2011年 05月 05日
監督:森谷司郎 脚本:長坂秀佳/森谷司郎 撮影:木村大作 音楽:川村栄二 出演: 森繁久彌 (吉田茂) 高橋悦史 (池田勇人) 竹脇無我 (佐藤栄作) 西郷輝彦 (田中角栄) 小沢栄太郎 (松野鶴平) 若山富三郎 (三木武吉) 芦田伸介 (鳩山一郎) 梅宮辰夫 (河野一郎) 角野卓造 (宮沢喜一) * * * 自由党入党・総裁就任後の吉田茂は、多くの官僚出身者を国会議員に引き立てた。なかでも1949年(昭和24年)の第3次吉田内閣は、側近として大きな位置を占めたのが官僚出身者を中心とする国会議員たちだた。当時の政治家たちは、これらの集団を「吉田学校」と呼んだ。官僚出身者では、大蔵省の池田勇人、運輸省(元鉄道省)の佐藤栄作がその代表的人物である。現在は、事務次官を経て内閣総理大臣に就任するのは不可能に近い。 『小説吉田学校』は、第1次吉田内閣から鈴木善幸内閣までの保守政界の権力闘争史を描いた長編小説である。最初は雑誌連載で、その後は単行本の形で第7部までが発表され、1981年に角川文庫に収録されるとともに第8部が書き下ろされて完結した。この映画は、その第一を中心に、ワンマン宰相・吉田茂が、池田勇人や佐藤栄作ら「吉田学校」の門下生たちを率いて日本の講和独立を果たした後、鳩山一郎ら党人派との熾烈な権力闘争に挑む姿を中心に、第2次吉田内閣から鳩山内閣成立までを描かれている(エピローグとしては池田勇人内閣誕生、そして池田勇人死去まで)。 私の子供の頃の記憶に残っている総理大臣といえば佐藤栄作である。そのまえの池田勇人は私が2歳のときまで総理大臣を勤めていたが、さすがに2歳の少年の記憶はとどまらなかった。この映画ではこの二人が吉田茂の側近として力を発揮し、佐藤栄作の懐刀として田中角栄の存在があった。 個人的は松本清張の『迷走地図』のほうが、状況描写で圧迫していく重さがあったと思う。この映画では、あらましだけが描かれた感があり、映画としてはどうにもいただけなかった。森谷司郎の場合はムードで描く傾向にあり、具体性に乏しい。題材が重厚なだけに、もうすこし具体性を間接描写で描ける人に撮ってほしかった。 <あらすじ> 終戦から3年後の昭和23年、また日本はGHQの影響下に措かれていた。民政局次長チャールズ・ケージスは総理大臣には民自党幹事長・山崎猛が望ましいと伝えたが、党総務会における一年生議員・田中角栄の大胆な発言「日本の総理がGHQに決められるのはおかしい。国家の威信にかかわる」などと発言し、10月15日、第二次吉田内閣が成立した。翌年解散総選挙、民自党は圧勝、吉田派は大量の新議員を誕生させる。彼らは『吉田学校』と呼ばれるようになる。 第三次吉田内閣が発足すると、GHQの支配下からまず独立するこをめざし、外務次官太田一郎を中心とするプロジェクトチームを極秘で結成、平和条約草案を作り上げた。続いて、池田勇人、宮沢喜一の渡米が行われ、表向きは、アメリカの財政・経済の視察であったが、講和独立への下打合せが行われた。26年、朝鮮戦争が勃発、アメリカが執拗に日本の再軍備を要求するなか、同年9月8日、サンフランシスコ平和条約を締結。また同日、日米安全保障条約を結んだ。これにより、はれて日本はGHQの占領かから開放され、独立国として歩みだすことになった。 その後の日本国内は新しい政治局面へ向って動き始め、吉田自身には鳩山・三木との宿命の対決が待っていた。
by ssm2438
| 2011-05-05 04:02
| 木村大作(1939)
|
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主観重視で映画の感想を書いてます。ネタバレまったく考慮してません。☆の数はあくまで私個人の好みでかなり偏ってます。エンタメ系はポイント低いです。☆☆=普通の出来だと思ってください。 by ssm2438 リンク
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