西澤 晋 の 映画日記

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2010年 07月 07日

セルピコ(1973) ☆☆☆☆

セルピコ(1973) ☆☆☆☆_f0009381_055036.jpg監督:シドニー・ルメット
脚本:ウォルド・ソルト/ノーマン・ウェクスラー
撮影:アーサー・J・オーニッツ
音楽:ミキス・テオドラキス

出演:アル・パチーノ (フランク・セルピコ)

       *        *        *

シドニー・ルメット絶好調!

このころのシドニー・ルメットは良かった。映画自体がめちゃくちゃ面白いわけではないのだが、社会派の巨匠シドニー・ルメットの描くものが実にルメットらしかった時代。この映画も警察の腐敗の中で、一人まじめをとおしたら、みんなから村八分にされたという話。まあ普通の村八分だけなら命に別状はないのだけど、警官の場合はかなり危険。現場ではお互いがお互いをカバーしながら動くわけだが、

「金を受け取らない警官が信用できるか!?」

・・・の理不尽的事実が痛々しい。警官になることに夢をもって実際なった警官だったが、その組織は汚職にまみれていた。そのなかで清く正しく任務を遂行しようとするパコ(セルピコの相性)はのけもの。周りの警官は汚職をしているが、セルピコは誘われても断る。でも仲間を売ることはしない。だからといって、同じ警官仲間としては信用できないのがクリーンなパコだった。そんな環境下で、理想を追求すればするほど、社会からのけ者になってしく悲しい性。

これはアニメ業界においても同じことだな。
クソアニメに迎合できない人間は行きづらい業界になってきた。
・・・そんなこんなで、この映画のセルピコのつらさは切実に判る。

ちなみのこの映画の主人公のセルピコは実在の人物で、警察組織内の汚職と闘い、1971年には汚職を告発した警察官としてアメリカでは有名な人物である。
のちにルメッとは、『プリンス・オブ・ザ・シティ』という映画を撮るが、これも警察内部の汚職の話である。こちらのほうが骨太感はあるが、見易さだったら『セルピコ』のほうだろう。『プリンス・オブ・ザ・シティ』をみるのはかなりしんどい。

アル・パチーノがルメットとくんだのはこの映画と『狼たちの午後』だが、個人的にはこちらのほうが好きかな。あっちもあっちで、銀行強盗に押入ったが、八方ふさがりになる哀れな主人公を演じていたが、アル・パチーノって、ホモでいじめられ役が良く似合うような役者だ。生理的に好きになれない役者のひとりだ。

<あらすじ>
映画は、警官フランク・セルピコ(アル・パチーノ)が重傷を負って病院に担ぎこまれるところから始まる。病室の警戒態勢は恐ろしく厳重だ。そこから回想シーンがはじまる。

11年前、若き日のセルピコは子供のころからの夢を現実のものとし、警官になり、使命感に燃えてニューヨークの82分署に配属された。
しかし現実の警官の仕事は彼の理想とは程遠いものだった。同僚たちの収賄は日常茶飯事におこなわれており、潔癖症のセルピコには耐え難いものだった。私服になるための訓練を受け始めたセルピコは、ブレア(トニー・ロバーツ)知り合う。私服刑事となったセルピコは93分署に、ブレアはニューヨーク市長の調査部に配属されることになった。
配属された最初の日、セルピコは何者かにワイロの分け前を渡された。ブレアに相談し、調査部長に報告したが、部長はただ忘れてしまえと忠告するだけだった。どうしても金をうけとろうとしないセルピコは徐々に孤立していく。セルピコは地区中から異端者扱いで、第8分署に転任することになったが、彼を相棒として引き受けてくれるのはロンバート警視ただ1人だった。
ブレアやロンバートの応援で、ついに意を決したセルピコが汚職の実態をニューヨーク・タイムスにぶちまけた。しかしセルピコはデラニー総監によって、市で最も危険なブルックリンの麻薬地帯に転勤を命じられた。ある日、数人の同僚とともに麻薬犯逮捕に出勤した彼は、そこで重傷を負う破目になった。状況からみて、同僚が助けようとすれば助けられた状況だった。

by ssm2438 | 2010-07-07 00:07 | シドニー・ルメット(1924)


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