2010年 07月 07日
監督:シドニー・ルメット 脚本:ラリー・グルーシン 撮影:アンジェイ・バートコウィアク 音楽:サイ・コールマン 出演: アン・バンクロフト (母・エステル) ロン・シルヴァー (ギルバート) * * * ルメット作品にしてはめずらしいハートウォーミング映画。 シドニー・ルメットといとえば社会派の巨匠、『十二人の怒れる男』を筆頭に、『セルピコ』や『プリンス・オブ・シティ』、『評決』などの裁判ものイメージが強い。ルメットの物語のなかでは、主人公が自分の良心に従って行動すると、それが社会的に軋轢を生む。社会をとれば自分の存在価値がなくなる。自分を社会から阻害される。そんなシチュエーションでそんときなにをどう選択するのだ・・?という、捨てきれない社会とのつながりの中で(それをあっさり捨てえられたらただのヒーローものになってしまう)、社会と反発しつつ、あるいは社会と妥協しつつ、どう自分を失わずに生きていくか・・、そういう物語と作る人だ。なので私はこの監督さんは大好きなのだ。 そのルメットの代表作としてあげるとして、先にあげたような映画が出てくるが、そっち方面でない映画で、どうしても落としたくない映画が『旅立ちの時』と『ガルボトーク/夢のつづきは夢・・・』である。 当時これを見たときは(レンタルのVHS)、主人公の行為はちょっと理解しがたいもので、なかなか入っていけなかったのだが、最後はなかなかほほえましくなってくる。 この映画の主人公の母親(A・バンクロフト)は病気で死期がせまってきている。その母の夢というのが、“ガルボに会いたい!”なのだ。息子は、その夢をかなえるべく、引退して久しい往年の大女優グレタ・ガルボを必死で探し、母に会いにきてもらうという映画。しかしその行為の代償として、会社は休むは、そんなこんなで嫁とは対立するはけっこう大変。・・・しかし、よくよく考えてみるとやっぱり社会派か・・。自分の良心のために、社会を敵に回す、今回は会社であり、妻であり、そのあたりが彼を取り巻く社会になるのだけど・・・、そうか・・・、やっぱりこれもしっかりルメットしてる映画なんだ・・とこれを書いてみて理解し始めた(苦笑)。 <あらすじ> 会計士のギルバート(ロン・シルヴァー)は、母エステル(アン・バンクロフト)が脳腫瘍で余命いくばくもないことを知らされる。人に助けを頼むことを極端に嫌うエステルだが、そんな彼女がギルバートに頼みごとをした。「死ぬ前に一目ガルボに会いたい」。彼女はぐれたガルボの熱烈なファンであり、彼女の映画は全部みていた。 ギルバートは本気でグレタ・ガルボを探し出し、母にあってくれと頼む決意をする。老写真家ドカキスの協力を得て、徹底的にガルボ探索を開始するギルバート。会社の仕事そっちのけでガルボのアパートを訪ねたりファイア・アイランドの隠れ家に押しかけたりするが、費用ばかりかさんで、効果がない。妻との仲も悪くなるばかり。しかし、以前から好意を与せていたジェーン(キャサリン・ヒックス)と、なとか接点をさがしているうちに、あるノミの市で遂にガルボと遭遇。彼女をつかまえて夢中で母エステルのことをガルボに語るギルバート。病院に来たガルボは、エステルに会った。夢のようなひとときを過ごしあの世へと旅立つエステル。ギルバートの妻は実家に帰ったが、ジェーンと生きることになる。めでたしめでたし。 ※ちなみにのガルボは会いにきてくれるのだけど、後姿だけで、本物の彼女がでているわけではありません。
by ssm2438
| 2010-07-07 21:23
| シドニー・ルメット(1924)
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主観重視で映画の感想を書いてます。ネタバレまったく考慮してません。☆の数はあくまで私個人の好みでかなり偏ってます。エンタメ系はポイント低いです。☆☆=普通の出来だと思ってください。 by ssm2438 リンク
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