|
2010年 04月 12日
監督:クリストファー・ノーラン脚本:ジョナサン・ノーラン/クリストファー・ノーラン 撮影:ウォーリー・フィスター 音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード/ハンス・ジマー 出演: クリスチャン・ベイル (ブルース・ウェイン/バットマン) ヒース・レジャー (ジョーカー) アーロン・エッカート (ハービー・デント検事) ゲイリー・オールドマン (ゴードン警部補) マイケル・ケイン (アルフレッド) マギー・ギレンホール (レイチェル・ドーズ) モーガン・フリーマン (ルーシャス・フォックス) * * * それぞれの人の良心・信念に疑問をもたせるという恐るべき策略・・。 いやいやnなかかか恐ろしい映画だった。安易にエンタテーメントとして撮るにはあまりに凶悪な映画だった。それがこの映画の正直な感想だった。 ドラマというのは「悪」をどう設定するかで、その面白さというものが決まってしまう。今回のこの映画は、その「悪」の設定が極めて作り手の戦略として成功したいい例だろう。前回のジョーカー(ジャック・ニコルソン)の場合は単なる道化だったが、今回のジョーカー(ヒース・薬中・レジャー)は、恐怖を演出する一つの法則をもっていた。それが<その人の良心・信念に疑問をもたせること>。 それは冒頭の銀行強盗のシーンから炸裂している。同じ銀行強盗をやらかす仲間たちに、“この仲間たちは信頼すべき人間ではない”という暗示を植えつけている。複数の人間で銀行強盗をやらかすのだがら、、やる以上は信頼関係というのがとても大事になるのだが、そこにクエッションマークを投げつけてくる。しかし、銀行強盗をする以上、同じ危険を犯すもの同士として信頼せずにはいられない。このメンタリティの不安定さを見事にもてあそぶジョーカーの悪徳ぶりがスゴイ。 これは、バットマンことブルース・ウェインにもいえることだ。ブルース・ウェインは、それまで丸腰でゴッサムシティの悪とたたかってきた(原作の中には、苦汁の決断の結果バットマンが銃を持つ・・というエピソードもあるようだが・・)。自分の良心を殺した銃を持たない・・というのは彼の信念だった。しかし、この映画のジョーカーは、そんな彼の信念にすら疑問をもたせる。そしてそれは映画だけでなく、この映画の基本コンセプトにすら疑問を持たせるようになっている。見ている人、この原作を最初に書いた人、そういう人の良心・信念にさえ疑問をなげかけるような構成になっている。 そもそも、この映画では、すでに原作の信念はかなり違和感を感じるものになっている。描かれるイベントが凶悪でリアルであるがゆえに、バットマンのもつ信念が歯がゆいものになってきているのだ。それはもうリアルな犯罪の前では『バットマン』という物語のコンセプトは機能しなくなっていることを示しているような気さえする。多分『バットマン』というコンセプトが成立するのは、バットマンが銃を持たずに解決できる範囲のドラマであることを前提にしているのだと思う。それを越えてしまうともう『バットマン』ではなくなるのだ。それをむりくり銃をもたないバットマンで解決しようとして、とりあえず解決しているが、見ている側にしてみれば違和感を感じまくりなのだ。さらに「ダークナイト」として身分を隠して存在しているにもかかわらず、やっていることは警察と同じ、事件が起きた後、相手を殺さず捕まえる・・ということ。しかし、行われる悪行に巨大な邪悪性を感じてしまう場合は、「ダークナイト」なら事件が起きる前に、その原因となる存在を抹殺してもらいたい・・と願うものだ。この覆面性とその行いに疑問をもってしまう。 この映画は、クリストファー・ノーランによる、ジョーカーをいうキャラクターを通しておこなわれた、良心・信念に疑問を投げかけた映画だといえるんじゃないだろうか。それは物語に登場する人物だけにとどまらず、それを見る観客も、そしてこのこの原作の良心に対しても・・・。 <あらすじ> バットマンことブルース・ウェイン(クリスチャン・ベイル)はゴッサム市民を守るべく、毎夜悪と戦い続けていたが、ゴッサムに真の平和が訪れることはなかった。バットマンはゴッサム市警のジム・ゴードン警部補(ゲイリー・オールドマン)と協力して、マフィアの資金洗浄元である銀行を摘発するという手段に出る。