく女。 そんな彼女に言い寄ってくる男たち。非日常がちょっとだけ刺激的。出会ったばかりで恋愛感情なんかもてないけど、とりあえず自分に興味をもってほし・・みたいな、男と接するときの女のスタンスといいましょうか、ちょっといじめてみて、それでもついてくるなら相手してあげようか・・みたいな、男にとってはけしからん女なのですが、女にしてみれば実によくつかう手・・。そんなシムカスがとっても素敵です、・・ムカクツけど。 いやああ、良かった。この映画は今みるとおもったよりもかなりの名作だということが判った。 自分の映画鑑賞能力がかなり大人になったってことだなあ。 なんかわからんけど、いい!っていうのが、具体的にわかってきてる自分を発見できた映画でした。 歳はとるもんだね。
by ssm2438
| 2009-08-13 05:58
| ロベール・アンリコ(1931)
|
アバウト
主観重視で映画の感想を書いてます。ネタバレまったく考慮してません。☆の数はあくまで私個人の好みでかなり偏ってます。エンタメ系はポイント低いです。☆☆=普通の出来だと思ってください。 by ssm2438 リンク
ファン
検索
以前の記事
2016年 05月 2013年 12月 2013年 10月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 タグ
☆☆☆(365)
☆☆☆☆(199) 一見の価値あり!(84) ☆☆☆☆☆(84) 貴重なヌードあり!(82) シナリオ勝負映画(82) 撮影的に高品質な映画(81) この女優必見!(80) 楽しいぞ!この映画(80) ダメだこりゃ映画(79) 女優が色っぽい映画(78) 女優が愛らしい映画(76) 自然描写が美しい映画(53) 一見の価値もなし!(53) ダイナミック望遠映画(37) ディープメンタル映画(22) 言葉が素敵な映画(22) リアリズムの映画(20) ぼろ泣き映画(16) ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆(13) カテゴリ
ジョン・フォード(1894) フランク・キャプラ(1897) A・ヒッチコック(1899) V・デ・シーカ(1901) ウィリアム・ワイラー(1902) ビリー・ワイルダー(1906) フレッド・ジンネマン(1907) 松本清張(1909) 黒澤 明(1910) M・アントニオーニ(1912) ルネ・クレマン(1913) I ・ベルイマン(1918) F・フェリーニ(1920) G・チュフライ(1921) W・A・フレイカー(1923) シドニー・ルメット(1924) 増村保造(1924) H・ウェクスラー(1926) S・キューブリック(1928) J・フランケンハイマー(1930) N・アルメンドロス(1930) ロベール・アンリコ(1931) ゴードン・ウィリス(1931) マイク・ニコルズ(1931) F・トリュフォー(1932) A・タルコフスキー(1932) D・マカヴェイエフ(1932) テオ・アンゲロプロス(1935) ウディ・アレン(1935) R・レッドフォード(1936) リドリー・スコット(1937) 木村大作(1939) ジョン・バダム(1939) W・フリードキン(1939) J・L・ブルックス(1940) エイドリアン・ライン(1941) ノーラ・エフロン(1941) K・キェシロフスキー(1941) ペニー・マーシャル(1943) ピーター・ウィアー(1944) C・デシャネル(1944) ラッセ・ハルストレム(1946) S・スタローン(1946) アイバン・ライトマン(1946) S・スピルバーグ(1946) パトリス・ルコント(1947) E・ズウィック(1952) ゴジラ(1954) G・トルナトーレ(1956) ブラッド・バード(1957) 男はつらいよ(1969) ライフログ
その他のジャンル
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||