監督:川島雄三
脚本:新藤兼人
撮影:宗川信夫
音楽:池野成
出演:若尾文子
川畑愛光、伊藤雄之助、山岡久乃、浜田ゆう子
高松英郎、船越英二
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本編の山岡久乃台詞に、「物事をあからさまに言ってはいけません」とあるが、みなさん実に遠慮のない言葉をずばずば言ってくださる。会話劇としては実にたのしい。そしてそれをマンションの一室とその外の階段だけで(実は1カットだけ屋上のカットがあるのだが)処理してしまった。新藤兼人脚本の言葉の勢いだけで押し通してしまった映画。
しかし、彼らの言葉は本音か・・?といわれるとちょっと違うと思う。これはあくまで遠慮のない言葉であって、本音というよりは、本音のように聞こえる言葉というほうが正しいきがする。ホントの本音というのは自己の弱さを認識しているところから発生するのもの、この映画はその部分は明らかに欠落している。
この主人公たちの家族構成はこう。
前田時造(
伊藤雄之助):現在無職。自分では仕事はしないが、子供たちを操ってお金をかせいでいる。
前田よしの (
山岡久乃) :専業主婦
前田実 (
川畑愛光):芸能プロダクションに就職している長男。実は会社のお金を使い込んでいる。
前田友子(
浜田ゆう子):ある小説家の愛人をしている長女。
かれらを中心に、長男の実が働いている芸能プロダクションの社長香取一郎(
高松英郎 )や、その経理担当で、実や香取、会計士の神谷栄作(
船越英二)と肉体関係にある三谷幸枝(
若尾文子)をめぐるやりとりが主に展開される。