監督:テレンス・ヤング
原作:イアン・フレミング
脚本:リチャード・メイボーム、ジョアンナ・ハーウッド
撮影:テッド・ムーア
音楽:ジョン・バリー
主題歌:マット・モンロー
出演:ショーン・コネリー、ダニエラ・ビアンキ
* * *
犯罪組織スペクターは、トルコ在住のソ連の大使館員
ダニエラ・ビアンキにソ連の暗号解読器を盗ませ、ソ連からの逃亡者にしたてあげ、ボンドや他のイギリスの諜報員をおびき寄せ殺す計画をたてる。さらにその暗号解読器をまたソ連に売れば一儲けもできる。ボンドは数々の危機をのりこえ、ダニエラ・ビアンキを救出、暗号解読器も手に入れる。
世間ではこれをもって「一番面白い」とする向きもあるようだが、しっとり系の好きな私でもそれほどいいとは思えない。派手は秘密兵器などほとんど出てこない、地味すぎるほどの冒険アクションスパイ映画。
オリエント急行がでてくる展開はとてもロマンチックでいい。だが逃げ場のない、しかも行き先の決まっているレールの上での展開は作り手の技術力がとわれることになるのだが、そこのところをもう少し上手にサスペンスできなかったものかなと思う。派手に作ろうとすると
『カサンドラクロス』のように細菌兵器ものにするとか、
『テロリストゲーム』みたいに核爆弾つんでる列車にするとかの手もある・・。だいたい物語の動機がスペクターの個人的な恨み(先の作戦でボンドにしてやられた)であり、イベントの規模が小さすぎるのもちょっと問題か・・。その後のドンパチもヘリコプターからの狙撃と照明弾だやられるボートなのでいまいち迫力不足。
シリーズのなかではもっともパーソナルな話としてつくれた素材だけに、とことんジェイソン・ボーンシリーズのような逃亡するなかでの孤立感とよりそいたい二人の心情なんかがもっとだせれば・・と思うと残念だ。