2009年 06月 18日
![]() 脚本:ジョン・セイクレット・ヤング 撮影:スティーヴ・フォスター 音楽:ジェームズ・ホーナー 出演:ジェーン・アレクサンダー ウィリアム・ディべイン ルーカス・ハース ケヴィン・コスナー レベッカ・デモーネイ * * * 核戦争の脅威をうたった映画がこのころいくつか作られた。BBCの『スレッズ』はかなり悲惨で冷酷な着映えだったが、『ザ・デイ・アフター』みたいにアメリカの核戦争映画はきまめてゆるく、痛みがないないのが特徴だといえよう。しかしこの映画は目に見えないところで起きた核戦争というのを、それを直接見せないで、じわじわ街の人が減っていき、死体袋の数が増えていくだけで見せたのは実に良い。 日本人にしてみれば、核兵器が使われた後は、広島や長崎のようなどろどろ状態でなければ描かれたうちには入らないとご立腹になるのも理解できるが、フィクションのドラマとして「こういうシチュエーションだ」という前提で描かれた映画としては興味深い内容だ。「テスタメント」とは「遺言」のこと。 ![]() サンフランシスコ郊外の町ハムリン。ある日、TVスクリーンにノイズがはしりその直後、放送がとだえる。何が起きたのかわからないがまだ放送をしているラジオの放送などをきくと、どうやら全米が核攻撃を受けたらしい。かといって、住民たちにできることはなく大きなパニックになることもさほどない。キャロル(ジェーン・アレクサンダー)はおびえる子供達(長女、長男、次男)を抱きかかえ親しかった若夫婦(ケヴィン・コスナー・レベッカ・デモーネイ)らと不安な一夜を過ごした。夫はサンフランシスコの会社からもどってこなかった。翌日、人々は教会に集まり対策を練ったが、混乱はおさまらない。スタンドには長い列ができていた。 長男のブラッドは連絡係として自転車で走り廻った。街で無線をやっている男が別の地域との連絡窓口になっていた。日に日に死体袋がふえていく。各地の状況もみな悪かった。放射能のため人々は続々と死んでいく。親しかったコスナー・デモーネ夫婦は赤ん坊の死を機に、カナダに行くといってハムリンの町を出ていった。末っ子のスコッティも死にガソリンスタンドの日系人オーナーも死んだ。彼の息子のヒロシをひきとるキャロル。 年頃のメリー・リズは「セックスって何?」と聞かれて「お互いの虚無感をうめる素晴らしい時間よ」と答えるキャロル。しかしそんな娘もそれを体験せぬまま死んでいった。ブラッド、ヒロシと一緒にキャロルは暗い部屋のなかロウソクをともして3人だけの夕食。死ぬまでは生きていようと決意した三人の食事だった。 この映画、DVDだしてほしいなあ。 パニックにならずに死んでいく社会というのが実に『渚にて』とか『エンドオブザワールド』みたいで良いのだ。
by ssm2438
| 2009-06-18 15:39
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![]() 主観重視で映画の感想を書いてます。ネタバレまったく考慮してません。☆の数はあくまで私個人の好みでかなり偏ってます。エンタメ系はポイント低いです。☆☆=普通の出来だと思ってください。 by ssm2438 リンク
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