2009年 12月 03日
監督:野村芳太郎 原作:松本清張 脚本:井手雅人 撮影:川又昂 音楽:芥川也寸志 出演 緒形拳 (竹下宗吉)、 岩下志麻 (妻・竹下梅) 小川真由美 (愛人・菊代) 岩瀬浩規 (長男・利一) * * * ひでえ話だ。あんまりひでえ話なんで見る気がうせてしまう。おかげで2回挫折した。今回は最後までいったとさ・・、しかし最後はなかされてしまった。子供の不憫度は『靴みがき』と同じレベルだろう。つらすぎる。あんまりつらいので☆ひとつ減点。 <あらすじ> 川越で印刷屋を営む竹下宗吉(緒方拳)のもとに愛人であった菊代(小川真由美)が乗り込んできて、彼のこども3人を置いて蒸発してしまう。竹下の妻・梅(岩下志麻)は憤慨し、旦那が他で作ってきた子供たちのせわなどしないと言い切る。しかたなく子供たちの世話をしながら印刷屋の仕事もこなす宗吉。お梅は子供達と宗吉に当り散らし、地獄の日々が始まった。そして精神的にまいっていく宗吉。 末っ子のまだ赤ん坊は、栄養失調で衰弱し、寝ているときに梅にシートをかぶせられ死んでしまう。梅の仕業と思い乍ら宗吉は口に出せない。「あんたも一つ気が楽になったね」というお梅の言葉にゾーッとする宗吉だが、その夜、二人は久しぶりに狂ったように身体を求め合う。長女の良子を東京タワーへ連れて行き、置き去りにして逃げ帰える宗吉。長男の利一には「よそで預かって貰った」といい訳した。そして宗吉は、利一を旅につれだし殺す機械を伺うが、殺せない。殺すまでの時間なんとか幸せな時間をすごさせてやりたいと願う気持ちであふれいている。しかし最後は、夕陽が沈もうとする石川県の海沿いの断崖上の草原で蝶採りに遊び疲れ眠りこけた利一を崖下に落としてしまう・・。 翌朝、沖の船が絶壁の途中に引掛っている利一を発見、かすり傷程度で助けだした。警察の調べに利一はがんとして黙秘を続ける。それでも警察は利一を落としたのはいっしょにいた父親の竹下宗吉であると突き止め、逮捕、連行してくる。利一が生きていると分りほっとしする宗吉。移送されてきた宗吉が警察で親子の対面をした。「坊やのお父さんだね?」警官の問いに利一は、「よその人だよ、知らないよ、父ちゃんじゃないよッ」と無表情に否定する。宗吉の声が部屋いっぱいに響いた。「利一ッかんべんしてくれ!」 保護された利一の取調べを担当していたやさしい婦警さん(大竹しのぶ)は、「もうすぐお母さんがむかえにくるからね」とやさしい言葉をかけるのが痛々しい。。 自分を殺そうとした父だが、それでも、まわりのどんなやさしい言葉よりも、自分を一番愛していてくれるのはその父だと分っている子供の健気さがいたたまれない。『砂の器』では父は子供のことを「知らない」といい愛を示し、この『鬼畜』では子供が父のことを「知らない」といい愛をしめすのであった・・。 最初の末っ子にシートをかぶせて窒息死させてしまう時にながれていたオルゴールのメロディが、効果的につかれていて、あの旋律を聞くだけで心がしめつけられてくる。。。観るのが苦しい映画だ。
by ssm2438
| 2009-12-03 12:23
| 松本清張(1909)
|
アバウト
主観重視で映画の感想を書いてます。ネタバレまったく考慮してません。☆の数はあくまで私個人の好みでかなり偏ってます。エンタメ系はポイント低いです。☆☆=普通の出来だと思ってください。 by ssm2438 リンク
ファン
検索
以前の記事
2016年 05月 2013年 12月 2013年 10月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 タグ
☆☆☆(365)
☆☆☆☆(199) 一見の価値あり!(84) ☆☆☆☆☆(84) 貴重なヌードあり!(82) シナリオ勝負映画(82) 撮影的に高品質な映画(81) この女優必見!(80) 楽しいぞ!この映画(80) ダメだこりゃ映画(79) 女優が色っぽい映画(78) 女優が愛らしい映画(76) 自然描写が美しい映画(53) 一見の価値もなし!(53) ダイナミック望遠映画(37) ディープメンタル映画(22) 言葉が素敵な映画(22) リアリズムの映画(20) ぼろ泣き映画(16) ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆(13) カテゴリ
ジョン・フォード(1894) フランク・キャプラ(1897) A・ヒッチコック(1899) V・デ・シーカ(1901) ウィリアム・ワイラー(1902) ビリー・ワイルダー(1906) フレッド・ジンネマン(1907) 松本清張(1909) 黒澤 明(1910) M・アントニオーニ(1912) ルネ・クレマン(1913) I ・ベルイマン(1918) F・フェリーニ(1920) G・チュフライ(1921) W・A・フレイカー(1923) シドニー・ルメット(1924) 増村保造(1924) H・ウェクスラー(1926) S・キューブリック(1928) J・フランケンハイマー(1930) N・アルメンドロス(1930) ロベール・アンリコ(1931) ゴードン・ウィリス(1931) マイク・ニコルズ(1931) F・トリュフォー(1932) A・タルコフスキー(1932) D・マカヴェイエフ(1932) テオ・アンゲロプロス(1935) ウディ・アレン(1935) R・レッドフォード(1936) リドリー・スコット(1937) 木村大作(1939) ジョン・バダム(1939) W・フリードキン(1939) J・L・ブルックス(1940) エイドリアン・ライン(1941) ノーラ・エフロン(1941) K・キェシロフスキー(1941) ペニー・マーシャル(1943) ピーター・ウィアー(1944) C・デシャネル(1944) ラッセ・ハルストレム(1946) S・スタローン(1946) アイバン・ライトマン(1946) S・スピルバーグ(1946) パトリス・ルコント(1947) E・ズウィック(1952) ゴジラ(1954) G・トルナトーレ(1956) ブラッド・バード(1957) 男はつらいよ(1969) ライフログ
その他のジャンル
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||