2010年 03月 17日
監督:根岸吉太郎 原作:渡辺淳一 脚本:荒井晴彦 撮影:川上皓市 音楽:本多俊之 出演: 津川雅彦 (伊織祥一郎) 沖直美 (相沢笙子) 秋吉久美子 (高村霞) 岩本千春 (高村かおり) 木内みどり (伊織扶佐子) * * * 結局秋吉久美子の体だけの映画だったような・・。 渡辺淳一の物語というのは、等身大の物語で、男の感情は実にリアルだ。しかし、イベント自体がかなりファンタジーというか男の妄想以外のなにものでもない。ハッピーエンドにならないのも妄想たるゆえんだろう。不思議なもので、リアルに妄想すると決してハッピーエンドにはならないものだ。 なので登場する男も決して飛びぬけてかっこいい男がでてくるわけではない。本作の津川雅彦も実に等身大で、男のダメな部分を全部もっている。ゆえに男としては実に感情移入できる。しかし、この映画はそれ以上に、感情移入したキャラクターがあまりに節操がないので、途中から感情が離反してきてしまう。それがあまりこの物語を楽しめない原因なんだろうな。 ドラマを作る時に必要さが作業は、まず、見てもらう人に感情移入してもらうこと。人は強さには共鳴できないように出来ている。人が共鳴できるのは常に弱さなのだ。登場人物を描くときに、自分を弱さをさらけ出して描いてやれば、それは見ている者も同じように感情移入する。ドラマを描くというのは心のストリップにほかならない。 そうして観客が感情移入した主人公がドラマのなかで勝利すれば、見ている人もそれで感動できるわけだ。その過程ではらはらどきどきされれば、見ているものはさらにスリリングな興奮を味わうことになる。それがドラマを作る時に基本メカニズムなのだが、この映画の場合は、感情移入の段階で多分見ている男たちにシンパシーと夢を与えたのだろうが、主人公のへたれぶりを見せすぎたがあまり、感情離反してしまい、さらに最後は全然ハッピーじゃない展開になってしまった。 原作がそうなのだから結末や設定は変えられないのだろうが・・、もうちょっとなんとかならなかったものか・・・。というか、原作自体がイマイチだったのかもしれない。 <あらすじ> 伊織祥一郎(津川雅彦)は原宿に事務所を持つ建築家。扶佐子(木内みどり)という妻と一人娘まり子がいるが、4年半も別居中である。その原因は、祥一郎が、彼の秘書・相沢笙子(沖直美)と不倫関係になってしまったからだ。その笙子に想いをよせているのが同じ会社の宮津(岸部一徳)。笙子は、ずっと待たされているままのすさんだ気持ちをもてあました時に時々、宮津と飲みにでていた。 高村霞(秋吉久美子)は、画廊を営む年の離れた夫・章太郎と義理の娘かおり(岩本千春)とともに、鎌倉の邸宅に住んでいた。そんな霞はあるパーティで10年ぶりの祥一郎と再会をした。10年前、美大生だった霞は講師にきていた祥一郎に憧れ、一夜をともにしたことがあったのだ。その時が初めてだった霞は妊娠し堕胎していたのだ。それがもとで自殺未遂もおかしていた。 「会いたい」と電話をする祥一郎。誘われるままに祥一郎のマンションを訪れた霞は再びベッドをともにする。祥一郎の変化を察した笙子は、惨めさに負けて宮津と浮気してしまう。義理の娘かおりの手助けもあり、霞と祥一郎は雪国の温泉に旅行し、祥一郎はますます霞の純粋な艶に魅了されていく。しかし会社にかえってみると、笙子は休んでおり電話にも出ない。しかし霞が寂しさをおぼえ、祥一郎の部屋を訪れていた時に笙子が尋ねてくる。笙子は会社を辞める決心を伝えて去っていく。 やっと扶佐子が離婚を承諾した。しかし笙子のマンションにはすでに宮津が入っていた。散々玄関で悪態をつく祥一郎に「いまだったらまだ好き。好きなまま別れさせて」と泣いて懇願する笙子に、祥一郎尾ももう無駄なあがきだと悟って去っていく。寂しさのあまり再び霞をもとめる祥一郎だが、娘のかおり浮気をばらしてしまい、二人の関係は終わった。 同時に二人の女性を失った祥一郎は孤独だった。そんな祥一郎のまえにかおりが現れる。かおりは霞の味方になって祥一郎との旅行のアリバイをなどをつくってくれていたが、霞が真剣になるのをみて不安になった。祥一郎のマンションに行ったかおりはが寝室にはいり裸になって「抱いて」とせまるが、祥一郎にはその欲望はおきない。一人になった祥一郎はコタツに入り、「君が好きだ。ずっといここにいてほしい」と呪文のようにつぶやくのだった。
by ssm2438
| 2010-03-17 03:42
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主観重視で映画の感想を書いてます。ネタバレまったく考慮してません。☆の数はあくまで私個人の好みでかなり偏ってます。エンタメ系はポイント低いです。☆☆=普通の出来だと思ってください。 by ssm2438 リンク
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