西澤 晋 の 映画日記

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2010年 02月 20日

ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の7日間(1992) ☆☆☆

ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の7日間(1992) ☆☆☆_f0009381_22334540.jpg監督:デヴィッド・リンチ
脚本:デヴィッド・リンチ/ロバート・エンゲルス
撮影:ロン・ガルシア
音楽:アンジェロ・バダラメンティ

出演:
シェリル・リー (ローラ・パーマー)
カイル・マクラクラン (デイル・クーパー)

        *        *        *

世間では評判あんまりよくない映画だとは思うが、私はけっこうこの映画は感動してしてしまった。

この映画いざ、見ようとすると、どうしてもテレビシリーズをきちんと見てなければいけないような気分になってこの映画だけ見るってわけにはいかないだろう。しかし、テレビシリーズを全部見るに気になる人などいないだろう。結果的にこの映画はほとんど忘れ去られる運命にあるのかもしれない。なおかつドナを演じたララ・フリン・ボイルが出ないのも一気に興が冷める。
ただ、『ツインピークス』っていうドラマ、ある程度意味がわかってみるとこの『ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の7日間』は決して悪くない。

そもそも『ツインピークス』とはどんなドラマだったのか・・? これが判ってないと話しにならない。ぼーっと見れてばたんにデビット・リンチの怪しい演出だけのテレビシリーズのように感じるだろうが、根底にはかなりしっかりとした哲学がある。その哲学とは「自分をあきらめない」ということだ。この物語のなかで「自分をあきらめた人」はボブ(山の悪霊)の魂を乗っ取られる。多分ローラ・パーマーの父親も、自分のために生きることをあきらめたがゆえにボブに乗っ取られたのである。最後カイル・マクラクランンもボブに魂を乗っ取られる。あれも、最後の最後で、自分を放棄したから乗っ取られたのだ。
しかし、このローラ・パーマーはどんなにボブの身体は乗っ取られようと、魂は決して譲らなかった。彼女は最後まで、自分をあきらめなかった。この対決姿勢は、どんなに私を感動させてくれたことか・・・。

『ツインピークス』というドラマは恐ろしいまでに「人は、悲しいまでの己のために生きるもの」という一番コアな哲学を提唱しているドラマだ。そして「自己犠牲」という偽善を徹底的に非難したドラマだった。
最後まで自分をあきらめなかったローラ・パーマーは『世界で一番美しい死体』と呼ぶにふさわしい。

by ssm2438 | 2010-02-20 22:34


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