しかし、行的機関の中にはマフィアの内通者もおり、失敗も危ぶまれたが、新任の地方検事ハービー・デント(アーロン・エッカート)の強引な政治力によりマフィアの資金源を断つことに成功する。 そんなハービーの姿に、ブルースは彼こそゴッサム・シティが求める真のヒーロー像をみいだし、バットマンを引退しようと考え始める。ブルース・ウェインにとって、バットマンの引退は、かつての幼なじみである地方検事補レイチェル・ドーズ(マギー・ギレンホール)を求める自分にゴーをかける次期でもある。しかしそのレイチェルはブルースとハービーとの間で揺れ動いていた。 一方、資金源を断たれて悩むマフィアたちは、彼らの前にジョーカー(ヒース・レジャー)と契約、バットマン抹殺をくわだてる。これまで自身のルールに従って犯罪と戦ってきたバットマンは、その信念に疑問を持たせるジョーカーの心理戦の前に苦戦を強いられる。そんなジョーカーの真の目的は金でもバットマンの命でもなく、ゴッサムシティの人々総てに、その人が持つ良心に疑問を投げかけることだった。ジョーカーはゴッサムに「恐怖」と「混沌」をもたらし、人間のエゴをあばきだしそうとする。
by ssm2438
| 2010-04-12 03:59
|
アバウト
![]() 主観重視で映画の感想を書いてます。ネタバレまったく考慮してません。☆の数はあくまで私個人の好みでかなり偏ってます。エンタメ系はポイント低いです。☆☆=普通の出来だと思ってください。 by ssm2438 リンク
ファン
検索
以前の記事
2016年 05月 2013年 12月 2013年 10月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 タグ
☆☆☆(365)
☆☆☆☆(199) 一見の価値あり!(84) ☆☆☆☆☆(84) 貴重なヌードあり!(82) シナリオ勝負映画(82) 撮影的に高品質な映画(81) この女優必見!(80) 楽しいぞ!この映画(80) ダメだこりゃ映画(79) 女優が色っぽい映画(78) 女優が愛らしい映画(76) 自然描写が美しい映画(53) 一見の価値もなし!(53) ダイナミック望遠映画(37) ディープメンタル映画(22) 言葉が素敵な映画(22) リアリズムの映画(20) ぼろ泣き映画(16) ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆(13) カテゴリ
ジョン・フォード(1894) フランク・キャプラ(1897) A・ヒッチコック(1899) V・デ・シーカ(1901) ウィリアム・ワイラー(1902) ビリー・ワイルダー(1906) フレッド・ジンネマン(1907) 松本清張(1909) 黒澤 明(1910) M・アントニオーニ(1912) ルネ・クレマン(1913) I ・ベルイマン(1918) F・フェリーニ(1920) G・チュフライ(1921) W・A・フレイカー(1923) シドニー・ルメット(1924) 増村保造(1924) H・ウェクスラー(1926) S・キューブリック(1928) J・フランケンハイマー(1930) N・アルメンドロス(1930) ロベール・アンリコ(1931) ゴードン・ウィリス(1931) マイク・ニコルズ(1931) F・トリュフォー(1932) A・タルコフスキー(1932) D・マカヴェイエフ(1932) テオ・アンゲロプロス(1935) ウディ・アレン(1935) R・レッドフォード(1936) リドリー・スコット(1937) 木村大作(1939) ジョン・バダム(1939) W・フリードキン(1939) J・L・ブルックス(1940) エイドリアン・ライン(1941) ノーラ・エフロン(1941) K・キェシロフスキー(1941) ペニー・マーシャル(1943) ピーター・ウィアー(1944) C・デシャネル(1944) ラッセ・ハルストレム(1946) S・スタローン(1946) アイバン・ライトマン(1946) S・スピルバーグ(1946) パトリス・ルコント(1947) E・ズウィック(1952) ゴジラ(1954) G・トルナトーレ(1956) ブラッド・バード(1957) 男はつらいよ(1969) ライフログ
その他のジャンル
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||